
この記事で書いているのは、OODA ループのビジネスでの活用方法です。
OODA ループは、問題設定と問題解決プロセスのフレームに使えます。
✓ この記事でわかること
- OODA ループとは
- 問題設定と実行プロセス
- コンサルティング事例での活用例
ご紹介したいのは OODA ループを使った問題解決方法です。問題を設定して解決への実行をするプロセスに OODA ループが当てはまります。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
OODA ループとは
最初にご紹介したいのは OODA ループです (ウーダループと読みます) 。
OODA ループとは、意思決定と実行のプロセスです。OODA は4つの頭文字です。
✓ OODA ループ
- Observe (観察) : 情報を収集し観察する
- Orient (状況判断) : 収集した情報を解釈し、意味合いを考える
- Decide (意思決定) : 状況判断にもとづいて決断をする
- Act (行動) : 実際の行動に移す
OODA ループと問題解決
ご紹介した OODA ループは、問題解決のプロセスと同じなんです。
問題設定から解決策の実行までのそれぞれで、OODA ループの4つを意識しながら進めるといいです。
では OODA ループに沿って問題解決のステップを見てみましょう。
[ステップ 1] Observe 観察
まずは問題が起こった現状把握をします。
どこに問題があるかという、これから掘り下げるべき特定の箇所の見極めです。切り口から現状を分解し、問題の原因がこの先にありそうだという領域を特定します。
[ステップ 2] Orient 状況判断
2つ目の状況判断としてやるのは 「問題の本質の見極め」 と 「問題解決のための課題設定」 です。
先ほどの特定した原因を追究する箇所を掘り下げます。Why を繰り返し、問題の真因に迫ります。
問題の本質を見極めたら、問題解決のための課題を設定します。問題と課題の分離が大事です。
✓ 問題と課題の違い
- 問題: 「現状」 が 「あるべき姿」 になっていない阻害要因
- 課題: 問題 (あるべき姿を妨げている要因) を解決するためにやること
課題とは問題解決のために取り組む活動です。
この意味において、問題解決という言葉はありますが、課題解決は本来の言葉としては適切ではありません。課題というアクションをやることによって、問題を解決します。
[ステップ 3] Decide 意思決定
設定した課題からより具体的な実行策を考え、自分たちが何をやるのか、そして何をやらないのかを決めます。
実行策は 「何を・誰が・いつまでに」 に落とし込み、各自の役割と責任を明確にします。
[ステップ 4] Act 実行
現場での実行を進めます。
ここで大事なのは実行を現場に投げ放しや、やって終わりではなくフォローの仕組みもつくります。
フォローから実行内容の振り返りと検証をして、次の OODA への2回目のループに入るようにします。実行プロセスと結果の観察です。
* * *
BtoB コンサルティングの事例
ここまでの OODA ループに当てはめた問題解決プロセスを、具体的な事例でご紹介します。
私が関わった BtoB ビジネスへのコンサルティングです。いくつかの案件をミックスしてご説明しますね。
では OODA の4つで順番に見ていきましょう。
[ステップ 1] Observe 観察
起こっていた事象は既存事業の伸び悩みでした。数字を見ると売上の鈍化です。
いくつかの切り口で分解したところ、特定の領域で他よりも売上が減少していました。具体的には、顧客セグメントで5つに分けた時にセグメント B と C で案件単価が前年よりも低下していました。
また、セグメント D ではリピート率が他のセグメントよりも明らかに低くなっていました。
原因の追求のために掘り下げるべき箇所をセグメント B, C, D としました。
[ステップ 2] Orient 状況判断
数字の分析と営業担当者へのヒアリングも重ねると奥にある要因が見えてきました。
セグメント B と C の単価減少の原因は新たな競合の出現です。受注数を取るために利幅を削ってでも提案をしていました。
セグメント D のリピート率の低下要因は、顧客からの期待と提供した成果物の品質にギャップがあったからです。提案時に成果物への過大評価につながる説明を顧客にしていました。
以上を問題として、解決のための課題設定は次のようにしました。
✓ 既存事業を成長させる課題
- うまくいっているセグメント A と E に人員リソースをシフトして攻める
- B と C は受注ではなく1件あたり利益額を追うべき指標として利益率を改善する
- D は営業と商品開発側で情報のすり合わせを行う。提供価値を正しく伝える営業方針に変更し顧客からの期待値をコントロールする
ここまでで、OODA の半分です。一度整理しますね。
[ステップ 3] Decide 意思決定
意思決定として、5つの顧客セグメントのそれぞれで KPI を明確にしました。
✓ KPI 設定
- セグメント A と E は新規商談数。新しい顧客開拓をする
- B と C は1件あたりの利益
- D はリピート率
また実行をやり抜くことを徹底するために 「どの案件を」 「誰が」 「いつまでに」 を明確にしました。併せて、各顧客への提案の進捗状況を次のように可視化しました。
✓ 進捗状況の可視化 (5つのステージ)
- 商談へのアポ開始
- 顧客課題の理解、課題に沿った提案
- 先方での提案評価・検討中
- 稟議
- 受注
[ステップ 4] Act 実行
週次で各セグメントごとに全顧客の進捗を可視化しました。
現場の営業担当者に任せ放しではなくフォロー体制もつくりました。
もう1つ私が提案したのは組織知を高める仕組みです。顧客課題の理解や成功・失敗要因の知見の共有です。
具体的には、顧客へのコミュニケーションや顧客課題の理解 (掘り下げる方法も含め) 、提案での成功要因と失敗要因 (進捗の途中で失注した理由) を組織内で積極的に発信し合いました。
各メンバーが自分自身の進め方の振り返りにもなり、他者の経験から学びを得られる機会を増やしました。1人ひとりの中で OODA ループをまわす狙いもあります。
以上の OODA からの問題設定と解決までのまとめです。
まとめ
今回は OODA ループのビジネスでの活用方法、問題解決を例にご紹介しました。
最後に記事のまとめです。
OODA ループ
- Observe (観察) : 情報を収集する
- Orient (状況判断) : 収集した情報を解釈し、何を意味するのかを考える
- Decide (意思決定) : 状況判断から決断をする
- Act (行動) : 行動に移す
OODA ループと問題解決
- 問題の真因把握のために掘り下げるべき特定の箇所の見極め [観察]
- 「問題の本質の見極め」 と 「問題解決のための課題設定」 [状況判断]
- 問題解決の実行策を 「何を・誰が・いつまでに」 まで落とし込む [意思決定]
- 現場での実行を進める。フォローの仕組みもつくる [実行]