投稿日 2018/10/30

書評: 抵抗勢力との向き合い方 - 働き方改革、業務改革を最大の壁を阻む乗り越えろ (榊巻亮) 。抵抗は必ず起こることを前提に、共感と感謝から抵抗を味方にする


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抵抗勢力との向き合い方 - 働き方改革、業務改革を最大の壁を阻む乗り越えろ という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容。抵抗への捉え方
  • 早い段階で予防治療をする。抵抗勢力に向き合う具体的な方法
  • 思ったこと (2つ)


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

抵抗には 「4段階」 の強さがある。「隠れた抵抗」 を見逃すな。

業務改革のプロが対処法を指南 ― プロジェクトの局面ごとによく出る抵抗の例、マズイ対処の仕方、良い対処の仕方などを体系立てて、かつ、実例を交えて解説。

実際にプロジェクトで使って効果が高かった方法論だけを、変革プロジェクトを推進する立場にあるプロジェクトリーダーの視点でまとめた。


抵抗への捉え方


この本からの学びの1つは、抵抗への捉え方です。

新しいプロジェクトなど変革を推進する立場からすると、推進側は正義、抵抗側は悪と見なしてしまいます。しかし、抵抗側の立場からすると抵抗側なりの正義があります。

大事なのは、変化を起こす場合には、前提として抵抗や反対は必ずあるという認識です。

人間は本能的に変化を嫌います。何の抵抗も起こらず万事がうまくいくことはありません。大小様々な抵抗や反対が起こることを前提として持っておくことです。


早い段階で予防治療をする


本書で紹介される抵抗への向き合い方は、起こってから対応する表面的な対処療法ではなく、なるべく早い段階であらかじめ対応する予防治療です。

先回りして動くために参考になるのは、抵抗には四段階があるという考え方です。


抵抗の強さのレベル (四段階)


四段階の抵抗のレベルは、以下です。

  • モヤモヤ・違和感
  • まっとうな指摘
  • 何が何でも反対
  • 潰しにかかる


抵抗レベル 1: モヤモヤ・違和感

  • 明確な批判や抵抗になる前の段階
  • 違和感はあるがうまく言語化できない、モヤモヤする感覚はあるがそれが何かはよくわからない
  • このレベルでは普通は抵抗とはみなされない (本書では抵抗の初期段階とする)


抵抗レベル 2: まっとうな指摘

  • プロジェクトなど取り組み全体に対する反対ではなく、部分的な指摘になることが多い
  • 取り組みを成功させるための、足りないことや詰めが甘い点を指摘してくれる場合がほとんど
  • 「この部分のリスク対策の踏み込みが甘い」 や 「このケースが考慮されていない」 など


抵抗レベル 3: 何が何でも反対

  • 反対することが先に立ち、論理性を欠いた抵抗
  • 反対できるならどんなことでもこじつけて、反対の材料にしようとする


抵抗レベル 4: 潰しにかかる

  • 社内で公然と反対運動を繰り広げたり、ネガティブキャンペーンを展開する
  • レベル3の 「何が何でも反対」 をこじらせると、このレベルになってしまう


プロジェクトの3つの段階


抵抗が起こってからの対処療法ではなく予防治療のためには、なるべく最初の段階で手を打つことです。

本書ではプロジェクトを3つの段階に分けて、それぞれのフェーズごとにどう対応するとよいかが説明されてます。3つとは、立ち上げ期、計画策定期、施策実行期です。

重要なのは、なるべく早い段階で、抵抗勢力と向き合うことです。


立ち上げ期

  • プロジェクトが生まれ人が集まり、本格的な活動に入る前の時期
  • この時期は、プロジェクトリーダーと少人数のプロジェクトメンバーが中心に活動する


計画策定期

  • 本確定な調査や分析、施策の検討などの実行計画を作る時期
  • プロジェクトチームだけではなく、一部の有識者や現場のキーパーソンを巻き込みながら検討が進む


施策実行期

  • 作成した実行計画が承認され、施策が実行に移される。プロジェクトの成果を出していく時期
  • 多くの社員、プロジェクトによっては全社員を変革に巻き込むので、関係者が拡大する


抵抗勢力に向き合う具体的な方法


抵抗勢力が顕在化していなくても、潜在的な抵抗に早めに対応するためには、「オンとオフで兆候をつかむ」 と 「共感と共有でケアをする」 の2つです。


 「オン」 で兆候をつかむ


オンの時とは、プロジェクトの説明をする会議の場です。関係者が集う会議では、隠れた抵抗の兆候を拾う絶好の機会です。

参加者の様子を、次のような振る舞いがないか注意深く観察します。

  • 腕組みをしている
  • 首をかしげる
  • つまらなそうな顔をしている

人は違和感や不安を覚えると、表情や態度に表れます。こうした仕草や振る舞いを感じたら、臆せずに尋ねたり、会議の場で投げかけます。

例えば、「もしかして、進め方が気に入りませんか?」 や 「今、難しい顔をされていましたが、気になることや懸念がありますか?」 です。


 「オフ」 で兆候をつかむ


会議のオンの場で兆候を察知できるとよいですが、会議参加者が大人数だと参加者からすれば直接意見を言いにくい状況です。

会議室を出てのオフの場でも、いかに隠れた抵抗であるレベル1の 「モヤモヤ・違和感」 やレベル2の 「まっとうな指摘」 を拾えるかです。

立ち話での雑談や、相手の席に行って話しかけるなどで、話を振ってみることです。意識して、自分に言い聞かせて実施しないと継続的に行なうことは難しいことです。

しかし、オフの場でコミュニケーションをしておくと、後々に効いてきます。

短い時間でも何度もコミュニケーションをしているうちに、お互いに良い感情が芽生えることが期待できます。雑談で本音を引き出せるだけではなく、好感度も上がり、先々のプロジェクトの理解者になっていく可能性が高くなります。


 「共感」 でケアをする


質問や指摘、反対意見に対して、推進側からの正論やロジックでの説得はその場では収まったとしても、長い目で見れば有効ではありません。質問や意見を言った側にはしこりとして残り、無用な対立を招きかねません。

指摘に対して 「その点はすでに考慮しています」 と自分たちの正当性を訴えるよりも、大事なのは相手の立場に立ち共感することです。

共感とともに、質問や意見、反論への感謝の気持ちを持ち、感謝を伝えることです。相手の発言や指摘がまとまっておらず、時には間違っていたとしても共感と感謝を示します。

共感から潜在的な抵抗をケアするメリットは、以下です。

  • 相手が発言してよかったと思え、不満を溜め込まずに気持ちよく吐き出してもらえる
  • 抵抗の兆候を拾える。後々の抵抗勢力の芽に早めに対処できる
  • 自分が見通していた視点、足りない対策に気づける


 「共有」 でケアをする


ただし、共有だけでは全ての抵抗の予兆や兆候をつかむことはできません。

新しく始めるプロジェクトや変革へのモヤモヤや違和感は、情報共有不足によって起こります。自分だけが知らないという状況を自覚すると、人は疎外感を感じます。やがては不信感を生み、抵抗へと変わります。

重要なのは、推進側が考えていることを過不足なく、相手を選りすぐらずに情報を共有することです。

一度言ったからと言って終わりではありません。しつこいと思うくらい何度も同じことを伝えます。

本書には、「6度6割」 という言葉が紹介されています。意味は、6回同じことを言ってようやく6割くらいが伝わるというものです。6度も同じことを言い続けても、4割はまだ伝わりません。

何度も情報共有することは、時には面倒に感じるでしょう。しかし、この手間を惜しんではいけません。早めに苦労をしておけば、後から楽になります。潜在的な違和感や不満、隠れた抵抗への対処はコミュニケーション不足を解消することです。


思ったこと


ここからは、思ったことです。2つあります。

  • 抵抗への向き合い方
  • 戦略の視点で見る抵抗への対処

以下、それぞれについてご説明します。


抵抗への向き合い方


冒頭で書いたので繰り返しになりますが、変化や推進への抵抗への捉え方が、本書を読む前と後で変わりました。

具体的には、以下です。

  • 新しいことへの抵抗は必ず発生する。人間は本能的に変化を嫌う動物である
  • 抵抗は悪ではない (抵抗側にも論理や正義がある) 。より良い取り組みにするために歓迎すべきもの
  • 抵抗に向き合い、寄り添い、共感と感謝を示す。顕在的な反対になる前に味方にし、推進力に変える

自分が信じていること (例: 新しいプロジェクトによって実現すること) への指摘や反論は、耳の痛いものです。できれば見たり聞いたりしないほうが、ものごとはスムーズに進みます。

しかし、プロジェクトをより良くし成功をするためには、多様な見方や考え方が大事です。

思い出したのは、アフリカのことわざです。

 「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ、みんなで進め」
 (If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.)

潜在的な抵抗、顕在した抵抗勢力であっても、人と問題を分け、問題に向き合い一緒に取り組めば、より遠くまで一緒に行くことができます。


戦略の視点で見る抵抗への対処


戦略という字は 「戦いを略する」 と書きます。戦略は目的を達成するためにあります。理想の戦略とは戦わずに目的を達成することです。

今回の抵抗への向き合い方に当てはめると、いかに抵抗勢力と戦わずにプロジェクトや成し遂げたい変革を実現するかです。

抵抗の四段階では、なるべく早めの段階であるレベル1 (モヤモヤ・違和感) や、レベル2 (まっとうな指摘) を察知し、共感と感謝を示し、抵抗や反対勢力になる前に、一緒に推進する味方にできるかです。

本書の予防治療的な抵抗への向き合い方、抵抗になる前に先回りをする考え方と具体的な方法は、参考になることが多いです。


最後に


今回は、抵抗に対してどう向き合うかを考えました。

最後に、関連するエントリーです。指摘や反論に対して、どう捉えるとよいかを書いています。今回の抵抗への向き合い方にも関連します。

よろしければ、ぜひご覧ください。





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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。