2018/08/11

書評: ラストチャンス 再生請負人 (江上剛) 。自分にとって正しいことは何かを考えさせてくれる本


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ラストチャンス 再生請負人 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 読んで思ったこと (5つ)


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

順調にメガバンクの出世コースを歩んできた樫村徹夫は、送別会の帰り道 「あんたの人生、七味とうがらし」 と、辻占師に不吉で不可解な言葉をかけられる。

深みある人生にするか、辛すぎて酷い味になるかは自分次第。吸収合併を機に、飲食店チェーンの CFO に抜擢された樫村は、綻びだらけの企業を再建できるのか?


読んで思ったこと


この本を読んで思ったことです。以下の5つです。

  • 自分にとって正しいことは何か
  • 自分の心の拠り所は何か
  • お金に目が眩む顛末
  • 誰と働くかの重要性
  • 常に 「What if」 を考える

以下、それぞれについて、ご説明します。


[思ったこと 1] 自分にとって正しいことは何か


読みながらあらためて考えさせられたのは、自分にとって正しいことは何かです。

本書には様々な登場人物がいます。彼ら・彼女らは、それぞれが自分が思う 「正しいこと」 のために動きます。権力、支配、出世欲、金銭的報酬など、欲望に生きることもあれば、顧客や従業員のために自分がやらなければいけないという思いが、自分にとって正しいことです。

問われるのは、仕事を自分は何のためにやっているのか、誰に向かって仕事をしているのかです。

嘘や誤魔化しを重ねたり、短期的な誘惑に駆られれば、後から辻褄が合わなくなります。あらためて考えさせられたのは、お天道様が見ていると意識し、自分の信念に従って行動ができるかです。


[思ったこと 2] 自分の心の拠り所は何か


自分は何を信じて生きるか、心の拠り所は何かです。信じているものがあるからこそ決断でき、覚悟を決め腹をくくれます。

主人公の場合は、「人生は七味とうがらし」 と言った占い師の言葉です。人生は七味とうがらしの意味は、うらみ・つらみ・ねたみ・そねみ・いやみ・ひがみ・やっかみの7つが振りかかり、本当の人生が始まるというものです。

主人公は、自分自身に迷いがあるターニングポイントになる場面で、この占い師に会いに行きます。占い師と伝えられる占いの存在は、宗教に近い役割を果たします。神格化した精神的な対象です。


[思ったこと 3] お金に目が眩む顛末


読みながら思ったのは、お金に目が眩んだ振る舞いや行動の結末です。

本書のストーリーでは、大小のトラブルは、多くが金銭的な欲求が次第に大きくなり、自分の理性に歯止めが効かなくなるなったことからです。主人公が企業の再生請負人として転職することになった会社がまさにそうでした。

金銭欲は、際限なく大きくなり続けます。お金に目が暗み、欲望に支配された行動の顛末には考えさせられました。

自分にとって、お金よりも大切なものは何かです。目の前に提示された時、自分の頭に選択肢がある時に、お金を取らずに自分の大切な何かを優先できるかです。


[思ったこと 4] 誰と働くかの重要性


主人公のまわりには、様々な人物が登場します。主人公の仕事だけではなく、人生そのものに影響を与える人を見た時に、読みながら思ったのは誰と働くかの重要性でした。

その人を本当に信頼していよいのか、自分の味方なのか、自分は利用されているだけなのかの見極めです。関連して、誰のアドバイスや情報を信用するのかです。

人にはそれぞれ動機があります。良いモチベーションもあれば、私利私欲に駆られての思惑もあります。どれだけ人の欲望を見極められるか、自分にとって一緒に働きたい人は誰かは、あらためて考えさせられました。


[思ったこと 5] 常に 「What if」 を考える


What if という 「もし … であれば、どうなるか」 を考え、いつも選択肢を複数持っている立場の人は強いです。1つのプランだけではなく、代替案を持っておけば、例えば交渉において優位な状況を作れます。

What if からシナリオをいくつか持っておくこと、その中には最悪のシナリオを描き想定しておくことは、常に意識したいことです。

関連して、自分はどれだけ自立できているかも、本書を読みながら考えさせられました。誰かに依存しながらでしか生活できないと、立場が弱くなります。


最後に


本書で興味深かったのは、上場企業が、上場廃止となるとはどういうことか、破綻してしまうのはどんな状況なのかです。

また、そのような企業の状態において、資金繰りをするとはどういうことかも興味深く読めます。融資、増資、債権の減額や請求の保留から、それぞれの相手とのやりとりや交渉についてです。

最後まで一気に読めた本でした。



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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。