投稿日 2023/02/20

Z 世代男性向け化粧品アンリクス。お客さん視点になることの本質


今回のテーマは顧客理解です。「お客さん視点になることの本質は何か」 という話です。

おもしろいと思った花王の化粧品ブランドを取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • Z 世代の男性向け化粧品アンリクス
  • 言語化したZ 世代男性のメイクの捉え方
  • お客さん視点になることの本質

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

化粧品 「UNLICS (アンリクス) 」 



こちらの記事を読みました。

花王が Z 世代向け新ブランド - 誕生の裏に 「新入社員時代の疑問」|日経クロストレンド

Z 世代男性向けの新ブランド


花王が新たに発売した Z 世代向けの化粧品ブランド 「UNLICS (アンリクス) 」 についての記事です。

花王が2022年12月に、Z 世代向けのメンズコスメブランド 「UNLICS (アンリクス) 」 を新たにローンチした。Z 世代の男性の化粧品購入率が伸長している背景をくみ、4品目12品種を展開する。

現時点では EC 限定で販売予定だが、将来的にはグローバルに展開し年間50億円の売り上げを計画している。

 「メイクは服装や髪型を変えるのと同じ」 


開発担当者の 「若年男性がメイクをどう捉えているか」 の見立てが興味深かったです。

花王 化粧品事業部門 商品開発担当の宮尾健吾氏は、Z 世代の男性の美意識について 「Z 世代の男子は美容への意識が高く、身だしなみを超えて『美しくなりたい』という欲望が強い。メイクやスキンケアをすることで新しい自分になれると思う快感や、他人からきれいと言われることで自信が持てる感覚など、純粋に美を楽しみたいと思っている傾向にある」 と説明する。

続けて宮尾氏は、自身の経験をもとに UNLICS を開発したきっかけをこう語る。

 「新入社員の頃、昼休みにメイク直しをしていた時、鏡越しにたくさんの視線を感じた。男性がメイクをしていることに対して好奇の目を向けている人が今でも多く、なぜ見た目をきれいにして良い気分になることが特別視されないといけないのかと感じた。メイクをすることは髪形を変えたり、自分の好きな服を着たりすることと全く同じはず。男性が堂々と化粧をできるよう、純粋に美を楽しめるようなブランドをつくりたいと考えた」 

メイクへの認識として 「メイクは服装や髪型を変えるのと同じ」 とターゲット顧客のことを理解しています。

具体的に言語化できているということは、お客さんの価値観や奥にある心理まで共有できているわけです。

顧客理解からのコンセプト立案


男性向け化粧品のアンリクスのコンセプトは、ターゲットユーザーの理解や開発担当者の新入社員の時の原体験からできあがりました。

宮尾氏の疑問をきっかけに、約2年の開発期間をかけて UNLICS は完成した。

ブランド名は 「UNLIMITED (限りない) 」 と 「CURIOSITY (好奇心) 」 を組み合わせたもので、誰もが好奇心の赴くままに美を求められる世の中を目指す。スローガンは 「HUNGRY FOR BEAUTY. (欲望のままに美しく) 」 と題し、欲望のままに美を追求する男性を応援するという意味を込めた。

学べること


花王のアンリクスから学べるのは 「お客さん視点になるとはどういうことか」 です。

お客さんの関心領域


アンリクスの開発ではターゲットとする若年男性の中でも特に美容への意識が高い人たちのことを理解しました。前半で見たターゲットユーザーの捉え方である 「メイクは服装や髪型を変えるのと同じ」 が象徴しています。

想定するユーザーが普段の日常生活でメイクをどう捉えているのかを広く見ました。化粧品カテゴリーの中の閉じた世界だけを見ずに、関心があるであろう服装や髪型などのファッションやおシャレに広げてお客さんのことを理解したわけです。

本当の顧客視点とは


学びを一般化すると 「お客さんが普段から見ている景色を見ようとする姿勢」 が大事です。そのためには全体像を広げてお客さんを理解するといいです。

全体像を広げるとは、

  • 自社商品だけではなくカテゴリー全体
  • さらにはカテゴリーの周辺領域 (例: メイク以外の服装や髪型) まで

このように理解する範囲を広げることでお客さんが普段考えていたり関心のあること、見ている光景と同じものを捉えることができます。これが顧客視点になるということです。


まとめ


今回は Z 世代男性向け化粧品のアンリクスを取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 顧客視点と顧客理解
  • お客さんのことを全体像を広げて理解することが大事
  • 自社商品だけではなくカテゴリー全体、さらにはカテゴリーの周辺領域にも広げていく
  • 顧客視点になるとはお客さんが普段考えていたり、見ている景色と同じものを見ようとすること


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。