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先日、前職の元同僚が主幹の少人数勉強会に参加しました。勉強会の方針や運営が興味深かったので、思ったことを書いています。
ユーザーグループやコミュニティを、どうすれば活性化できるかという視点で考えています。
エントリー内容です。
- 勉強会の方針。Why と Who から始める勉強会
- What と How では続かない理由
- コミュニティが活性化する条件
勉強会の方針
方針は一言で言えば、「一緒に学ぶ人を重視する勉強会」 です。
誰と学ぶかという who を重視し、一方で何を学ぶか (what) 、どうやって学ぶか・勉強会の形式 (how) は、後から決めようというものです。
方針の背景は、主幹である元同僚の勉強会への課題意識です。勉強会でテーマがあって集う仲間は、次第にモチベーションや参加率に差が出始めるという経験からです。継続的に意欲の高い人とそうではない人で差が出てしまいます。
Why と Who から始める勉強会
勉強会に参加して思ったことは、勉強会の起点を why と who にすることの意味合いです。
通常、勉強会は学ぶテーマがまずあり、テーマに沿ってどのような形式で勉強会を行うかがある程度決まっています。講師役と生徒の授業形式、フラットなディスカッション、課題図書を指定しての輪読会などです。
このような一般的な上記のやり方は、what と how から入る勉強会です。一方、参加した勉強会は、「なぜ一緒に学びたいか」 と 「一緒に学びたい人は誰か」 という why と who から始めます。
What と How では続かない理由
確かに、勉強テーマ (what) と勉強会形式 (how) が決まっていれば、自分が参加したいかどうかは判断しやすいです。
ただし、次第に勉強会というコミュニティの活性度合いが下がってしまう要因があります。各自のモチベーションの差と、それによる振る舞いや行動の違いの顕在化です。
熱意や参加率などのコミットレベルの違いで、参加者同士のお互いの温度感の差を感じるようになります。意欲の高い人は白けてしまい、低くなってしまった人は参加しづらく、ますますモチベーションが下がります。
コミュニティの一体感や結束が下がり、自然消滅や解散してしまうパターンです。逆に言うと、参加者のモチベーションや実際のコミットレベルがそろっていると、勉強会は続いていきます。
コミュニティが活性化する条件
お金 2.0 - 新しい経済のルールと生き方 という本に、システムやコミュニティを発展させる5つの要素が書かれています。
コミュニティを活性化させる5つの条件とは、次の通りです。
- インセンティブ
- リアルタイム
- 不確実性
- ヒエラルキー
- コミュニケーション
以下、それぞれの補足です。
1. インセンティブ
- 報酬が明確であること
- 報酬により、参加者にメリットがある仕組みになる
- この要素が抜けていて、「良いとは思うが積極的に参加する気にはなれない」 と思われると、経済システムやコミュニティは続かない
2. リアルタイム
- 時間によって変化すること
- 常に状況が変化し、何か新しいことがあるのを参加者が知っていることが重要
- もし、いつ来ても前と変わらない環境では、緊張感が保てなくなり場の活力が失われていく
3. 不確実性
- 実力と運の両方の要素があること。不確実な要素があるほうが、経済システムは活気が出る
- 最初から結末がわかっている世界では、参加者の熱量は冷めてしまう
- 実力だけでもなく、運だけでもなく、両方がバランスよく保たれている一定の不確実性がある環境がよい
4. ヒエラルキー
- 秩序の可視化。経済システムやコミュニティにおいて、階層や序列が見えており、それぞれに役割があること
- ただし、序列が固定化しすぎると弊害が起こる。5つの要素のうち、「リアルタイム (常に変化する) 」 と 「不確実性」 が失われ、活気が下がるため
- 秩序の可視化や役割の明確化がある一方、いかに新陳代謝を起こすかの仕組みも必要
5. コミュニケーション
- 参加者が交流する場があること
- 参加者同氏が交流しながらお互いに助け合ったり、議論する場があれば、全体で一つの共同体であることが認識されるようになる
- コミュニケーションから、問題があればアイデアを出し合い解決したり、一人ではできないことを皆で共同し実現できるようになる
最後に
勉強会に参加してあらためて思った 「誰とやるか」 は、コミュニティ運営の観点から興味深い論点です。
組織開発や起業にも通じることです。