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リーン・スタートアップ - ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす という本をご紹介します。
エントリー内容です。
- 本書の内容
- スタートアップの存在意義
- リーンスタートアップとは何か。具体的な方法
本書の内容
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
リーン・スタートアップとは、新しい製品やサービスを開発する際に、作り手の思い込みによって顧客にとって価値のないものを作ってしまうことに伴う、時間、労力、資源、情熱のムダをなくし、時代が求める製品・サービスを、より早く生みだし続けるための方法論です。
著者自身が、起業で失敗を重ねる過程で得た考え方ですが、それは会社を興す人にかぎらず、企業や組織のなかであっても新しい事業を始めようとする人にも役立ちます。
本書のなかでも、「スタートアップとは、不確実な状態で新しい製品やサービスを創り出さなければならない人的組織であり、そこで働く人は皆アントレプレナー (起業家) である」 と語っています。
スタートアップの存在意義
スタートアップは、誰も他にはやっていない方法で、世の中の問題解決を目指す組織です。自分たちも本当にそれが正解かどうかがわからないやり方で、高い不確実性のある中で製品やサービスをつくります。
スタートアップの意義は、成功し世界を変えることです。
大事なのは、人々が注ぐ情熱やエネルギー、時間を無駄にしないことです。そのための具体的な方法がリーンスタートアップです。
リーンスタートアップのベースにある考え方は、不確実性の高いスタートアップでもうまくマネジメントはできること、むしろスタートアップだからこそマネジメントが適切に行われるべきというものです。
リーンスタートアップとは何か
リーンのイメージは、一流のスポーツ選手です。鍛え上げられた身体で、俊敏で無駄のない動作、パワーのある動きをするアスリートです。
リーンスタートアップは、組織でも一流選手と同じように、無駄がなく俊敏な活動で新規事業を立ち上げ、進める手法です。
具体的なリーンスタートアップの方法
リーンスタートアップの特徴は、次の通りです。
- ビジョンを描き、実現するための仮説を設定する
- 仮説を検証し、仮説が正しいかどうか、何がうまくいかないかを学ぶ
- 検証と学びのサイクルを早く何度もまわし、持続可能な事業の構築方法を見い出す。時には事業の方針転換 (ピボット) もいとわない
それぞれについて、ご説明します。
1. ビジョンを描き、実現するための仮説を設定する
スタートアップは、誰もやっていなく、まだ多くの人が気づいていない、あるいは多くの人は正しいと思わないやり方で、世界を変えることを目指します。
ビジョンとして描くのは、世界を変えるとはどういうことか、実現したい自分たちの描く理想の世界は何かです。
明確なビジョンがあるからこそ、スタートアップは不確実な状況においても目的を見失わずにすみます。
ビジョンという目指す行き先はあるものの、そこへの正しい行き方はまだ誰も知りません。やみくもに進むのではなく、大事なのは仮説を持つことです。自分たちが今の時点で最も正しいと考える仮説です。
2. 仮説検証と学び
リーンスタートアップは、仮説を検証し、何がうまくいき、何が機能しないのかを学びます。
仮説検証と学びのサイクルは、「構築 - 測定 - 学習 (Build - Measure - Learn) 」 です 。このプロセスをいかに早く、何度もまわします。サイクルの仮定で仮説を検証し、自分たちのやり方が正しいのかを科学的に見極めます。
「構築 - 測定 - 学習」 の設計は、逆から順番に考えます。
- 何を学ぶのか (どんな仮説を検証するのか)
- 検証のためにどんなデータや情報があればよいのか
- そのために誰に対して必要なテストする製品 (MVP) をつくればよいのか
MVP とは、実用最小限の製品です (Minimum Viable Product) 。最小限というのは、仮説を検証するために必要な機能を持ちますが、検証から学びにつながらないものは MVP には実装しません。
特にスタートアップとして立ち上げ間もない時期は、顧客はあえて絞り限定的です。
想定する顧客が欲しいと思うもの、顧客の問題解決に焦点を当てて MVP をつくります。MVP をつくりたいからつくるというプロダクトアウトの発想ではなく、MVP の意義は仮説を検証して学びを得るためです。
3. 検証と学びから、持続可能な事業の構築方法を見い出す。
時には事業の方針転換 (ピボット) もいとわない
スタートアップが死活的に考えなければいけないのは、どうやって生き残るかです。生き残るとは、自分たちのやっていることが、持続可能な事業にできるか、そのための方法を見つけ出すことです。
スタートアップは、ビジョンと志 (ミッション) を掲げます。リーンスタートアップは、目的を達成するための鍵となる仮説をつくり、仮説検証と学びのサイクルを早くまわすことによって、持続可能な事業の方法を見つけます。
誰もやったことがないので、はじめは仮説です。仮の答えなので、必ずしも正しいとは限りません。
MVP をつくり 「構築 - 測定 - 学習」 から、仮説が間違っていることも十分にあり得ます。その時に、いかに既存の仮説を捨て、新しい戦略仮説を持てるかです。これがピボットです。
ピボットとは、ビジョンを実現するためにあります。仮説が正しくなかったということは、それ以上で続けても、成功できません。いかに次の成長につながる持続可能なやり方 (新しい鍵となる仮説) をつくれるかです。
ピボットは単なる方針転換ではなく、新しい戦略仮説です。これまでよりも良い仮説がつくれたからこそ、ピボットができます。
最後に
本書の考え方で印象的だったのは、不確実性の高いスタートアップであってもマネジメントできる、むしろスタートアップだからこそマネジメントが重要であるということでした。
スタートアップは時間との戦いです。限られた人、注げるエネルギー、資金という制約下において、無駄なことはできません。
そのためにリーンな姿勢で、いかに成功し自分たちで描くように世界を変えられるかです。