投稿日 2019/08/20

働かないアリに学ぶ 「戦略」 と 「組織の多様性」




今回は、働かないアリに学べることです。

  • なぜ働かないアリがいる?
  • 戦略の観点で紐解くアリの組織運用
  • アリに学ぶ組織の多様性

こんな疑問に答える内容でブログを書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、「働かないアリ」 に学ぶ組織論です。

なぜ働かないアリがいるのかをご紹介し、働かないアリがいる組織の仕組みを 「戦略」 と 「多様性」 という観点から解説しています。

アリの集団を組織の観点で見ると、人間社会やビジネスにも学びがあります。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、仕事での何かヒントになればと思います。


働かないアリの仕組み


働かないアリに意義がある という本は、アリの世界にいる 「働かないアリ」 について興味深く読めます。





働かないアリは、サボっているのではなく 「働きたくても動けないアリ」 です。

同じ仕事でも、アリの個体ごとに仕事をするという反応のしやすさに違いがあるのです。これを閾値と言います。

仕事への閾値がアリごとに異なっており、閾値が低いアリはその仕事にすぐに反応し働き始めます。一方、閾値が高いアリは反応をしないので 「働かないアリ」 となります。

仕事ごとに閾値を持っています。例えば A という仕事には閾値が低くても、別の B という仕事には閾値が高いというアリもいます。このアリは、仕事 A には働くアリ、仕事 B は働かないアリです。


なぜ働かないアリがいるのか


なぜ、このような働かないアリが一定数存在する仕組みを、アリたちは持っているのでしょうか?

全員が閾値の低いアリのほうが、皆が一斉に働き効率よく仕事をできるように思えます。

しかし、アリのアプローチはそうではありません。

働かないアリの意味合いは、バッファーです。

働かないアリという余剰を常に確保し、組織全体で余裕を持たせているのです。通常よりも仕事が一時的に増えれば、閾値の高いアリも重い腰を上げ働くアリになります。仕事が増えても組織が逼迫しません。

働き始める閾値はアリごとにバラバラです。働かないアリに意義がある という本によれば、通常は働かないアリは全体の7割いて、一生働かないアリも1割いるとのことです。

つまり、普段は3割のアリで仕事をまわし、どんなに忙しい状況になっても9割のリソースで仕事をこなしているのです。


働かないアリからの学び


ここからは、働かないアリについて学べることです。

2つあります。


 「働かないアリ」 から学べること
  • 戦略の自動化
  • 組織の多様性


以下、それぞれについてご説明します。


[学び 1] 戦略の自動化


働かないアリがいる組織を、戦略の観点から考えると、興味深いことが見えてきます。

戦略とは、目的を達成するためのリソース配分の指針です。リソースとは、企業であれば人・モノ・金です。

目的を達成するために、人をどこに配置するか、どれにお金を使うかの方針が戦略です。戦略の肝は 「捨てること」 にあります。やらないことが明確だからこそ、やることにリソースを集中投下できるのです。

アリたちは、個体ごとに仕事への反応のしやすさという閾値が異なります。閾値は、仕事ごとにも決まっています。

ある仕事が発生すれば、閾値の低いアリから順に反応し働き始めます。個体ごとに閾値が異なるという仕組みによって、働くアリというリソースが自動的に投下されていくのです。

リソース投入がもっと必要な仕事になれば、閾値の高いアリも動き出します。結果として、大きなリソースが投下されます。

閾値は仕事ごとでも異なるので、複数の仕事が同時並行で発生しても、自分の持つ閾値にただ従って仕事をすることになります。アリの組織全体で見れば、リソース投入が自動化されている状態です。

つまり、組織の中で戦略の自動化ができているのです。


[学び 2] 組織の多様性


アリの集団は、閾値の違いが仕事への反応の差を生み、多様性のある組織になっています。

働かないアリからは、組織の多様性とは何かを考えさせられます。

人間社会のビジネスでの組織を考えると、多様性が求められるのは次の3つです。


組織の多様性
  • インプットの多様性
  • 意見 (発言) の多様性
  • 実行の多様性


組織の個々のメンバーが、インプットの元や方法で色々なアプローチを持っており、思考の違いも相まって多様な意見が生まれます。

アウトプットでも、メンバーごとに異なるやり方によって、実行でも多様性ができます。

個々人がこれら3つの多様性において自分のやり方をし、皆で意見やアウトプットをつなぎ合わせます。こうしてイノベーションが生まれる土壌が組織にできます。

ただし、生まれやすくなるのと、実際にイノベーションが実現できるかは別です。あくまでイノベーションという花が咲くための土壌がつくれるところまでです。


まとめ


今回は、働かないアリから学べる、戦略や組織の多様性についてでした。

最後に今回の記事のまとめです。



働かないアリは、サボっているのではなく 「働きたくても動けないアリ」 。同じ仕事でも、アリの個体ごとに仕事をするという反応のしやすさ (閾値) に違いがある。閾値が低いアリはその仕事にすぐに反応し働き始めるが、閾値が高いアリは反応をしない。


働かないアリの意味合いはバッファー。
働かないアリという余剰を常に確保し、組織全体で余裕を持たせている。通常よりも仕事が一時的に増えれば閾値の高いアリも重い腰を上げ働くアリになる。仕事が増えても組織が逼迫しない。


仕事が発生すれば、閾値の低いアリから順に反応し働き始める。働くアリというリソースが自動的に投下されていく。
戦略とは目的達成のリソース配分の指針。アリの組織全体で見れば、リソース投入が閾値によって自動化されていることになり、戦略の自動化ができている。


ビジネスで求められる組織の多様性は、
  • インプットの多様性
  • 意見 (発言) の多様性
  • 実行の多様性
組織に、イノベーションが生まれる土壌ができていく。





働かないアリに意義がある (長谷川英祐)

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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。