投稿日 2023/02/17

パナソニックの発売前家電の有料体験サービス。最初にお金を払ってくれた人の情報に価値がある

出典: PR TIMES

今回のテーマは 「お客さんからのフィードバックをどう得るか」 です。最初にお金を払ってくれた人の情報に価値があるという話です。

おもしろいと思ったパナソニックの新サービスを取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • パナソニックが 「発売前の家電」 の有料体験サービスを開始
  • 新サービスの狙い
  • 誰の声を聞くか問題
  • 最初にお金を払ってくれた人の声

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

パナソニックの新サービス


パナソニックが発売前の家電を先行体験できるサービスを始めるとのことです (リリースはこちら) 。

発売前の家電を有料体験


体験サービスの第一弾は 「自動計量 IH 炊飯器」 です (200台限定) 。

出典: PR TIMES

スマートフォンから遠隔操作して好みの時間に炊き上げることができる炊飯器です。炊飯器の上部に 2kg までの無洗米が入れられ、0.5 ~ 2 合のお米が炊きあがります。

ちなみに体験サービスの価格は送料と税込みで4万6000円です。

体験サービスの狙い


発売前の先行体験サービスの狙いは消費者に体験した感想をもらい、新製品を実際に市販するか判断したり、デザインや機能の改良につなげることです。

リリースには次のように書かれていました。

プログラム参画者にはいち早く新たな価値の製品を体験頂き、その体験に基づいたお声を元に、パナソニックは新たな生活価値・くらしスタイルの提供に繋げていきます。

いち早く試せる価値


化粧品やサプリなどの健康食品ではよくある 「試供品 (サンプル品) 」 ですが、パナソニックはこのアプローチを応用しています。

無料ではなく有料の体験サービスとし、第一弾の 「自動計量 IH 炊飯器」 では送料込みで4万6000円です。これをお手頃と見るか高いと見るかは分かれそうですが、サービス利用者にとっての価値は 「まだ一般的な発売前にいち早く新製品を試せること」 にあります。


学べること


ではパナソニックの有料体験サービスから学べることを掘り下げていきましょう。

誰の声を聞くか


本当に市場に受け入れられるかどうかがわからない新製品は、想定するお客さんに受け入れられるかを評価する必要があります。

ここで重要なのは 「誰の声を聞いて評価をするか」 です。適切な人に使ってもらうことで、実際の使い勝手、具体的にどのように使うのかをお客さん視点で理解することができます。

パナソニックの発売前の家電の有料体験サービスは新製品をいち早く、それもお金を払ってでも使ってみたいという人からの声を聞く仕組みになっています。

最初にお金を払ってくれた人の評価


自社商品・サービスが本当にお客さんにとって価値があるかは、結局は商品をお客さんに使ってもらわないとわかりません。

だったら 「実際に使ってもらって試してもらおう」 というのがパナソニックの体験サービスです。

使ってもらうことで具体的な用途や利用シーンにおいてどんな価値があるのか、または足りないものは何かを知ることができます。新製品であれば市場性を把握でき、より良くできる改善点も見えてくるでしょう。

有料化というフィルター


注目したいのは体験を有料にしていることで。あえて有料サービスにすることで声を聞く人を振り分けるフィルターの役割を果たしています。

試供品として無料で配るよりも、あるいは売り手がお金を払ってモニターとして試してもらうよりも、お金を払ってでも使いたい、欲しいと思ってくれる人からは、より真実味があり信憑性の高い評価が情報として得られます

お試しの機会であってもあえて有料にできないかを考えてみるとマーケティング施策のヒントになります。有料にして儲けるというよりも、価値のある情報を得る手段としてパナソニックのやり方は参考になるアプローチです。


まとめ


今回はパナソニックの発売前家電の有料体験サービスを取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ お金を払ってくれた人の情報に価値がある
  • 自社商品が本当にお客さんにとって価値があるかは、実際に使ってもらわないとわからない
  • 無料の試供品からのお試しではなく、お金を払ってでも欲しいと思ってくれる人からは、より真実味があり信憑性の高い評価が得られる
  • 体験の有料化を声を聞く人のフィルターとし必要な情報を取りにいこう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。