2018/08/25

書評: 相場師一代 (是川銀蔵) 。「誠と愛」 を貫いた波乱万丈の人生


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相場師一代 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容。株式投資の鉄則
  • 長期的な視野・本質・大局観
  • 日頃の習慣・努力・精進


本書の内容


以下は、本書の内容紹介からの引用です。

 「本当に儲けようと思うなら、自分で経済の動きに注意すること。」

個人としては破格の数百億円の株取引に成功し、「最後の相場師」 と称せられた "是銀" が93歳で記した唯一の自伝。若干16歳で単身満州に渡って商売を始め、朝鮮半島で成功失敗を繰り返す。そして株。

波瀾の生涯と地道な独学の日々から導き出される故人の珠玉の言葉の数々は、バブルが崩壊したいまも、勝負を決する名言である。


株式投資の鉄則


本書で興味深かったのは、著者が考える株式投資の鉄則です。

具体的には以下の5つです。


株式投資の鉄則

  • お金持ちになりたいなど欲に溺れ目が眩むと、投資は失敗する
  • 自分の持てる資金の範囲で投資をすること
  • おいしい話には安易に情報に飛びつかない。新聞や雑誌で大見出しになっている情報には注意
  • 人よりも先に気づき、いかに早く行動を取れるか
  • 自分だけの情報を集め、株価が二合目・三合目のところで水面下で買う。値上がりをじっと待つ


さらに、著者の投資人生から得られた投資五ヶ条が書かれています。


株式五ヶ条

  • 銘柄は人が奨めるものではなく、自分で勉強して選ぶ
  • 二年後の経済の変化を自分で予測し、大局観を持つ
  • 株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物
  • 株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する
  • 不測の事態などリスクはつきものと心得る


長期的な視野・本質・大局観


本書で強調されているのは、目先の変動、目の前の利益や損失にとらわれず、いかに長期的な視野から経済や世の中の本質を見極められるかです。

著者は自らの勉強を通して、また事業家や投資家として、資本主義経済の本質を以下のように捉えます。

  • 資本主義経済は絶えず次なる状態に移行して、波動を繰り返す
  • 経済には永遠の繁栄もなければ、永遠の衰退もない

短期的な時間軸で見れば、映るのは、世の中の変化は方向感が定まらないように見えます。

しかし、長期的な視野から、大局観を持てば、違った動きが見えます。ものごとの本質を見極めようとすれば映る世界は、世の中の変化が大きな波を繰り返し、一方に振れればいつかは逆側にも振れるという揺れ戻しです。


日頃の習慣・努力・精進


著者の日々の努力、精進からわかる強い意志は、あらためて考えさせられます。


日々の習慣


以下は本書からの引用です。著者が90歳を超えた当時も、日々続けている習慣です。

現在も国際経済の分析を自分でやっている。

毎朝八時には各証券会社から外電が入ってくる。ここから私の仕事は始まるのだ。ニューヨーク、ロンドン、フランクフルト市場のダウや銘柄相場、金、銀、銅など非鉄金属相場と在庫、入・出庫状況、もちろん為替相場、金利、少なくとも必ずこれだけは毎日記録にとる。

すでに何十年と、この記録をとり続けているのだ。九十歳を過ぎたいまも、電話で外電の内容を受けそれを自分でノートにとっている。

 「訓練すれば、人間は誰でもこれだけの能力を持ち続けることができる」

やると決めたらどんな困難があってもやり通し、やっていけないことはどんな誘惑があってもやらない、このぐらいの強い意志がなければ、自分のカネを賭けて相場を張ることはできないと思ったほうがいい。

 (引用:相場師一代)

著者が大切にするのは、情報は自分の目で確かめることです。

投資五ヶ条の一つめにあったように、銘柄は人が奨めるものではなく、自分で勉強して選びます。情報を自分から取りに行き、自分の目で真偽や情報が意味することを自分で考えます。


精進から得られる勝負勘


著者が努力や精進を大切にするのは、日々の習慣を通して勝負勘を養うという考え方からです。

本書から引用します。

 「人間には、一生のうち二度や三度のチャンスはある。それを生かすか殺すかの決断のために、日常の努力と精進、そして真面目といった理論と実践とを通じて日夜思考の訓練を重ねることが成功への確率を増進する。そのために数多くの真剣勝負を経験し、勝負勘を養うことだ」

つまり、「勘」 とは、経験の集積から湧き出る真実的総合判断なのである。

 (引用:相場師一代)


最後に


本書には、著者である故・是川銀蔵の波乱万丈の人生が書かれています。

様々な事業や投資の話がありますが、読んでいると著者には事業家として、投資家としての芯があることに気づきます。

印象的だったのは、本書の最後に書かれていた著者が考える人生の理想です。最後に、本書からの引用です。

私は色紙を頼まれると、「誠と愛」 と書くことにしている。私の人生の理想だと考えている。人に誠を尽くし愛情を持って生きていくということである。

「誠と愛」 を自分の処世訓として、若い時から一貫して今日まで生きてきた。私の仕事は株式投資であり、株の売買でこれまでの人生を送ってきた。株で儲けたカネは、世の中の恵まれない子ども達のために使いたい、これが私の生きがいなのだ。

 (引用:相場師一代)



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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。