出典: Impress Watch
今回のテーマは、商品開発です。
✓ この記事でわかること
- アサヒの微アルビール 「ビアリー」
- 開発背景は、ノンアルコールビールへの不満
- 「顧客の不」 に寄り添った商品開発
- ビアリーを買った人は誰?
- 学べること
この記事を読んでいただきたいのは、商品開発やマーケティングの仕事をされている方です。
新商品やサービスの企画、アイデアを日々考えている方には、何か少しでも役に立つ内容をお届けできればと思います。ビール業界の話で異業種のことかもしれませんが、他の業界の成功事例は自分たちの業界のヒントになります。
ヒット商品の 「アサヒ ビアリー」 に興味を持った、ヒット理由を知りたいと思った方にも参考になればと思います。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ヒット商品 「アサヒ ビアリー」
今回ご紹介したいのは、アサヒの微アルコールビールのビアリーです。
出典: Impress Watch
以下は日経新聞の記事からの引用です。
アサヒビールのビールテイスト飲料 「アサヒ ビアリー」 が好調だ。アルコール度数は 0.5% で酒税法上は酒類に該当せず、従来のノンアルコールビールとは異なる 「微アルコール」 との新ジャンルを開拓している。
独自の脱アル技術を使い、ビールらしい味わいも残した。製品ラインアップも拡充。9月の販売数量は計画比2割増と、着実に売り上げを伸ばしている。
ノンアルコールビールへの不満
ノンアルビールはビール風味を出している飲料です。確かにビールに近い味を再現しているものの、ビールとはどこか違い、私は味になんとなく違和感を感じます。
以下は、先ほどの日経の記事からの引用です。
従来製品は、ビールが飲めないときの代替品と見られがちだったが、「健康志向でポジティブなものとして受け止められるようになった」 (萩野氏) という。
低アルコール飲料への飲用意向は若年層で高い。飲み会でノンアルを注文すると、場の雰囲気を壊してしまうとの心配があるという。そこで 「アルコール度数の異なるビールを自由に楽しめるようにしたい」 (萩野氏) と考えたという。
開発に向けて検討が始まったのは17年。ノンアルビールのシェア首位はアサヒの 「ドライゼロ」 だが、ノンアルビールは香料などの調合技術でビール風味に仕上げた飲料だ。ビールに近い味を再現したが、味に違和感を感じる人もいた。
私自身にとってのノンアルビールとは、積極的にノンアルコールのビールを飲むというよりは、ビールを飲みたくても飲めない時に消去法的に選ぶイメージだったりします。
ビアリーの開発の狙い
これは Impress Watch の記事に書かれていたことで、ビアリーの開発の狙いは、「微アルにしてはおいしい」 ではなく、「おいしいけど微アルなんだ」 と言われることを目指したとのことです (参考) 。
微アルであっても満足感を得られ、ビール党の人が驚くような味わいです。微アルとしてはおいしいではなく、微アルかどうかは抜きにしてもおいしいと思ってもらえるビールです。
これを実現するためにアサヒは、脱アルコール製法として独自の低温蒸留技術を採用しました。蒸留温度を低温にしゆっくりと蒸留することで、ビールの香気成分をなるべく失わないようにアルコールを抜く製法です。
「顧客の不」 からの開発
ビアリーの開発は、ノンアルコールビールへの消費者が何気なく感じている不満、満たされない気持ちに寄り添ったことからでした。
気持ちとは、具体的にはノンアルビールへの 「何か違う感じ」 や 「飲めるなら本当はビールがいい」 、「まわりに合わせて仕方なくノンアルビール」 などの生活者の不です。
こうした気持ちは飲むシーンではいつも感じるものの、その後に食事が始まれば忘れてしまいます。しかし次の同じような場面では、また起こるわけです。不満は解消されることなく、いつまでも残り続けます。
このような消費者の満たされない気持ちや潜在的なニーズに応えるのが、微アルコールであるアサヒのビアリーなのです。
どんな人がビアリーを買った?
先ほどの Impress Watch の記事によれば、ビアリーの購買層の約 23% が 20 ~ 30 代とのことです。
出典: Impress Watch
また、ビールを買う人が一緒にビアリーを買っているのも興味深いです。日常的にビールを飲んでいる人でも、翌日に影響しないように、家事をしながらでも飲めるなどのニーズがあるのでしょう。
出典: Impress Watch
学べること
では最後に、アサヒのビアリーから商品開発やマーケティングに学べることを整理してみましょう。
一言で言うと、学びは 「生活者や顧客企業の満たされない不満を見つけ、ビジネスチャンスにつなげよう」 です。
ビアリーは、生活者のノンアルコールビールへの不に向き合い、もしかすると生活者本人が不満として明確には意識できていないような気持ちを汲み取りました。
生活者や企業が我慢を強いられていること、例えば手間や精神的な面倒さは何かを掘り下げる重要性です。
言われてみたり見せられて初めて 「確かに不便だった」 「こういうものが欲しかった」 と思ってもらえるには、売り手の側が主体的に顧客の満たされない気持ちを見出し、商品開発やマーケティングにつなげることが大事なのです。
まとめ
今回はアサヒの微アル 「ビアリー」 の商品ヒット理由を掘り下げ、商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
顧客の不
- 時には生活者本人が不満として明確には意識できていないような気持ちに寄り添うことが大事
- 生活者や企業が我慢を強いられていること、例えば手間や精神的な面倒さは何かを掘り下げる重要性
不を解消する商品開発やマーケティング
- 言われてみたり見せられて初めて 「確かに不便だった」 「こういうものが欲しかった」 と思ってもらえる不の解消を目指す
- そのためには、売り手の側が主体的に顧客の満たされない気持ちを見出し、商品開発やマーケティングにつなげよう
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