投稿日 2023/02/08

たんぱく質入りスナック菓子 BODY STAR 。ポジショニングのつくり方

出典: PR TIMES

今回のテーマはポジショニングです。

おやつカンパニーのお菓子 「BODY STAR」 を取り上げて、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • BODY STAR 発売1年目の評価と手応え
  • お菓子と鶏むね肉に対する、それぞれへの強み
  • BODY STAR の価値イメージからのポジショニング
  • ポジショニングのつくり方

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

BODY STAR 発売1年目の手応え



こちらのインタビュー記事を読みました。

おやつカンパニー専務 / マーケティング本部長・髙口裕之が明かす 「BODY STAR」 発売1年目の通信簿と2年目の戦略|Marketing Native

ベビースターラーメンを販売するおやつカンパニーが、タンパク質訴求のスナック菓子 「BODY STAR」 を発売したのが2021年3月15日でした。

おやつカンパニーの取締役専務執行役員でマーケティング本部長の髙口裕之さんが BODY STAR の発売1年目の自己採点、誤算や手応え、2年目の戦略を語っています。

―― 手応えや成果はどうですか。

ターゲットの消費者からの見られ方を最も大切にしているのですが、その点に関しては想定通りです。それを如実に感じ取れるのが Amazon の売れ筋ランキングで、常連のロングセラーブランドが肩を並べる中、まだ2年目を迎えたばかりの BODY STAR が100位内に毎日のようにランクインしています。

ソーシャルリスニングや意識調査をすると、主な購買層は 「スナック菓子を食べたいけど、健康管理やボディメイクにも興味があって、実際に食事管理にある程度取り組まれている方」 です。

定性的なデータですが、その方々には 「ボディメイクをする以上、スナック菓子は我慢しなければいけないと思っていたけれど、BODY STAR のような商品があった」 「スナック菓子を食べるなら BODY STAR」 と認識いただけたと考えています。

EC の場合、単価100円台のスナックを1袋だけ購入するのは難しく、我々もケースやボールという単位で販売しています。

 「ボディメイク中だけど、鶏の胸肉やササミだけでは飽きるからスナック菓子も食べたい」 と考えるターゲットの方々が、複数個入りの BODY STAR をケース買いし、リピート購入していただいているからこそ Amazon の売れ筋ランキングで安定的に動いているわけです。その傾向がはっきりと見えてきた点は大きな手応えになっています。

学べること


では BODY STAR から学べることを掘り下げていきましょう。

BODY STAR の価値イメージ


ターゲットとなるお客さんが持っている BODY STAR のイメージは次のようなものでした。

✓ BODY STAR の価値イメージ
  • スナック菓子を食べるなら BODY STAR
  • 鶏の胸肉やササミだけでは飽きるけど、BODY STAR のような商品があった

スナック菓子、ササミなどのたんぱく質が多く含まれる食品に比べて、BODY STAR はそれぞれへの強みを打ち出せています。

想定するターゲットのお客さんがお菓子を食べようと思った時には、タンパク質も摂れるならと BODY STAR のほうを選んでもらえます。

鳥の胸肉やササミばかりで食べるものにマンネリが起こってしまっている人には、たんぱく質も摂りつつおいしく食べられるという魅力があります。

このように BODY STAR は他の食べる候補に比べて選びたくなる独自の要素があります。ポジショニングができているのです。

ポジショニングのつくり方


今回の話から学べるのはポジショニングのつくり方です。

ポジショニングは相対的です。相対的とは比べられるものによって、何の視点で比較するかでポジショニングが変わるという意味です。

BODY STAR では一般的なお菓子と比べてなのか、それともササミなどのたんぱく質の多い食べ物と比べられるかで BODY STAR の独自性やメリット、どこに魅力を感じるかが変わりました。

ポジショニングで大事な捉え方は 「ポジショニングはお客さんの頭の中にある認識」 だということです。誰が、何と、どんな切り口で比べるかによってポジショニングが決まります。

売り手の都合で認識やイメージをお客さんに押し付けるのではなく、マーケティングで重要なのはお客さんの文脈に沿って価値を伝え、他にはない具体的なメリットやうれしさを提案したり、提供することです。

その結果としてお客さんの頭の中に自社商品やサービスのポジショニングができるのです。


まとめ


今回はお菓子の BODY STAR を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ ポジショニングのつくり方
  • ポジショニングは相対的。誰が・何と・どんな切り口で比べるかによって決まる
  • あくまでお客さんが頭の中に持っている価値イメージや認識
  • 売り手の都合でイメージをお客さんに押し付けるのではなく、お客さんの文脈に沿って価値を伝え、他にはない具体的なメリットを提案・提供しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。