2018/10/03

スタートアップが捨てるべき常識。スタートアップに必要なことを考える


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スタートアップについてです。世界を変えることを目指すスタートアップに必要なことは何かを考えます。

エントリー内容です。

  • スタートアップが捨てるべき8つの常識
  • 思ったこと


スタートアップが捨てるべき8つの常識


起業の科学 - スタートアップサイエンス という本に、スタートアップが捨てるべき8つの常識が書かれています。



以下、8つについて順にご説明します。本では、いずれの常識もスタートアップではやっていけないと言います。


[常識 1] 100点満点の解答用紙に正しい答えを埋めようとする


  • 企業や学校ではいかにミスをしないかが良しとされる。100点満点のテストに模範解答を正確に書く人が優秀とされる
  • しかしスタートアップの世界は、模範解答があると考えてはいけない
  • 全く新しい問題の設定と、問題に対する独自の解答を自らつくるのがスタートアップである


[常識 2] 上司にうまく報告する


  • 一般企業では自分の評価は上司へのレポーティング次第で変わる。少しでも自分をよく見せるために、レポート作成に時間を費やす
  • スタートアップの世界では全く意味がない。本当に必要なことに時間を使うべき


[常識 3] 多くの人から好かれようとする


  • 少しでも多くの人に好かれたい気持ちは誰にでもある
  • しかしスタートアップでは、自分を良く見せることや認められたいという承認欲求は捨てること
  • スタートアップで取り組むアイデアは今までの常識を覆すもの。最初は一部の人にしか理解されない。重要なのは多くの人からそこそこ好きなプロダクトではなく、一部の人から熱狂的に愛されるものを目指すこと


[常識 4] 少しずつ改善する


  • PDCA を回し続けることはどんなビジネスでも基本
  • しかし、限りある資金と時間で成功を目指すスタートアップは、場合によっては細かい改善を積み上げるよりも、方針変換を一気にやることが求められる (機能を削ぎ落とす、市場を変えるなどのピボット)
  • コツコツと改善を積み重ねる必要が出てくるのは、プロダクトの市場性が確認でき (Product market fit) 、自分たちの勝ち筋が見えてから


[常識 5] 多数の競争相手の中で一番になる


  • 成功体験がある人は、競争でライバルに勝った、一番になったことがある経験をしている
  • スタートアップは、大勢と同時に戦うことを目指すべきではない。競争相手が少ない、または存在しない市場で独占することを目指す
  • ニッチ市場を独占し、その後に周辺市場に拡げるのがスタートアップの王道


[常識 6] 予算消化をする


  • 大企業のように予算がついたら使い切ろうとする発想は、スタートアップでは真っ先に捨てるべき
  • 資金調達でまとまったお金が入ったとしても、無駄な使い方や投資はしてはいけない


[常識 7] 最初から広い市場を狙う


  • 広い市場で顧客獲得を狙うのは、大企業が採用するやり方
  • スタートアップで成功率を上げるには、まず小さな市場を独占する方法が定石


[常識 8] うまくいかなかったことを誰かのせいにする


  • 仕事でミスや失敗が起こると、大企業では犯人探しに躍起になる。レポートラインが明確な大企業では、責任の所在をはっきりさせることが求められる
  • スタートアップでも責任の所在は明らかにする必要はあるが、失敗は誰のせいかを追求しすぎると失敗を恐れる企業文化になる
  • 本当に大切なのは、誰 (who) よりもなぜ失敗したのか (why) 。Why を徹底的に突き詰め、組織全体で学びを深めること


思ったこと


ここからは思ったことです。

8つの常識は、大企業でよく見られることです。

一方スタートアップは、限りある人員、資金、時間という制約が強いため、大企業の常識は通用しません。

むしろ良かれと思ってスタートアップが大企業と同じことをやると、悪い影響を及ぼします。場合によっては、文字通り死活問題になります。


興味深かった3つ


スタートアップが避けるべき8つの常識のうち、特に大事だと思ったのは、以下の3つです。

  • あらかじめ答えのあることに解答を埋めようとしない。正解があるという前提を捨てる
  • 多くの人から好かれようとしなくてよい。一部から熱狂的に愛されることを目指す
  • 最初から大きい市場は狙わない。小さい市場での独占を目指す


前提の違い


大企業とスタートアップで全く逆の考え方をするのは、前提が違うからです。

大企業で取り組むアイデアは、誰が見ても正しいと思えることです。多くの人が賛成するからアイデアは、社内で合意が得られ稟議が通ります。あるいは、このプロセスを通して誰からも反対されないアイデアになっていきます。

スタートアップは違います。

スタートアップが挑むアイデアは、他の人からは正しいとは思われず、自分たちだけが真実だと思うものです。または、他の人はまだ誰も気づいていないアイデアです。

たとえ自分たちは強く信じていても、多くの人が間違っていると思うアイデアは、可能性として実際に正しくない確率は高いでしょう。スタートアップが取り組むアイデアは、まだ誰も挑戦したことがないものなので、成功の不確実性が高いものです。

スタートアップが大企業と同じことをやっては、限りあるリソースしかないスタートアップは圧倒的に不利です。だからこそ、他の人たちがやっていない考え方とやり方をする必要があるのです。


最後に


今回は、起業の科学という本から、スタートアップが忘れるべき常識について考えました。

既存の市場を再定義する、あるいは全く新しい市場をゼロからつくるようなスタートアップは、競争を避け唯一無二の存在を目指します。競争をしない競争戦略には、一般的に良しとされる常識を捨てる覚悟が必要です。



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多田 翼 (書いた人)


複数のスタートアップ支援に従事。経営や事業戦略、プロダクトマネジメント、マーケティングのコンサルティング及びメンター。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn をご覧ください) 。

1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝のランニング。

内容は、所属組織や会社の正式見解ではなく個人の見解です。