今回のテーマは 「SNS マーケティング」 です。
こちらの本、SNS マーケティング7つの鉄則 (飯髙悠太, 室谷良平, 鈴木脩平) が興味深かったので、読んで学んだことを中心にご紹介します。
ぜひ一緒に SNS マーケティングへの学びを深めていきましょう。
本書の概要
この本の全体像を文字で図示すると、次のようになります。
- SNS マーケティングが重要
- 中でも UGC (ユーザーの SNS 投稿や口コミ) がカギを握る
↓↓↓ なぜなら…
- UGC がシェアされることで指名検索が増え、購入意向が醸成され、買ってもらえるから
↓↓↓ そこで…
- 実現するために ULSSAS モデル (詳細後述) で体系化
↓↓↓ 大事な姿勢は…
- 企業アカウントからの SNS 投稿をバズらせるのではなく、ユーザーが自らつくったり投稿してくれた UGC がバズることを目指す
- 他者貢献の姿勢が大切
SNS マーケティングにおいて、特に口コミやユーザー投稿の UGC を促し、口コミのつくり方から、成果につながる運用体制の構築までを解説している本です。
SNS マーケティング
UGC の効果
この本のキーワードの1つが UGC (User Generated Content) 、つまりユーザーからの自然発生的な口コミや投稿です。
UGC には興味深い相関があり、「UGC と指名検索数」 「指名検索数と売上」 に相関関係が見られます。
UGC を見て興味を持ち、さらに知りたくなり検索し、もっと関心が高まるとお店に行ったり EC サイトで購入するという行動が起きます。UGC が生まれれば、指名検索が増え、売上がアップするという流れができます。
UGC の特性として、信頼性が高いことから購入意欲が高まるなどの態度変容につながりやすいため、UGC は SNS マーケティングの鍵を握ります。
拡散ループを実現する ULSSAS
本書が提示する、SNS マーケティングを効果的に進めるために体系化されたモデルが 「ULSSAS」 です。
出典: ホットリンク
ULSSAS は6つの英語の頭文字をとったフレームです。
- U: UGC
新商品の発売後、ユーザーが写真つきの投稿を X や Instagram に投稿する - L: Like
UGC を見たユーザーがいいねやリポストをする。エンゲージメントが高くなると拡散されリーチが伸び、より多くの人の目に触れるようになる - S: Search 1 (SNS 検索)
いいねがついた UGC を見たユーザーが、商品について気になり始める。SNS 上で検索をして情報収集する - S: Search 2 (Google / Yahoo! 検索)
商品の詳細の検索、買える最寄りの店舗やサイトを知りたいと思い、検索エンジンで指名検索をする - A: Action (来店や購買)
お店に足を運んだり EC サイトに訪問し、商品を買う - S: Spread (拡散)
商品の写真を撮り、それを X や Instagram 上に投稿し新たな UGC を生む。その投稿 (UGC) にまたいいねがついたり、リポストされる
以上の 「UGC → Like (いいねがつく) → SNS 検索 → Google 等の検索 → 来店・購入 → 拡散」 という流れが続くと、ULSSAS のサイクルがまわり、自然と情報が拡散していきます。
いかに UGC がシェアされるかに焦点を当てる
SNS マーケティングの中で、UGC に注力をするなら、忘れてはいけない大事な姿勢があります。「自社アカウントによる投稿がバズること」 よりも 「UGC がバズること」 の重要性です。
先ほど見た ULSSAS がまわる状況にするには、ユーザーから自然に発生する UGC を増やすことに尽きます。
企業がすべきは、起点となる UGC をつくってもらえるよう働きかけ、効果的に広がるようにすることです。
拡散の下地を作り、(UGC の元ネタになる) 良いコンテンツを作ることが必要になります。たとえるなら、UGC が拡散していく高速道路網を整備し、快適な道を人々が車で走りたくなるという状況をつくるイメージです。
多くの UGC が出るように 「シェアされるマーケティング」 を目指します。
SNS マーケティングというと、自社の X や Instagram の企業公式アカウントからの投稿を、いかにバズられるかに目がいき、インプレッション数 (表示回数) やフォロワー数の数字に一喜一憂してしまいがちです。
しかしもっと大切なのは、SNS を利用している人たちに UGC としてどう取り上げてもらうか、どのように広げてもらうかです。SNS 上で仕掛ける以外にも、UGC が生まれやすくなるようにパッケージ、店舗デザイン、広告コミュニケーションの工夫も必要になります。
企業アカウントからの SNS 投稿をバズらせるよりも、ユーザーが自らつくったり投稿してくれる UGC がバズることを目指すという、他者貢献の姿勢が大切です。
積層型の拡散を目指す
口コミの数は、多くのケースでは 「入射角」 と 「反射角」 が等しい波形になります。
急に口コミが増えた話題は、冷めるのも早いです。グラフにすると尖った三角形のイメージです。急激に上がったものは急激に下がり、一方で緩やかに上がったものは緩やかに下がるわけです。
「スパイク型」 という細く尖った山の形を描く口コミ数の波形では一過性の認知に終わるため、マーケティングの投資対効果は低くなります。盛り上がってもすぐに忘れさられ、瞬間風速はあるものの持続しません。
それよりも口コミ数の波形が右肩上がりになるような 「積層型」 の施策を仕掛けていくほうが、中長期的な成果が出ます。投資対効果の面からもおすすめなのは、地道に口コミを生み出し、評判をストックさせていくことです。
良い評判が蓄積されていれば、どこかでブランドについて見聞きして気になったり、 SNS 検索してくれた人がその評判に触れてくれるでしょう。 一過性のバズを狙うのではなく、UGC が積み上がる施策を丁寧に設計することが大事です。
まとめ
今回は、SNS マーケティング7つの鉄則 (飯髙悠太, 室谷良平, 鈴木脩平) という本をご紹介し、読んで学んだことを中心に見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- UGC は SNS マーケティングにおいて重要。ユーザーから自然な口コミや投稿がされることで、商品への信頼性が上がり UGC を見た人の購入意向を高める効果がある
- ULSSAS モデルは UGC が生まれ、Like され、SNS 検索、検索エンジンでの検索、購買、そして UGC からの拡散 (Spread) という流れを示す。ULSSAS のサイクルがまわれば、自然と情報が拡散していく
- SNS マーケティングで大切な姿勢は、企業は自らの SNS 投稿をバズらせるより、UGC がいかに拡散されるかに注力すること。ユーザーが生み出すコンテンツの価値を最大化する取り組みが大事
- 一過性の 「スパイク型」 のバズより、持続的な 「積層型」 の口コミ発生を目指す。積層型には長期的な効果があり、ブランドとしての良い評判を高められる
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