今回はサントリーの 「ほろよい」 を取り上げ、15年以上も人気であり続けるロングセラーの秘訣を探っていきます。
サントリー ほろよい
出典: 日経クロストレンド
サントリーのアルコール飲料 「ほろよい」 は発売から15年たった今も、若者やお酒をあまり飲まない人に人気です。
ヒト, コト, ココロ
ほろよいのロングセラーの秘密は、結論から言うと 「ヒト, コト, ココロ」 がきれいにつながっていることにあります。
ターゲット顧客 (ヒト) 、飲用シーン (コト) 、飲んだときにそうなってほしい気分 (ココロ) までを明確にした商品開発からパッケージ、マーケティングを展開しているのです。
では、3つを順番に詳しく見ていきましょう。
お客さんの理解
サントリーが注力しているのは、お客さんについての理解です。
ほろよいの開発やマーケティングでは、消費者は 「お酒を飲むことでどんな気分になれるのか」 を知るところからはじまっています。具体的にどんなイメージをしながらお酒を買おうとしているという若者の購買心理を捉えようとしました。
たとえば仲の良い友達とだけ飲んだり、ゲームをしながらや映画を鑑賞しながらといったような好きなことをしながら飲み、どんな気分になれるかを期待しながらお酒を購入する心理です。
では 「なりたい気分」 をどのように見出し、決めているのでしょうか?
「なりたい気分」 を企画する会議
ほろよいの新しいフレーバーをつくるなどの商品開発では、サントリーは 「なりたい気分」 を話し合う企画会議を実施しています (参考記事) 。
具体的には、商品の企画提案をする際のベースとして、たとえば 「この季節になりたい気分」 をまず設定します。ここではお酒の味にとらわれず、たとえば7月だったら 「海でわいわいしたい」 といったイメージをします。味や旬の食材というより、「なりたい気分」 から企画が始まるわけです。
こうした企画会議には、開発担当者だけではなく、デザイン、宣伝など幅広い立場の人が参加します。各自の感覚をもとにした意見が活発に出され、自由度の高い企画会議を行っているとのことです。
納得のロングセラー
このように、ほろよいの開発ではターゲットとするお客さんの飲用シーンと、その時に 「なりたい気分」 を具体的に描き、そこから逆算し、シンプルで分かりやすい商品に落とし込まれています。商品開発からマーケティングにおいて、「 “ほろよい” を飲んだらどんな気分になるのか」 を明確にすることを徹底しているわけです。
お客さんの行動と心理までしっかりと捉え、開発からマーケティング、営業や販売まで一気通貫でつながっています。
サントリーほろよいは 「ヒト、コト、ココロ」 が連動し、お客さんの期待やニーズに応える商品づくりとマーケティングを展開しています。15年以上にわたって支持され続ける秘訣といえるでしょう。
顧客起点になっていて、納得のロングセラーです。
まとめ
今回はサントリーのアルコール飲料 「ほろよい」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 商品開発やマーケティングでは、まずターゲット顧客を定め、行動と心理の両方から掘り下げお客さんのことを深く理解をすることが重要
- ニーズや奥にある望みに応える商品を提供し、商品を使ったり保有することで、お客さんはどんな気持ちになるかまでを描くといい
- ヒト (ターゲット顧客) 、コト (ユーザー体験) 、ココロ (お客さんのなりたい気分) をつなげ、明確にすることが大事
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