売上を伸ばそうという気持ちが強すぎ、お客さんの立場になりお客さん目線になることを忘れていないでしょうか?
本当にお客さんにとっての価値のある提案ができているでしょうか?
今回はカロリーメイトの事例から、顧客起点での商品展開とマーケティングの秘訣を紐解きます。
カロリーメイトがリキッドタイプに注力
出典: 日経クロストレンド
カロリーメイトが登場したのは、今から40年前の1983年です。体に必要なタンパク質、ビタミン、ミネラルなど5大栄養素をバランス良く含み、「栄養調整食品」 と銘打った初の商品でした。
カロリーメイトの主力品は固形タイプのブロックですが、2023年春から販売を強化しているのが、飲料タイプ (リキッド) です。
2023年7月の週末に東京・渋谷で行われたリキッドのサンプル配布イベント (出典: 日経クロストレンド)
5月には朝食の栄養サポートとしてリキッドの飲用などを提案するイベントを実施し、7月には東京を皮切りに全国4都市でサンプリングを行いました。働く人に向けた販促にも力を入れています。
学べること
ではここからは、カロリーメイトがリキッドタイプを強化する狙い、そこから私たちが何が学べるかを掘り下げていきましょう。
固形タイプと飲料タイプの違い
カロリーメイトの固形タイプと飲料タイプでは、購入される時間帯や顧客層が異なるようです。
具体的には、固形であるブロックタイプは主に朝や昼の食事時に購入され、10 ~ 20代の学生や若い社会人が中心的な購買層です。一方の飲料のリキッドタイプは午前11時や午後3時といった食事以外のすきま時間に買われています (参考記事) 。
飲料タイプを飲む年齢層も広がっており、ブロックタイプに比べると年代が高めの人たちがリキッドタイプを選んでいます。
このように、時間帯や年齢層が違うことから、リキッドタイプはブロックタイプがリーチできないところを補え、リキッドの拡充はカロリーメイト全体の拡大につながります。
お客さんにとっての価値
消費者の立場になると、カロリーメイトから摂取できる栄養素は同じでも、ブロックやリキッド、他にはゼリーとタイプが異なることで、食べたり飲むシチュエーションが変わります。
売り手は各シーンに最適な商品ラインナップを用意することで、どんな状況でも取りこぼすことなく様々なシチュエーションで選ばれることが期待できます。
お客さんはバランス良く栄養素が摂れ、用途やシーンに合った飲食ができることに価値があるわけです。
顧客起点のマーケティング
カロリーメイトの事例からの学びを一般化すると、形やサイズ、容量の違いなどで商品ラインナップを増やす場合には、お客さん目線で 「お客さんが得られる価値」 を起点に考えることの重要性です。
売り手が単に種類を増やして売上を伸ばしたいというだけでは、本当のお客さんの立場にはなれていません。ともすると押し売りのようになってしまいます。
どんなマーケティング活動を展開するとしても、根底にはお客さんにどのような価値を提供するのかという視点が大事です。
形状、サイズや容量はもちろんこと、価格、広告や販促に至るまで、全ての要素が 「お客さんにとってどのような意味を持つのか」 を考えること。ここにマーケターの役割があります。
まとめ
今回はカロリーメイトの事例から、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 形状やタイプの違いによってお客さんの商品利用シーンは変わる。お客さんの使用用途やシチュエーションに合わせた商品ラインナップを提供することで、多様なニーズに応えられる
- 商品の形やサイズを変更したり、種類を増やす際は、売上を伸ばそうという売り手視点になるだけではなく、お客さんが得られる価値を中心に考える 「顧客起点」 が大事
- マーケティング活動には、お客さんにどんな価値を提供するのかという視点を持とう
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