投稿日 2019/10/11

企画提案は 「常識」 と 「芸術」 の間を狙うべし




今回は、マーケティング、仕事での提案についてです。

  • 「常識」 と 「芸術」 の間とは?
  • 広告コピー、マーケティング、企画提案の共通点とは?

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、相手に伝わるコミュニケーションや提案の方法です。

例えば仕事での企画提案において、納得をしてもらい通すための落とし所をどうすればよいかを書いています。

広告やマーケティングの知識もつくような内容になっています。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、仕事での参考にしてみてください。


優れた広告コピー


最初にご紹介したいのは、広告コピーってこう書くんだ!読本 という本に書かれていた 「優れた広告コピー」 についてです。





この本で印象的だったことの1つは、「優れた広告コピーは "常識" と "芸術" の間にある」 と説明されていたことです。

ここで言う 「常識」 とは聞いても当たり前と思うこと、「芸術」 とは聞いてもわからないことです。

優れた広告コピーとは、見たり聞いたりした時に、「それは当たり前」 でもなく、「何を言っているのかわからない」 でもなく、ちょうどその中間にあるというわけです。

広告コピーを見た時に、「そういえばそうだね」 と思えるものです。


常識と芸術の間にある
  • それは当たり前 = 常識
  • そういえばそうだね = 広告コピー
  • わからない = 芸術


広告コピーの役割は、それを見た時に相手に気づきを与えることです。言われて初めて、普段は意識の下に眠っているものが呼び起こされます。

誰でも知っている 「そりゃそうだ = 常識」 という当たり前すぎても、「そんなのわかんない = 芸術」 でも、良い広告コピーにはなれません。


マーケティングコミュニケーションに一般化すると


広告コピーが常識と芸術の間にあることは、マーケティングに一般化して当てはめることができます。

消費者の 「そう言われてみるとそうかも」 という気持ちは、マーケティングの言い方をすれば消費者インサイトです。

私の一言の定義は、消費者インサイトは 「人を動かす隠れた気持ち」 です。

普段は消費者本人も意識していないが、そうだと気づかされれば買うなどの行動につながり、時には習慣すらも変えてしまう奥にある感情です。

奥にあった自分の気持ちや望みとして認識できれば、ニーズとなって現れます。

マーケティングコミュニケーションによって訴求した時に、消費者に "それは知ってた" と気づきが与えられなければ 「常識」 です。一方、"何を言っているのかわからない" と思われてしまえば 「芸術」 に当たります。

常識と芸術の間である "確かにそうかも" に落とし込めるか、消費者インサイトという心の琴線に触れることができるかです。


企画提案の落としどころ


常識と芸術の間に落とし込むことを、仕事の仕方に応用してみます。

例えば、新しい企画を提案する場合です。

常識と芸術の間とは、提案内容が相手にとって 「言われてみればそうかもしれない」 や 「確かにそうだ」 と思ってもらえるかです。

これがもし 「今さら言われなくても知っている」 であれば常識、「何を言っているのかよくわからない」 であれば芸術になってしまいます。

相手がなんとなく感じていたこと、しかし明確には認識できていなかったり言語化されていないことを提案によって気づかせてあげる、そして、すぐに実行に移したほうがよいと思ってもらえることが、良い提案です。


納得感へのバランス


新しい企画提案において、大事だと思うのは相手にとっての新規の情報ボリュームです。

提案内容とは、相手にとって新規の情報です。全くの新しい内容ではないかもしれませんが、少なくとも普段は意識できていない、気づいていないことです。

ただし、企画提案の中に新規情報だけを入れると、受け取る相手にとっては情報過多になります。つまり大事なのは、相手にとっての既知情報があり、その中にどれだけ新規情報を入れ込むかです。

既知情報とは、納得していたり、すでに合意していることです。それに対して新規情報とは、提案に関する相手にとっての新しい情報であり、理解に努めないといけないものです。

既知情報から入り、提案者である自分と受け手である相手と認識の共有と納得感を積み上げ、新規情報を入れ合意形成をしていきます。


まとめ


今回は、相手に伝わるコミュニケーションや提案の方法についてでした。

広告コピー、マーケティングコミュニケーション、仕事での企画提案の共通点をご紹介しました。

最後に今回の記事のまとめです。



優れた広告コピーは 「常識」 と 「芸術」 の間にある。
  • それは当たり前 = 常識
  • そういえばそうだね = 広告コピー
  • わからない = 芸術
広告コピーの役割は、それを見た時に相手に気づきを与えること。言われて初めて、普段は意識の下に眠っているものが呼び起こされる。


マーケティングに一般化すると、消費者の 「そう言われてみるとそうかも」 は消費者インサイト。
消費者インサイトは 「人を動かす隠れた気持ち」 。普段は消費者本人も意識していないが、そうだと気づかされれば買うなどの行動につながり、時には習慣すらも変えてしまう奥にある感情。


常識と芸術の間に落とし込むことは、仕事の仕方に応用できる。
新しい企画の提案から、相手がなんとなく感じていたこと、しかし言語化されていないこと気づかせてあげる。そして、すぐに実行に移したほうがよいと思ってもらう。


新しい企画提案において大事なのは、相手にとって新規の情報ボリューム。
新規情報が多すぎると、受け取る相手にとっては情報過多。すでに納得や合意できている既知情報から入り、認識の共有と納得感を積み上げながら、新規情報を入れ合意形成をしていく。




広告コピーってこう書くんだ!読本 (谷山雅計)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。