今回は、ファシリテーションについてです。
- ファシリテーターの役割 (本質) とは?
- うまくファシリテーションをするためのポイント
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、
- ファシリテーターの本質的な役割
- ファシリテーションを成功させる方法
ファシリテーションは、会議やワークショップなどで人が集まった時に、皆でより良い解決策を生み出すために活きるスキルです。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、仕事での参考にしてみてください。
ファシリテーターの役割
いきなりですが、ファシリテーターと聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
私の一言の定義は、ファシリテーターとは触媒者です。
発言を引き出し、各自のアイデアをつなげ、より良いアイデアにし、合意形成を支援する役割です。
ファシリテーターに求められることは、3つあります。
ファシリテーターに求められる3つ
- 可視化
- 活性化
- 合意形成
可視化と活性化の補足です。
可視化は、出たアイデアや意見をホワイトボードなどに書き、流れていかないようにします。
活性化は、メンバーの発言を促し、掘り下げながら多様な声を引き出します。新しい着眼点を提供し発散させたり、出そろった情報の整理 (収束) をしていきます。
ファシリテーターの基本のスタンスは、メンバーの発言を 「聴く」 ことです。
ファシリテーター自身は話しすぎず、あくまで立場は触媒者であり支援者です。場の主役ではありません。私はここに、ファシリテーションとサーバントリーダーシップ共通点を見ます。
聴くために意識していること
では、相手の発言を聴くために、何を心がけるとよいでしょうか?
私が普段ファシリテーションをする時に意識しているのは、次のことです。
聴くために意識していること
- 事実・根拠・意見を区別する
- 省略・抽象化を掘り下げる
- 前提の違いに気づき理解する
以下、それぞれについて順番に解説します。
[聴くために 1] 事実・根拠・意見を区別する
発言について、「事実」 「根拠」 「意見」 がどう構成されているかを意識すると、相手の発言を理解しやすくなります。
具体的には、以下の視点で事実・根拠・意見を区別して聴きます。
事実・根拠・意見を区別する
- どんな事実に基づいての発言か
- 事実は客観的か、それとも本人の主観的なものか
- 言っていることの根拠は何か
- どこまでが事実で、どこからが意見か
- 結局のところ意見は何か (イエス? ノー? 中立?)
誰もが理路整然と、事実に基づき根拠が明確な意見を言うわけではありません。発言には出てこなくても、その人の中では何かしらの事実に基づいていたり、言語化できていない根拠や意見があるはずです。
ここをうまく引き出してあげるという、ファシリテーターの役割があります。
[聴くために 2] 省略・抽象化を掘り下げる
2つ目は、省略や抽象化への対応です。
発言者は意識していなくても、言っている中身が省略されていたり、抽象化されているために、他のメンバーには意味が十分に通じない場合があります。
省略とは、例えばロジックの飛躍です。事実に基づいていなく、根拠が不十分な単なる思いつきの意見もそうです。他には、「あれ」 「この前の」 などの表現です。
抽象的な言い方がされれば、具体に落とし込みます。
例えば、以下のようなカタカナは、発言者本人とまわりのメンバーでは認識がずれている場合があり、すれ違ったままで議論が続くことになります。
意味の認識を合わせたほうがいい言葉 (例)
- ユーザーとのエンゲージメント
- プラットフォーム
- SaaS
- サブスクリプション
- ユーザーエクスペリエンス
- インサイドセールス
一般的な意味とは違った捉え方をされているケースもあるので、具体的にどんな意味なのかです。
例えば、「ユーザーとのエンゲージメント」 とは、ユーザーは具体的に誰で、エンゲージメントとはどういう状態を指しているのかの認識を合わせます。
[聴くために 3] 前提の違いに気づき理解する
人は立場によって、ものの見方、意見、発言が変わります。
例えば同じ人でも、本社にいた時、現場に配属された時、子会社に出向した時で、その時々の状況によって見ているレンズが変わるものです。
議論の場で、総論では皆は賛成しているが、各論で議論が平行線になっている場合は、前提の違いがないかを意識するとよいです。
例えば、ある商品の売上を上げる目的は共通している、営業チームとマーケティングチームの会議があったとします。
売上という総論は一致しているものの、各論での手段では、
- [営業] 値引きをしても売りさばきたい (客数を増やす)
- [マーケ] 価格を適切に上げたい (一時的に顧客数を減らしてでもブランドを維持したい)
前提の違いの1つは時間軸です。営業は短期的な売上を前提に考えており、マーケは中長期で見ています。
このまま議論を続けると、営業とマーケの社内での影響力が大きいほうが意見を押し切るような、後味の悪い意思決定になりかねません。
ファシリテーターの役割は、どちらか一方に肩入れするのではなく中立な立場になることです。それぞれの立場から前提を理解し、どちらの意見も正しいという認識で向き合います。
ファシリテーターは、A or B の対立の中で、もっと良い C 案を皆で出すための触媒になることです。
例えばこのケースでは、同じコストをかけるのであれば値引きよりも、販促や販路への働きかけによって、短期でも新規顧客を獲得できる施策は何ができるかです。
マーケティングの 4P で言えば、Product はすぐには変わらない前提のもとで、Price よりも Promotion や Place での対応策です。
まとめ
今回は、ファシリテーションについてでした。
最後に今回の記事のまとめです。
ファシリテーターとは触媒者。発言を可視化し引き出し、各自のアイデアをつなげより良いアイデアにし、合意形成を支援する役割。
ファシリテーターの基本のスタンスは、メンバーの発言を 「聴く」 こと。ファシリテーター自身は話しすぎず、あくまで立場は触媒者であり支援者。場の主役ではない。
聴くために意識していること
- 事実・根拠・意見を区別する
- 省略・抽象化を掘り下げる
- 前提の違いに気づき理解する