投稿日 2018/10/16

イシューから始めるプロダクト開発。プロダクトマネジメントで大事なのは、まずは 「問題設定」 を磨き込むこと


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プロダクト開発についてです。製品やサービスの開発初期の段階において、プロダクト開発の失敗確率を下げるためにどうすればいいかを考えます。

エントリー内容です。

  • イシューから始めるプロダクト開発
  • プロダクト開発の 「問題設定」 とは
  • デザイン思考に当てはめるプロダクト開発のステップ


イシューから始めるプロダクト開発


起業の科学 - スタートアップサイエンス という本があります。



プロダクトマネージャーの視点で読む


この本で書かれてることは、スタートアップ企業がビジネスの立ち上げに失敗しないために、どうすればよいかです。具体的な方法と事例が、順序立てて詳しく説明されています。

この本の内容は、プロダクト開発の視点でも示唆があります。開発をリードするプロダクトマネージャーの立場からも、参考になることが多く書かれています。


イシューから始めよ


本書からのプロダクトマネジメントの視点での学びの一つは、一言で言えばイシューから始めることです。

プロダクト開発を主導する立場だと、どんなプロダクトを開発するのかをまず考えがちです。たとえ試作品 (プロトタイプ) であっても、プロダクトを開発するということは、想定するユーザーへの解決策を具体化するということです。

プロトタイプがつくられれば、自分たちが想定するターゲット顧客やユーザーに、プロダクトを本当に受け入れてもらえるかの検証に入ります。プロダクトマネジメントの用語を使えば、まずは実用最小限の製品 (MVP: Minimum Viable Product) をつくり、人々に支持されるか、つまり市場性があるかを検証します (PMF: Product market fit の確認) 。

本書からの学びは、いきなり MVP を開発し市場性検証に入るのではなく、イシューという問題設定の磨き込みをまずはやることの重要性です。

この順番が大事です。「解の質」 を上げる前に、解くべき 「問題の質」 を上げるのです。


プロダクト開発の 「問題設定」 とは


では、プロダクト開発をイシューから始めるために、何をすればよいのでしょうか?


磨き込むべき3つのこと


具体的には、以下の3つを精査し、磨き込むことです。

  • 顧客設定:最初の顧客を誰にするか。アーリーアダプター気質のターゲット顧客またはユーザーを設定する
  • 顧客の理解と共感:設定した顧客について、現状を把握する。何に困っているのか、それはなぜか、本来どうあればいいのか (ニーズ)
  • 問題定義:顧客を理解し共感したことから、自分たちが解決したい・すべきことは何かの問題を定義する (イシュー設定)

1つめと2つめは、イシュー設定のための整理です。3つめでイシューを構造化し、解くべき問題を定義します。


それは顧客も本当に解決を望んでいる問題か


顧客設定、顧客の理解・共感、問題定義は、この時点ではあくまで仮説です。プロトタイプを開発し市場性の検証 (Product market fit) に入る前に、仮説検証をします。

自分たちが定義した問題は、本当に顧客が解決して欲しいことなのかどうかです。自分たちだけが問題だと思う一方、顧客がそう思っていなければ、定義した問題は絵に描いた餅です。

イシューおよびイシューの前提になる顧客設定と理解を仮説として扱い、検証によって問題設定の質を高めることが先です。その問題の解決方法の筋が良いか、ソリューションや提供価値を磨くのは、その後です。


MVP 開発は問題設定と問題仮説検証の後


提供価値の仮説を検証するために具体的なプロダクトが必要であれば、MVP (実用最小限の製品) として必要な最低限の機能やサービスに絞ったプロダクトを開発します。

MVP を想定顧客に使ってもらい、市場性があるかどうか、その顧客に受け入れられるかを検証します (Product market fit) 。

今回ご紹介している 起業の科学 の本で強調されているのは、スタートアップがまず目指すことは多くの人に広く支持されるよりも、一部の顧客に熱狂的に愛されるプロダクトを提供することです。


デザイン思考に当てはめるプロダクト開発のステップ


ここまで見てきたことを、デザイン思考のプロセスに当てはめてみます。

デザイン思考は5つのプロセスで進めます。

  • 共感
  • 問題定義
  • 創造
  • プロトタイプ
  • テスト

具体的には以下です。

  • 共感:想定するユーザーを観察したり、インタビューをし、相手が感じている不便や問題意識に共感する。観察と情報収集を行う
  • 問題定義:共感で得られた定性データと情報をもとに、人を動かす隠れた気持ちであるインサイトを見い出す。対象ユーザーの視点で解決すべき問題を定義する
  • 創造:ブレインストーミング・水平思考などの発散思考手法から、問題を解決するためのアイデアを創造する
  • プロトタイプ:解決アイデアがうまくいくかを検証するために、必要最低限の機能が装備されたレベルで目に見えるプロトタイプ (試作品) を製作する
  • テスト:プロトタイプを実際のユーザーが現実に使用する状況で使ってもらうテストをする。ユーザーの反応を観察し、問題点や改善策を明らかにする。プロトタイプを再度製作し、あらためてテストをし反応を確かめる

ソリューション仮説の検証に入る前の顧客設定、顧客理解・共感、問題設定の3つは、デザイン思考では最初の2つである 「共感」 と 「問題定義」 に当てはまります。

次の3つめの 「創造」 で、定義した問題を自分たちはどう解決するかのソリューション仮説をつくります。4つめと5つめの 「プロトタイプ」 と 「テスト」 から、ソリューション仮説の検証をします。

デザイン思考のポイントは、顧客や生活者への共感から始まることです。途中のプロセスにおいても、共感を拠り所にします。

プロダクト開発においても、設定した顧客への理解と共感がベースとなり、問題設定をします。


最後に


今回は、起業の科学 という本から学べる、プロダクト開発の初期段階で何をすればよいかを考えました。

問題意識の根底にあるのは、プロダクト開発の初期でいきなりプロトタイプをつくり、ソリューションの検証に入るのではなく、その前に問題設定の磨き込みをするべきということです。

技術ドリブン、プロダクトドリブン、ソリューションドリブンの傾向が強いと、最初から MVP を開発し Product market fit の検証から始めてしまいます。もちろん、このプロセスも大事ですが、重要なのはその前に 「顧客設定」 「顧客理解・共感」 「問題設定」 の磨き込みです。



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。