2018/08/12

書評: このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法 (北野唯我) 。自分だけの転職の判断基準を持つために


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このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容
  • 転職の思考法とは
  • 興味深いと思ったこと (5つ)


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

発売たちまち重版、「転職する前に読みたかった」 「大切な人に推薦したい」 など反響の声、続々!一生食えて、心から納得のいく仕事が見つかる、転職論の決定版。あらゆる不安やモヤモヤが、ストーリー形式で一挙に解決!

本書で解決する 「悩み」

  • 会社を辞めるべきタイミングがわからない
  • 「年収は下がるけど、魅力的な会社」 への転職はありか
  • 自分の市場価値をどう測るか、そしてどう高めるか
  • 「中途で入るべき会社」 と 「新卒で入るべき会社」 をどう見極めるか
  • 「本当にやりたいこと」 がいつまでたっても見つからないがどうすればいいのか…… etc


転職の思考法とは


この本のタイトルにも入っている 「転職の思考法」 とは、自分が転職するための判断基準をどう考えるかです。


転職の思考法 (判断基準) 
  • 自分は転職すべきか
  • 転職の目的は何か
  • どの業界が良いのか
  • 会社の選び方。自分に合った会社の見極め方
  • 面接での有効な質問の考え方


特に、初めて転職をする方には参考になる本です。

転職に対する不安や心配があっても、実際に自分は何に不安なのかが言語化されておらず客観視できなければ、不安は解消されません。

本書で学べる転職の思考法を使えば、転職へのものの見方や考え方が整理できます。漠然とした不安の原因が明確になり、判断基準に沿って行動できます。


興味深いと思ったこと (5つ)


ここからは、転職の思考法の中から、興味深いと思ったことです。以下の5つです。


興味深いと思ったこと
  • 自分の市場価値を知る方法
  • 成長市場や価値の見極め方
  • 会社を選ぶ基準
  • To do と Being の2つの型
  • 本当の失敗


以下、それぞれについてご説明します。


[興味深かった 1] 自分の市場価値を知る方法


転職において大事なのは、社内評価よりも、ビジネスパーソンとして自分が社外から見える市場価値 (マーケットバリュー) を理解することです。

本書では、市場価値は3つの軸があると説明します。3つが高いほど、市場価値に見合って給料の期待値が上がります。


市場価値の要素
  • 技術資産:価値のある技術をどれだけ持っているか。専門性と経験の2つで構成される。20代では専門性を磨き、30代では経験に重きを置くとよい
  • 人的資産:どれだけの人脈を築いているか。相談できる人、自分に仕事を依頼してくれる人、自分が仕事を依頼できる人
  • 業界の生産性:自分の所属する業界の一人あたり生産性が高いかどうか。いくら技術資産や人的資産が高くても、そもそもの業界を間違えたら市場価値は高まらない


3つのうち、市場価値に最も影響が大きいのは最後の 「業界の生産性」 だとします。

最大で20倍あると本書では説明されています。20倍とは、生産性の低い業界で働くと一人で1000万の価値が出せるとすると、別の業界では同じように働くと一人で2億の価値になるということです。

業界の生産性を考慮するとは、転職をするにあたって、どの業界を選ぶのか、自分はどこで勝負をするかです。

すでに成熟して高い生産性になっている業界と、現状はまだ生産性は高くないもののこれから成長する業界とでは、本書の主張は転職では後者を選ぶべきという考え方です。

給料の観点では、短期的には転職によって収入は下がりますが、自分の市場価値を上げるという視点では、今後の業界の成長とともに、中期的な視野に立ち自らの市場価値を上げるとよいです。


[興味深かった 2] 成長や価値の見極め方


その業界、または、業界に参入する企業が、これから成長するかを見極めるには、「その業界の非効率を突くロジックがあるか」 に注目することです。

業界の非効率とは、長らく当たり前と受け止められ、当然のように存在することです。

長く変化がないことは、業界の人には常識ですが、いつしか顧客や消費者にとっては非効率で非常識に見えます。業界の古い常識や非効率に挑戦するようなロジックがあれば、その市場は変わり成長の可能性があります。

また、価値があるかどうかの見極め方で興味深いと思ったのは、「誰もがすでに良いと気がついていることに成長はない。言われて初めて気づくことに価値がある」 という考え方です。周りは馬鹿にするが、前提にとらわれないで理屈から考えると正しいと思うことです。

この考え方は、アメリカの著名投資家であるピーター・ティールの 「あなたの真実の質問」 と同じです。ピーター・ティールは、次の質問を重視し、投資先の判断基準にします。

 「多くの人は間違いだと思うが、自分には正しい真実は何か」

ピーター・ティールについては、別のエントリーで書いています。よろしければ、ぜひご覧ください。



[興味深かった 3] 会社を選ぶ基準


考えさせられたのは、世の中にとって良い会社でも、あるいは他人が転職先として良い会社でも、自分が転職すべき会社かどうかは別だということです。

たとえ優良企業でも、自分の市場価値を上げられるか、自分が活躍できるか、その企業の人たちと一緒に働きやすいかは、冷静に考えるべきです。

例えば、新卒社員を重視する会社は、中途で入社しても活躍の場は限られるでしょう。逆も同じです。専門性の高い中途入社を期待する企業に新卒で入っても、自分の専門性を身に付けながら活躍の場を探すのは簡単ではありません。

自分の専門分野と、その会社の強みの源泉が一致しなければ、転職をしても活躍する機会は限られます。具体的には、自分は営業の知識や経験が豊富であっても、その会社は研究や商品開発力を重視するケースです。

会社を選ぶ基準は、あくまで自分にとってであるべきです。他人が言うからと、盲目的に自分にも当てはめるのは危ういです。

自分が活躍できるかを見極めるために、面接で使える質問が参考になりました。


面接での質問例
  • 求める人物像はどのような人か。どんな活躍を期待するか
  • 社内で活躍する人はどんな人か。なぜ活躍できているのか
  • 中途で入社した人の特徴、どんな業務を担当しているか。中途入社後の経歴はどういう社内パスか


[興味深かった 4] To do と Being の2つの型


興味深い指摘だったのは、人は2つの型があることでした。以下の2つのどちらを重視するかです。


2つのタイプ
  • To do 型:何をするのかでものごとを考える。明確な夢や目標を持っている人
  • Being 型:どんな人でありたいか、どのような状態でありたいかを重視する人


本書によれば 99% は後者の Being 型で、「自分のやりたいこと」 がなくても悲観する必要はないとのことです。

Being 型の人にとって大事なのは、自分を好きでいられる状態にあるかです。自分の本当の気持ちに蓋をしたり、自分に嘘や誤魔化しをしている状況が続くと、Being 型の人は自己矛盾を抱えます。


[興味深かった 5] 本当の失敗


失敗について、以下は本書からの引用です。

 「世の中で最も恐ろしい言葉のひとつは、失敗という言葉だ。これほど定義が難しく、残酷な言葉はない。多くの成功者が言うように、最後さえ成功すれば、その途中の失敗も、すべては『必要だった』と言える。要は考え方次第なんだ。だが、その中でも『100% 失敗を招く、唯一の条件』というものがある。それは腹を括るべきタイミングで、 覚悟を決めきれなかったときだ」

 (中略)

 「そうだ、誰にも人生に数度は、腹を括るべきタイミングが存在する。私にとっては最初の転職がそうだった。そのときに覚悟を決めきれない。これが 100% 後悔するための唯一の条件だ。反対に腹を括り決断した人間には、長い目で見ると失敗などない。誰に笑われても馬鹿にされても、何度でも立ち上がり未来を向くからな。これがこの世の意思決定にまつわる最大の真理なんだよ」

 (引用:このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法)

リスクを取るべきタイミングでリスクを取らず、挑戦しなかったことが最大の失敗であるという考え方です。その時は気が付かなくても、後から振り返った時に、チャレンジすればよかったと思っても後の祭りです。

自分にとっての機会が訪れた時に、その機会に気づき、行動できるかです。


最後に


この本の最初に、以下が書かれています。

 「多くの人が、転職に恐怖を感じるのは、何かを手にするからではない。人生で初めて何かを手放すことになるからだ。しかも自分の意思で」

 (引用:このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法)

転職とは、新しい機会を得る一方で、これまでの環境を捨てることです。人は誰しも、得られるものよりも失うものへの不安や恐怖を感じます。

だからこそ、本書で紹介されるような、自分だけの転職の判断基準を持っておくとよいです。

この世に自分と全く同じ人はいません。転職の思考法から、自分だけの唯一無二の基準をつくってから転職活動をしても遅くはありません。

むしろ、何も考えずに進められるがまま、あるいは今の会社に残り続けることに不安を感じたまま過ごすことは、長い人生を見た時に有効な時間の使い方ではないでしょう。



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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。