今回はイノベーター理論を取り上げます。
イノベーター理論の便利な使い方をご紹介します。
✓ この記事でわかること
- イノベーター理論とは
- [活用 1] トレンドを見るレンズ
- [活用 2] 自己分析ツール
記事で書いているのはイノベーター理論の応用方法です。前半ではイノベーター理論とは何かを解説し、後半ではイノベーター理論の使い方を2つご紹介しています。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
イノベーター理論とは
イノベーター理論とは、新しい技術、商品やサービスが世の中に普及するプロセスです。マーケティングの理論です。
新しいものを取り入れたり、新商品を買うタイミングは人によって早かったり遅かったりします。イノベーター理論では5つのタイプに分類します。() 内の % の数字は人数構成比です。
✓ イノベーター理論の5つのタイプ
- イノベーター (革新者: 2.5%)
- アーリーアダプター (初期採用者: 13.5%)
- アーリーマジョリティ (前期追随者: 34%)
- レイトマジョリティ (後期追随者: 34%)
- ラガード (遅滞者: 16%)
イノベーター理論ではそれぞれのへの普及の時間軸と人数規模から、次のような曲線で説明されます。
出典: ONE Marketing
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イノベーター理論の活用方法
ここまでご紹介したイノベーター理論は、机上の理論で終わらずビジネスや個人のレベルでも便利に使えます。
ここでは2つの方法をご紹介しますね。
✓ イノベーター理論の活用方法
- トレンドを見るレンズ
- 自己分析ツール
では順番に見ていきましょう。
[活用 1] トレンドを見るレンズ
イノベーター理論は、新しい技術や商品・サービスが、今どのくらい世の中に普及しているかのトレンドを知るのに便利です。この使い方はイノベーター理論の考え方をそのまま活用する方法です。
世の中を見るレンズとして使う指標は2つです。どのくらいの人が知っているかという 「認知」 、使ったことがある人の多さの 「利用」 です。
認知なら、新しい商品やサービスが登場した時に次の目安を持っておくといいです。
✓ 認知の浸透度
- 知っている人が 2~3 % 程度であればイノベーターの人だけに知られている状態
- 20% 未満くらいであればアーリーアダプターに浸透しきっている
- 過半数を超えればアーリーマジョリティまで
- 80% を超えればレイトマジョリティにも知られている
利用状況も同じです。
ちなみにこれは私の感覚値ですが、世の中での認知率が 15% を超えるとテレビや新聞・雑誌で新しい話題として取り上げられるようになります。
逆に言えば、ネットだけではなくテレビでも見聞きし始めたテーマは、世の中で 15% から 20% くらいの人たちが知り始めたものと見ることができます。
[活用 2] 自己分析ツール
2つ目の使い方は応用です。イノベーター理論は自分のことを理解するツールとしても使えます。
もともとのイノベーター理論の考え方は、 新しいものへの感度や取り入れるタイミングの違いで人を5つに分類します。
同じ人でも対象によってはアーリーアダプターになることもあれば、別のことにはレイトマジョリティになることがあります。
具体例で説明をすると
私は新しいアプリやウェブサービスにはアーリーアダプター気質があります。例えば音声 SNS の Clubhouse は、2021年1月下旬の日本で使えるようになってすぐに使ってみました。
一方で例えばマイナンバーカードは未だに取得していません (マイナンバーを知っているだけです) 。
このように興味関心の対象によってアーリーアダプターにもなればマジョリティにもなるのです。
この考え方を応用すると、イノベーター理論を自己分析ツールとして使えます。
✓ 自己分析ツールとしての活用方法
- その対象について自分は5つのどのタイプかを認識する
- なぜ自分はそのタイプなのかを掘り下げる (例: なぜ新しいアプリはすぐに使い、一方でマイナンバーカードはまだ申請しないのか)
- 興味関心の理由を知ることにより自己認識が深まる
私の例で補足
掘り下げ方の補足です。新しいアプリやウェブサービスをすぐに使いたい理由は、テクノロジーの進化をいち早く体験したいからです。バグなどの不便なことも含めて新しい技術や UI の体験そのものにエンタメ的な楽しさを見出しています。
一方のマイナンバーカードには、申請プロセスとカード取得後のユーザー体験にワクワク感がないからです。
まだ申請しないだろうし、世の中の大半の人が取得して持っていない状況が明らかに不便だと感じてようやく腰を上げるでしょう (レイトマジョリティ気質) 。
このようにイノベーター理論というレンズを通して自己理解を深めることができます。
まとめ
今回はイノベーター理論の応用方法をご紹介しました。
最後にまとめです。
イノベーター理論とは
- イノベーター理論は新しい技術、商品やサービスが世の中に普及するプロセス
- 新しい技術を取り入れたり、新商品を買うタイミングは人によって分かれる (5つのタイプに分類する)
- イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガード
[活用 1] トレンドを見るレンズ
- 新しい技術や商品・サービスが、今どのくらい世の中に普及しているかを知るのに便利
- 世の中を見るレンズとして使う指標は2つで 「認知」 と 「利用 (使ったことがある) 」
[活用 2] 自己分析ツール
- その対象について自分は5つのどのタイプかを認識する
- なぜ自分はそのタイプなのかを掘り下げる (例: なぜ新しいアプリはすぐに使い、マイナンバーカードはまだ申請しないのか)
- 興味関心の理由を知ることにより自己認識が深まる