後発参入で新しい商品を出す場合、市場における自社商品のポジションをどう築くかは、頭を悩ませる課題ではないでしょうか？
今回はユニ･チャームの事例から、後発参入プレイヤーが勝ち筋を見出す方法を解説します。
ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート
出典: ユニ･チャーム
ユニ･チャームが、妊活のタイミングを教えてくれるおりものシートを発売します。商品名はそのままで、｢ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート｣ です。
医療機関に通ったり、専用キットを使ったりする必要がなく、手軽に検査できるのが特徴です。
通常のおりものシートのように装着して数時間ほどたつと、シートに入った判定サインが反応します。妊活に適しているとされる時期 (排卵時期を含む6日間程度) であれば2本の線が表れ、適していない時期であれば1本の線が表示されます。
後発参入プレイヤーの勝ち筋
ユニ･チャームの ｢ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート｣ からは、後発参入プレイヤーが成功するためのヒントが得られます。
キーワードは ｢リプレイス｣ です。
リプレイスとは
リプレイスとは、既存の商品やサービスを新しいもので置き換えることです。既存のものが競合他社の商品、それを新しく置き換えるのが自社商品という関係になります。
リプレイスが起こるのは、新商品が既存のものよりも高い価値があったり、よりお値打ちである場合、あるいは既存商品では解決されていないお客さんの未充足ニーズを満たすときです。
ではリプレイスという視点で、｢ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート｣ を掘り下げていきましょう。
まずは既存の妊活の方法にある ｢不｣ からです。
既存方法の不
これまでの妊活方法では、次のような ｢不 (不便さや使いにくいところ) ｣ がありました。
- 専用の検査キットには一定の手間がかかる。具体的には朝起きてすぐに検査をし、正確な判定のためにはキットを一定時間水平に保つ必要があるなど。体温測定を毎日続け、記録を管理しながら妊活のタイミングを自分で判断する必要がある
- クリニックや産婦人科に通う手段もあるが、時間と費用がかかる
- 1人目の子どもがいて2人目の妊活の場合は、検査キットや専門機関に通う方法では1人目の育児に手をとられる
以上のような ｢不｣ が従来の妊活にはありました。
では、ソフィはどのような特長があるのでしょうか？
リプレイスへの比較優位
既存の妊活方法に対して、｢ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート｣ の比較優位を整理してみましょう。
- 手軽さ
専用キットや医療機関を利用する必要がなく、自宅で日常生活の中で手軽に検査ができる - 簡単な操作
シートを装着するだけで、朝起きてすぐに検査をしなくても数時間後には妊活の適切なタイミングが出る - 時間の節約
仕事や家事で忙しい人でも簡単に妊活のタイミングを把握できるため、時間の節約になる - アプリ連動
ユニ･チャームの生理管理の公式アプリと連動することで、より詳細な生理周期や排卵日の通知ができる。妊活のタイミングを逃すことを防げる - コストパフォーマンス
｢ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート｣ は5枚入りで498円。専門のクリニックや産婦人科での診断費用に比べて手頃な価格
リプレイスを起こすポイント
では最後に、今回の事例からの学びを一般化してみましょう。
後発参入のプレイヤーがリプレイスを成功させるためには、次のことがポイントになります。
- ターゲット顧客の設定
商品のターゲット顧客を定めることで、誰の何の問題を解決するかを明確にする。リプレイスをどう起こすかのストーリーを具体的に描く - 顧客理解
お客さんの置かれた状況、使っている商品、未充足ニーズなどのお客さんの現状をしっかりと理解する。既存商品を使っているお客さんにとっての ｢不｣ を見出す - 価値定義
自社商品が既存商品に比べてのどこに優位性があり、お客さんにとっての使用価値や保有価値を定義する - 価値提案
お客さんにもたらすことができる価値を、お客さんの心の琴線に触れる言葉にして伝える。価値提案によってお客さんが自社商品にシフトする、つまりリプレイスが起こるトリガーになる
以上のことは、後発参入プレイヤーが市場で勝ち筋をとらえるために押さえておきたいポイントです。
まとめ
今回は ｢ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート｣ から、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 後発参入のプレイヤーが成功するには ｢リプレイス｣ を起こせるか。リプレイスとは既存の商品やサービスを新しいもので置き換えること。リプレイスが起こるのは、新商品が既存のものよりも高い価値があり、お買い得でコスパがいい、あるいは既存商品でのお客さんの未充足ニーズを満たすとき
- リプレイスを実現するためには、ターゲット顧客を定め、お客さんの ｢不｣ を見つける。自社商品の既存商品と比べて優位性から、お客さんにもたらされる価値を定義する
- 商品特徴をターゲット顧客の心のホットボタンを押す言葉で表現し、相手に心に響く価値提案でリプレイスを実現しよう
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