2021/04/07

わらしべ長者のサクセスストーリーに学ぶ、マーケティングと価値提供



今回は寓話とマーケティングです。寓話は 「わらしべ長者」 を取り上げます。


この記事でわかること


  • わらしべ長者のあらすじ
  • マーケティングへの学び (価値は相手が決める)
  • 価値とは相対的なもの
  • 終わりなきマーケティングでの顧客理解


今回は寓話に学ぶマーケティングです。わらしべ長者をマーケティングの観点で読み解きます

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。


わらしべ長者のあらすじ


わらしべ長者は、どのような話か覚えているでしょうか?





まんが日本ばなしのサイトには次のようにあらすじが書かれています。

何をやっても上手くいかない貧しい男が、運を授けて欲しいと観音さまに願掛けをする。すると観音さまが現れ、お堂を出た時に初めて手にした物を大切にして西へ行くようにと言われる。

男はお堂を出たとたん転んで一本の藁を手にする。それを持って西へ歩いていくとアブが飛んできたので、藁でしばって歩き続けた。泣きじゃくる赤ん坊がいたので、藁につけたアブをあげた。すると母親がお礼にと蜜柑をくれた。

木の下で休んで蜜柑を食べようとすると、お金持ちのお嬢様が水を欲しがって苦しんでいた。そこで蜜柑を渡すと、代わりに上等な絹の反物をくれた。男は上機嫌に歩いていると倒れた馬と荷物を取り替えようと言われ、死にかけの馬を強引に引き取らされてしまった。やさしい男は懸命に馬を介抱し、その甲斐あって馬は元気になった。

馬を連れて城下町まで行くと、馬を気に入った長者が千両で買うと言う。余りの金額に驚いて失神した男を、長者の娘が介抱するが、それは以前蜜柑をあげた娘だった。長者は男に娘を嫁に貰ってくれと言い、男は藁一本から近在近郷に知らぬ者のない大長者になった。

 (引用: まんが日本昔ばなし ~ データベース ~)


わらしべ長者の物語は、次の流れで男が持っていたものが変わっていきました。




わらしべ長者のストーリー展開
  • 最初に手にした 「藁 (わら) 」 を持って西に向かう
  • アブをくくりつけた藁を子どもをあやしたい母親に上げ、密柑をもらう
  • 水を求めて苦しんでいた女の人に密柑を渡す。お礼に上等の絹の反物をもらう
  • 反物と馬を交換する
  • 馬を千両で譲ってほしいと言われ男は気を失う。介抱してくれたのは密柑を上げた女の人だった
  • その女性と結婚し男は大長者になった

* * *


マーケティングで学べること


わらしべ長者にはビジネスへの示唆があります。

価値とは何かです。

マーケティングの観点では、わらしべ長者からの学びは 「価値は相手が決めるもの」 です。

最初は藁を手にしますが、主人公の男にとっての藁の価値は、たかってくるアブをくくりつける程度の物でしかありませんでした。しかし、これを必要とした人がいました。泣きじゃくる子どもを何とかしたいと思う母親です。


価値は相手が決める


同じものでも人によって価値かどうかは変わります。

マーケティングでも同じで、提供者側 (売り手) がどれだけ自分たちの商品やサービスが良いと思っていても、お客さんが価値だと思わなければ買ってもらったり使い続けてもらえません

顧客視点で捉える重要性です。


価値とは相対的


価値について、さらに掘り下げてみましょう。

 「価値は相対的なもの」 です。

相対的とは、「誰が」 「どんな状況で」 「何と比べるか」 によって、同じものでも価値がある時もあれば、そうではない時もあるのです。

わらしべ長者に当てはめれは、もし子どもの機嫌が良ければアブがついた藁は母親にとって価値はありません。お金持ちの女性は、喉が渇いて苦しんでいなければ密柑は欲しがらなかったでしょう。

困っている状況で、かつその問題を解決できる代替手段が他にはなかったからこそ、主人公がその時に持っていたものが価値になったのです


マーケティングと顧客理解


先ほど 「価値は相手が決める」 と書きました。さらに掘り下げると、同じ人でも状況によって価値かどうかは変わります。

ここからマーケティングへの学びは、お客さんの状況や利用シーンにおいて具体的にどんな価値なのかを理解する重要性です。


環境は変わり続ける


仮に現時点で自分たちの商品やサービスをお客さんに価値だと思ってもらえたとしても、この先もそうだとは限りません。

なぜなら市場環境は常に変わっているからです。具体的にはお客さんの置かれた状況、例えば生活スタイルや商品の価値観です。これらは少しずつですが、常に変わり続けています。BtoB のビジネスでも同様で、顧客企業や部門のビジネス環境は変化しています。

変化の要素は他には競合他社の存在です。競合他社とは今回の文脈で言えば、同じような価値提供を狙っているプレイヤーです。


終わりなき顧客理解


自社が提供する商品やサービスが価値があるかどうかは、結局のところは顧客に訊かないとわかりません

顧客自身や置かれた状況・環境が変わり続けます。

これらが意味するのは、顧客理解に終わりはないということです。どこまでいってもマーケティングは顧客理解を深めることが大事なのです。

提供者側にとって自分たちには思いもよらなかった物や体験が、顧客にとっては価値になることがあるわけです。こうした顧客基点で顧客の状況をつぶさに観察して顧客理解を深めることに、マーケティングの難しさと醍醐味があります。


まとめ


今回は 「わらしべ長者のサクセスストーリー」 から学ぶ、マーケティングで大切な顧客理解についてでした。

最後に記事のまとめです。


わらしべ長者のストーリー展開
  • 最初に手にした 「藁 (わら) 」 を持って西に向かう
  • アブをくくりつけた藁を子どもをあやしたい母親に上げ、密柑をもらう
  • 水を求めて苦しんでいた女の人に密柑を渡す。お礼に上等の絹の反物をもらう
  • 反物と馬を交換する
  • 馬を千両で譲ってほしいと言われ男は気を失う。介抱してくれたのは密柑を上げた女の人だった
  • その女性と結婚し男は大長者になった


マーケティングへの学び 1
  • わらしべ長者からの学びは 「価値は相手が決める」
  • 提供者側 (売り手) が自分たちの商品やサービスが良いと思っても、お客が価値だと思わなければ買ってもらったり使い続けてもらえない


マーケティングへの学び 2
  • 価値は相対的なもの。「誰が」 「どんな状況で」 「何と比べるか」 で、同じものでも価値になる時もあれば、そうではない時もある
  • マーケティングへの学びは、お客の状況や利用シーンにおいて具体的にどんな価値かを理解する重要性


終わりなき顧客理解
  • 提供する商品やサービスが価値があるかどうかは、結局のところは顧客に訊かないとわからない
  • 顧客理解に終わりはない。マーケティングは顧客理解を深めることが大事
  • 顧客基点で顧客の状況を観察し顧客理解を深めることに、マーケティングの難しさと醍醐味がある


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。