2021/04/28

マーケティングの 「パルス消費」 を解説。本質は消費者インサイトの顕在化




今回はマーケティングです。「パルス消費」 を取り上げます。


この記事でわかること


  • パルス消費とは
  • ピンとくる瞬間とは 「消費者インサイトの顕在化」
  • 点ではなく線で捉えよう
  • マーケティングの難しさと醍醐味


マーケティング理論の 「パルス消費」 から、消費者の心理と行動を掘り下げます

マーケティングの考え方やものの見方は、ビジネスで汎用的に役に経ちます。ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。


パルス消費とは


最初にパルス消費とは何かです。

Google が2019年に提唱した消費者行動です。

パルス消費とは、スマホを操作している時に瞬間的に買いたい気持ちになり、買いたい商品を発見し、その瞬間に購入を完了させる消費者行動です

従来の消費行動で一般的に言われていたのは、購買プロセス AIDMA の 「認知 - 興味 - 欲求 - 記憶 - 行動」 を徐々に階段のように上がっていくプロセスでした (ジャーニー型購買プロセスで下図の左) 。

パルス消費の特徴は瞬間的に買いたい気持ちが生まれ、一気に欲しいまで駆け登ります (右側がパルス) 。

引用: Think with Google


Google の説明ではパルス消費はスマホを使っている時に起こるとしています。

これは私の解釈で、より広く捉えるとスマホを使っている以外にも、店頭や日常のふとした瞬間にも同じ様の突発的な消費行動は見られます。


パルス消費の三段階


パルス消費のメカニズムをもう少し掘り下げてみましょう。

Think with Google の記事に解説があり、参考になりました。

瞬間的に買いたくなる 「パルス消費」 、衝動買いと何が違う?|Think with Google


以下は記事からの引用です。

パルス消費とは、現代の人々がスマホなどで、商品やサービスに関わるさまざまな情報を自由自在に探索している途中で、とある商品に対して期待している潜在的なメッセージに 「出会った」 と感じたときに、直感センサーが発動し、購入を決定するという行動のことです。

人々は意識的に、または無意識的にそういった 「出会い」 を求めて情報を 「探索し (explore) 」 「ピンときて (hit) 」 「決定する (decide) 」 —— 。これがパルス消費のメカニズムなのです。

 (中略)

調査を続ける中で、パルス消費とは 「物を買う瞬間」 、つまり 「商品とお金を交換する瞬間」 を指すのではなく、あくまで消費者が 「特定の商品やサービスに対してピンとくる瞬間」 のことを指す、ということも浮き彫りになってきました。

 (引用: 瞬間的に買いたくなる 「パルス消費」 、衝動買いと何が違う?|Think with Google)

パルス消費のメカニズムを三段階で整理をすると、次のようになります。


パルス消費の三段階
  1. 探索する [Explore]
  2. ピンとくる [Hit]
  3. 決定する [Decide]


引用の最後にあったようにパルス消費が起こるのは、消費者が 「特定の商品やサービスに対してピンとくる瞬間」 なのです。

* * *


パルス消費で思ったこと


ここからは Google のパルス消費について思ったことです。

2つあります。


パルス消費で思ったこと
  • パルス消費とは 「消費者インサイトの顕在化」
  • 点ではなく線で捉えよう


順番にご説明しますね。


[持論 1] 消費者インサイトの顕在化


パルス消費が起こるのは、消費者が 「特定の商品やサービスに対してピンとくる瞬間」 でした。

ここからさらに掘り下げると、消費者がピンと来ている対象は消費者インサイトです。

そもそもの消費者インサイトとは何かですが、私の一言の定義は 「消費者インサイトは人を動かす隠れた気持ち」 です。普段は消費者本人も自覚していませんが、そうだと気づかされれば購入などの行動につながる奥にある本音です。

パルス消費が起きる瞬間は、この消費者インサイトが表に出てきた時です。そのままの勢いで買うなどの行動まで一気に駆け上ります。

あくまで私の解釈ですが、パルス消費を 「消費者インサイトの顕在化」 と見ると腹落ちしました。


[持論 2] 点ではなく線で捉えよう


もう一度、従来型の消費者行動とパルス消費のイメージの比較です。

引用: Think with Google


右側のパルス消費は認知から購買まで垂直的に起こっているので、パルス消費とは 「点」 と見てしまいがちです。

しかし私の持論は 「パルス消費は点ではなく線で捉えるべき」 です。

というのは、先ほどの消費者インサイトの顕在化ともつながることで、パルス消費が起こる 「ピンとくる」 はあくまでそれまでの結果としてだからです。ピンとくる前、つまり消費者インサイトが顕在化する前に消費者本人も認識していなかった消費者インサイトが少しずつ心の奥で蓄積されていたと見ます。

積み重ねがあり、あるタイミングで最後にピンとくるというこの見方が 「パルス消費は点ではなく線で捉えよう」 の意味です。


マーケティングの醍醐味


パルス消費が起こる瞬間を 「消費者インサイトの顕在化」 とすれば、マーケティングで重要になるのは顧客の消費者インサイトをどれだけ理解しておけるかです。

マーケティングで大事なのは顧客理解です。マーケティングは顧客理解から始まります。

ここにマーケティングの難しさと醍醐味があります。

難しさとは消費者インサイトの見極めです。消費者本人も普段は気づいていない奥にある本音を、赤の他人であるマーケターは理解することが求められるからです。

同時に醍醐味があります。消費者インサイトという 「心の琴線」 に触れるようなマーケティングの訴求をし、顧客に価値を届けます。マーケティングのおもしろさは、顧客の成功や幸せの実現に貢献することです。


まとめ


今回はマーケティングの消費者行動の理論である 「パルス消費」 を取り上げました。

最後に記事のまとめです。


パルス消費とは
  • スマホを操作している時に瞬間的に買いたい気持ちになり、買いたい商品を発見し、その瞬間に購入を完了させる消費者行動
  • 瞬間的に買いたい気持ちが生まれ、一気に欲しいまで駆け登る
  • パルス消費の三段階は 「探索する (Explore) → ピンとくる (Hit) → 決定する (Decide) 」
  • パルス消費が起こるのは、消費者が特定の商品やサービスに対してピンとくる瞬間


[持論 1] パルス消費とは 「消費者インサイトの顕在化」
  • 消費者がピンと来ている対象は消費者インサイト (人を動かす隠れた気持ち)
  • パルス消費が起きる瞬間は、消費者インサイトが表に出てきた時。そのままの勢いで買うなどの行動まで一気に駆け上る


[持論 2] 点ではなく線で捉えよう
  • パルス消費とは 「点」 と見てしまいがちだが、パルス消費は点ではなく 「線」 で捉えるべき
  • ピンとくるのそれまでの結果として。ピンとくる前に、消費者本人も認識していなかった消費者インサイトが少しずつ心の奥で蓄積されていた


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。