投稿日 2023/02/25

ゆこゆこネットが 「お節介な電話対応」 でシニアに人気。マーケターはお客さんの代弁者たれ


今回のテーマは顧客理解です。お客さんを理解し 「マーケターはお客さんの代弁者たれ」 という話です

おもしろいと思ったシニア向けのオンライン旅行予約サービスを取り上げ、マーケティングに学べることとしてお客さんを理解する方法を掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • オンライン旅行サイト 「ゆこゆこネット」 
  • 人気の秘密はお節介な電話対応?
  • マーケターの役割
  • お客さんを理解する方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ゆこゆこネット


ご紹介したいのは 「ゆこゆこネット」 です。

シニア向けのオンライン旅行サイト


ゆこゆこネットでは温泉旅館を中心に1泊2食付きの宿泊プランが掲載され、1人1万円前後の価格感です。

ゆこゆこホールディングス (東京・中央) が運営する 「ゆこゆこネット」 は国内最大級のシニア向けオンライン旅行サイトだ。

会員数は791万人で、年間送客数は約230万人泊に上る。利用者の年齢層は70代が 22% 、60代が 18% 、80代以上が 13% 、50代が 13% と圧倒的にシニア層が多いのが特徴だ。

シニアに人気の理由


ゆこゆこネットがシニアから人気がある理由について、続けて記事から見てみましょう。

シニアのインターネット普及率は年々上がっているものの、60代や70代以上では不得手な人も結構いる。それでも利用者が多いのには理由がある。

その一つは 「電話で細やかな相談」 ができることだ。年配利用者はネットでの検索閲覧はできても、宿泊施設の細かな状況を確認したい人や予約に不安を感じる人が多い。滋賀県長浜市の小林春子さん (仮名, 64歳) は 「高齢の母が車椅子なので、いつも電話で丁寧・親切に相談にのってくれてうれしい」 という。

もう一つは、電話での対応時に良い意味での 「お節介」 を受けられること。例えば、宿泊先の部屋から食堂までの距離や大浴場までの階段数まで積極的に伝えてくれる。老舗の旅館では階段が長いこともあり、シニアにとってはかなりの負担となる。

京都市の鈴木哲夫さん (仮名, 63歳) は 「宿泊情報誌 (ゆこゆこ) には書いてあるが把握していなかった点を電話で説明してくれて助かった」 と話す。ゆこゆこを継続利用する理由として、こうした積極的な電話対応が大きい。

学べること


では、ゆこゆこネットからマーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。

人によってうれしいことは違う


いきなりの質問ですが、サービス提供者からこちらが頼んでもいないのに電話がかかってくるとしたらどう思いますか?

もし自分ならやめてほしいと思ってしまいます。一方でゆこゆこネットの利用者であるシニアの人たちにとっては、「助かった」 「うれしい」 などの良い体験になっています。

このように同じことをされても人によって捉え方は異なります。何に対して価値と思うかの価値観は人それぞれなのです。

お客さんとの認識ギャップ


いわば他人であるお客さんとマーケターが別の価値観を持っているとしたら、これはどう考えるかです。

もちろん大なり小なりで何に価値を見出すかが違うのは当然です。

しかし価値観のかい離があると、マーケティングの顧客理解において足かせになります。マーケターは 「自分はお客さんのことを理解した」 と思っても、自分の価値観からの色メガネで見ているとすれば歪んだ顧客理解になってしまいます。

お客さんとマーケターでものごとの捉え方にギャップがあり、それに気づかないほどマーケターはお客さんのことを理解できていないということなのです。

合わせにいくのはマーケター


ではどうするかと言うと、お客さんとのギャップを解消するために合わせにいくのはマーケターです。

順番はまずはお客さんの今の捉え方を把握するようにします。

  • どのような状況に身を置いているのか
  • どんな光景や景色を見ているのか
  • 認識、感情や心理、奥にある価値観は何か

こうした視点でお客さんとのギャップを少しづつ埋めていきます。

持論は 「マーケターはお客さんの代弁者たれ」 です。マーケターとはお客さんの顧客像を社内で最も理解し、会社の中での 「認識ギャップ」 を埋める存在です。お客さんのニーズを伝える代弁者であることがマーケターには求められるのです。


まとめ


今回は、シニアに人気のオンライン旅行サイト 「ゆこゆこネット」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ マーケターの役割
  • お客さんと価値観のかい離があると顧客理解の足かせになる
  • お客さんとマーケターで認識や価値観にギャップがあり、気づかないままだとマーケターはお客さんのことを理解できていない状態
  • お客さんとのギャップを解消するために合わせにいくのはマーケター。会社の中でのお客さんと自分たちの 「認識ギャップ」 を埋める存在


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。