投稿日 2023/12/11

お客さんの 「買いたい」 をつくる。クリエイティブジャンプを起こす方法

#マーケティング #共感 #クリエイティブジャンプ

今回のキーワードは 「クリエイティブジャンプ」 です。

お客さんの心をつかみ、お客さんからの 「買いたい」 という気持ちをつくるコミュニケーションの秘訣を探ります。ぜひ一緒に学んでいきましょう。

心を動かす広告クリエイティブ


人の心を動かすためには 「共感」 が大事です。

共感


共感とは 「その気持ち、私にも分かる」 「自分も同じように感じる」 「なぜ私の悩みを知っているの?」 と感じるときに生まれます。

すでに表面化している感情やニーズを動かそうとしても共感は浅くなり、相手にはあまり響かないでしょう。

広告クリエイティブから相手の心の琴線に触れるためには、いかに 「それを言われたら確かに買う」 を訴求できるかです。広告で伝えたい商品・サービスの便益と、相手から共感を得られるポイントを重ねた表現にするかがポイントです。

ここで重要なのが 「クリエイティブジャンプ」 という概念です。

クリエイティブジャンプ


クリエイティブジャンプとは、お客さんが潜在的に感じていたことをズバリ言い当てる瞬間です。

広告クリエイティブからお客さんの心の奥底にある隠れた望みや不満に触れられれば、商品やサービスへの 「欲しい」 や 「買いたい」 をつくることができます。

クリエイティブジャンプの例として、ゲームソフトを買いたくなる気持ちをつくり出した事例をご紹介します。

元電通で、現在は株式会社北尾企画事務所および株式会社 ants 代表取締役の北尾昌大 (まさひろ) さんがおっしゃっていたことです。

電通に所属していたときに任天堂のテレビ CM を担当していて、かなりの本数を制作してきました。クリエイティブのゴールは 「ゲームをやりたいと思ってもらうこと」 です。

それを目指すのであれば、ゲームソフトの新しくて面白そうな部分を映像で見せればいいと考えるのが普通でしょう。しかしそれでは 「楽しそうだね」 で終わってしまい、購買の強い動機にはつながらないのではないかと考えました。お子さんたちにとってゲームソフト1本は大きな買い物ですからね。

そのときに思いついたのは、ゲームプレーで失敗したシーンを見せることでした。例えばプレー中のマリオが穴を飛び越えられなくて落ちてしまえば、横に座って見ていた友人は 「ちょっと待て、俺に代われよ」 という気持ちになりますよね。それを、そのゲームの売りとなる新しいシーンを使ってやれば、深層心理をついた共感と、伝えたい便益とを同時に果たせると考えました。

では、どうすればクリエイティブジャンプを起こすことができるのでしょうか?

顧客理解からのクリエイティブジャンプ


クリエイティブジャンプによってお客さんの 「買いたい」 という気持ちををつくるためには、ステップがあります。

まずはターゲットとなるお客さんをしっかりと決めることが大事です。

次に、お客さんの理解です。ポイントは奥にある心理をどこまで掘り下げられるかです。

置かれた環境、普段の行動や習慣、何に価値を見出しているかの価値観、顕在ニーズ、表面化したり言語化できていない潜在的に感じているであろう奥にある望みや不満までです。

こうした顧客理解をもとに、共感を生むような広告の表現や描写を工夫することが必要になります。これがうまくできれば、お客さんの心の琴線に触れ、商品やサービスに対する 「それを言われたら確かに買う」 という心のツボを押すことができます。相手の急所をグサッと刺すようなイメージです。

お客さん目線での商品の便益や価値提案が入った広告クリエイティブがジャンプを起こし、お客さんの心をつかむことができるのです。


まとめ


今回は 「クリエイティブジャンプ」 をキーワードに、お客さんの 「買いたい」 をつくるコミュニケーションについて掘り下げました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 広告クリエイティブの成功のカギは 「共感」 。表面化している感情やニーズだけでは大きくは響かない。真の共感は、お客さんの 「それを言われたら確かに買う」 と感じるクリエイティブジャンプが起こるときに生まれる

  • クリエイティブジャンプを成功させるためのステップは、まずはターゲットとなるお客さんの深い理解。環境や価値観、潜在的な感情まで掘り下げる。顧客理解をもとにお客さんの心の琴線に触れて共感を生む価値提案から、お客さんの 「買いたい」 という購入意向の気持ちをつくる


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。