2021/04/13

ビジョンドリブンマーケティング。虚像から実像へ



今回はマーケティングです。


この記事でわかること


  • Why から始めるマーケティング
  • 良いビジョンの3つの条件
  • ビジョンドリブンのマーケティングとは?
  • ビジョンで独自化をする
  • 虚像から実像へ


この記事のキーワードは 「ビジョン」 です。マーケティングにビジョンという観点を入れると、どんなマーケティングになるかを掘り下げています。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。


Why から始めるマーケティング


私が大事にしたいのが 「Why から始める」 です。

マーケティングも同じで、マーケティングを Why から始めることを大切にしています

ここで言う Why とはマーケティングの目的、描くビジョンです。ビジョンは心からつくりたい世界観で、こんな世の中にしたいという強い想いです。


ビジョンの掘り下げ


ビジョンドリブンなマーケティングをさらに考えていくために、ビジョンについて見ていきましょう。

ビジョンの私の一言は、ビジョンとは心から実現したい1枚の未来像です。

良いビジョンの条件は3つあると思っていて、次の通りです。


良いビジョンの条件
  • 心の底から実現したいと思える世界観 (まだ実現していなく簡単ではない)
  • 深い洞察や原体験がベースになっている
  • 公共性がある (1人よがりではない)


キング牧師のビジョン


ビジョンの例で私がよく引用するのは、キング牧師です。


マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が、1963年のワシントン大行進で行った演説で、「I Have a Dream (私には夢がある) 」 と聴衆に語りかけました。

キング牧師のビジョンは、先ほどの良いビジョンの3つの条件を満たしています。

一部を引用すると、

I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.

私には夢がある。いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の子どもたちとかつての奴隷所有者の子どもたちが、友愛のテーブルを囲み一緒に座っているという夢である。

キング牧師の、人種差別を無くす強い意思と、人種差別が無くなった未来を描く世界がはっきりとイメージできます。自分の意思を投影した未来像です。

自分の原体験や人種差別を受けている人々の願いから、未来はこうあるべきという姿を確信を持って伝えるビジョンです。

以下は実際のキング牧師の演説の動画です。ぜひご覧ください。





* * *


マーケティングへの当てはめ


先ほどご紹介した良いビジョンの条件は3つでした。


良いビジョンの条件
  • 心の底から実現したいと思える世界観
  • 深い洞察や原体験がベースになっている
  • 公共性がある (1人よがりではない)


3つはマーケティングに当てはめることができます。


1. 心の底から実現したいと思える世界観


1つ目は、提供する商品・サービスでこんな理想を実現したいという想いがベースになります

機能価値と感情価値を提供し、顧客の幸せに少しでも貢献したい気持ちからです。


2. 深い洞察や原体験がベース


洞察の対象は大きく2つあります。1つは顧客理解、もう1つは商品・サービスへの理解です。

前者の顧客理解は、顧客インサイトと言われる顧客自身は普段は意識していませんが、そうだと気づかされれば行動や時には習慣すらも変えるような奥に感情や本音です。

商品・サービスへの理解は、機能やスペックだけではなく、開発の背景、つくり手のストーリーや込めた想いまでです。

顧客とプロダクトの両方への洞察があり深く理解しているからこそ、マーケターは両者をつなぐ仲人の役割を果たせます


3. 公共性がある


ビジョンは最初は自分の内側から生まれますが、どこかで自分本位から脱却します。1人よがりの信念ではとどまりません。

顧客や世の中に無理やり押し付けるのではなく、商品・サービスが示す未来像 (ビジョン) に共感が得られていることを目指します。ここにマーケティングの役割があります。


ビジョンでの独自化


ビジョンドリブンなマーケティングをするとは、ビジョンそれ自体で独自化を実現するということです。

独自化のレイヤーはいくつかに分けることができます。


独自化をするレイヤー
  • 機能やデザイン
  • ユーザー体験
  • ビジネスモデル (顧客からは見えない裏の仕組み)
  • ビジョン


わかりやすいのは1つ目の機能やスペック、デザインからの独自化です。

しかしここは競争環境が激しいです。機能だけの独自化路線は短期的になってしまうこともあります。

一方のビジョンからの独自化は一朝一夕では実現されません。だからこそ長期の展望で取り組む必要があり、ここにマーケティングも貢献します。


虚像から実像へ


ビジョンを示した当初は虚像にすぎません。ビジョンとはまだ実現されていない未来像だからです。

最初は実感のない虚像ですが、商品・サービスの認知を広げ、興味関心を得て、理解を深めてもらいます。さらに買って使ってもらい、利用され続け、愛着を持ってもらうように働きかけます。

こうした一連のマーケティング活動によってビジョンは虚像から実像へ変わります。これがビジョンドリブンマーケティングです。


まとめ


今回はビジョンドリブンなマーケティングについてでした。

最後に記事のまとめです。


Why から始めるマーケティング
  • Why とはマーケティングの目的、描くビジョン
  • ビジョンとは心からつくりたい世界観。こんな世の中にしたいという強い想い
  • マーケティングは Why から始めることが大切


ビジョンドリブンマーケティング
  • 提供する商品・サービスでこんな理想を実現したい想い、顧客の幸せに少しでも貢献したい気持ちがある
  • 顧客とプロダクトの両方への洞察と深い理解から、マーケターは両者をつなぐ仲人の役割を果たせる
  • 顧客や世の中に無理やり押し付けるのではなく、商品・サービスが示す未来像 (ビジョン) に共感を得る


虚像から実像へ
  • ビジョンを示した当初は虚像にすぎない。ビジョンとはまだ実現されていない未来像だから
  • マーケティング活動によってビジョンは虚像から実像へ変える (ビジョンを実現していく)


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。