2019/10/12

書評: 事例でわかる新・小売革命 - 中国発ニューリテールとは? 小売の本質から見る小売の未来




今回は、書評です。

事例でわかる新・小売革命 - 中国発ニューリテールとは? という本をご紹介します。





  • どんなことが書かれている本?
  • 小売の本質とは?
  • 本質からの3つのフレームに見る小売の未来

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、
です。

この本は、中国のニューリテールの事例とともに、小売の本質とは何か、小売の未来はどうなっていくのかを考えされ、読み応えがありました。

ぜひ記事を読んでいただき、本も手にとってみてください。


この本に書かれていること


以下は、内容紹介からの引用です。

アリババ、テンセント、バイドゥ、シャオミなど、巨大 IT 企業たちが火花を散らす中国の小売業界。

e コマースで勝つために、彼らが打った次の一手、それはなんと【リアル店舗での販売】だった!!

小売店経営者、EC サイト運営者、起業家など、これからの小売ビジネスを模索する人は必読!

この本を興味深く読めたのは、ニューリテールの事例もさることながら、小売の本質が書かれていたからです。

本質から導き出された3つのフレームが紹介され、フレームから考えるニューリテールとは何か、小売の未来はどうなっていくのかを読みながら考えさせられました。


小売の本質


では、小売の本質とは何でしょうか?

この本では、小売の本質は 「人」 と 「物」 をつなぐ場所とします。

技術やビジネスモデルの進化があったとしても、小売の基本要素は 「人」 「物」 「場所」 の3つです。

ちなみに、小売の本質とは何かの表現で、私が使うのは小売の本質は 「消費者と商品が出会う場」 です。つなぐという言い方より、出会う場のほうがしっくりくるので、この言い方をしています。


本質からの 「3つのフレーム」


本書で使われる3つのフレームがあります。

この本の柱となる3つです。小売の本質を構成する、「人」 「物」 「場所」 からです。


 「人」 からのフレーム


1つ目のフレームは、人の視点で見た売上の要因分解です。

売上 = 人流量 (トラフィック) × 成約率 × 客単価 × リピート率

別の表現をすれば、小売での売上は 「来店客数 × 買上げ率 × 客単価 × リピート率」 となります。

売上を因数分解することによって、どこに問題があるか、解決するための課題は何かを考えやすくなります。

例えば、
  • 集客はできているか
  • 来店客は買ってくれたか
  • 一人あたりの支払金額はどの程度か
  • リピート客になってくれているか
を1つ1つ見ていきます。

小売が今後に問われるのは、リアルとウェブを融合させデータを活用し、分解した要素を最適化させ、売上の最大化をどのようにやっていくかです。


 「物」 からのフレーム


2つ目のフレームは、物の視点からです。

以下のような、物が人に届くプロセスが書かれています。

D - M - S - B - b - C

それぞれは英語の頭文字からです。


物が人に届くプロセス
  • Design (デザイン):商品を設計するプロセス
  • Manufacture (メーカー):工場などでの製造
  • Supply Chain (サプライチェーン):卸などの代理店でつながる流通経路
  • Business (商業施設):ショッピングセンターやスーパーマーケット・コンビニなど
  • business (商店):夫婦経営店などの個人商店
  • Consumer (消費者):エンド顧客


ニューリテールでは、このプロセスを技術や仕組みによって、どれだけ効率化・短縮できるかがポイントです。

効率を高めるほど、最終的にはエンド顧客である消費者に恩恵を与えることができます。


 「場所」 からのフレーム


小売という場所では、次の3つが買いものプロセスをつくっていると、本書では説明します。


買いものプロセスをつくる3つ
  • 情報流:商品の情報 (商品説明、パッケージや見た目のデザインも含む)
  • 金流:買うための支払い
  • 物流:商品を受け取る


小売の未来に影響するのは、それぞれにおいて、どれだけユーザー体験を良くできるかです。

オンラインの効率性と、オフラインの信用性やリアリティ (ユーザー体験) を融合することによってです。


小売のビジネスモデル


さて、これからの小売のビジネスモデルはどうなっていくのでしょうか?

従来の小売のビジネスモデルは、シンプルに言えば商品を仕入れ販売することです。仕入れ価格と販売価格の差分が利益になります。

今後の可能性として、このビジネスモデルだけではなく、以下のような収益源もつくることができるかが、本書を読んであらためて考えさせられたことです。


小売のビジネスモデルの可能性
  • 会員費:月額や年間の会員費。例えばコストコがやっている顧客の有料会員化
  • 広告宣伝費:小売の店舗をメディアと捉え、広告宣伝費を生む
  • プラットフォーム参加費:さらに小売をプラットフォームと見立てれば、ブランドがプラットフォームに参加するためにメーカーが投資する



まとめ


今回は、事例でわかる新・小売革命 - 中国発ニューリテールとは? という本をご紹介しました。





最後に今回の記事のまとめです。



この本を興味深く読めたのは、ニューリテールの事例に加え小売の本質が書かれていたから。
本質から導き出された3つのフレームから考えるニューリテールとは何か、小売の未来はどうなっていくのかを読みながら考えさせられた。


小売の本質は 「人」 と 「物」 をつなぐ場所。技術やビジネスモデルの進化があったとしても、小売の基本要素は 「人」 「物」 「場所」 の3つ。
 (自分が使う小売の本質は 「消費者と商品が出会う場」 )


小売の本質を構成する、「人」 「物」 「場所」 から3つのフレーム
  • 売上 = 人流量 (トラフィック) × 成約率 × 客単価 × リピート率
  • D (デザイン) - M (製造) - S (サプライチェーン) - B (商業施設) - b (個人商店) - C (消費者)
  • 情報流 (商品の情報) - 金流 (支払い) - 物流 (商品の受け取り)


小売の未来に影響するのは、それぞれにおいてどれだけユーザー体験を良くできるか。オンラインの効率性と、オフラインの信用性やリアリティ (ユーザー体験) を融合することによって実現していく。





事例でわかる新・小売革命 - 中国発ニューリテールとは?

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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。