投稿日 2021/09/26

飲食店とお客の 「不」 を解消する、冷凍食品用の自販機 「ど冷えもん」 の魅力


今回はヒット商品を取り上げ、ヒットの理由を紐解きます。

✓ この記事でわかること
  • 朝のランニングでの発見
  • 冷凍食品用自販機 「ど冷えもん」 とは
  • 飲食店が抱える 「不」 
  • ど冷えもんによる不の解消
  • 買う側にとっての魅力 (第三の選択肢) 

この記事は飲食店の救世主となるような自動販売機を取り上げ、マーケティングの視点から飲食店と消費者に提供している価値を掘り下げています。

マーケティングのものの見方や考え方の参考になればと思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。

朝のランニングでの発見


毎朝に1時間のランニングをしています。

いつもの走るコースを少し変えてみたある日に、ラーメンを売っている自動販売機を見つけました。冷凍状態で売られ、自宅に持ち帰り調理すればラーメン店のラーメンが食べられるようになっていました。

興味を持ったので調べてみると、「ど冷えもん」 という名前の自販機でした。


 「ど冷えもん」 の特徴


ど冷えもんは、冷凍食品用の自動販売機です (販売代理店のサイトはこちら) 。

出典: PR TIMES

様々な容器の形状に対応できるマルチストックを採用していて、最大11種類、308個の商品の販売を可能にしています。

ネット接続にも対応し、売上情報や在庫管理などを遠隔で確認できます。自販機で表示する商品名や画像を切り替えることもできます。また、一定時間において設定温度よりも冷凍食品の温度が上回った場合は、自動的に販売を休止するシステムも搭載しています。

ど冷えもんを紹介したテレビのニュース動画があったので、付けておきます。こちらを見ていただくと、ど冷えもんの特徴がよくわかります。



飲食店の 「不」 


ビジネスでは、ターゲットとするお客が抱える 「不」 をどう解決するかが事業の根幹になります。

不とは、不満・不便・不都合・不安・不快感などの総称です。不が多くの人や企業に広く当てはまり、発生頻度が多く根深いほど、解決した時のビジネスインパクトは大きくなります。

飲食店に目を向けると、飲食店の 「不」 には次のようなものがあります。

✓ 飲食店の 「不」 
  • 営業時間を短縮せざるを得ない。例: 夜の20時以降の営業自粛
  • お店を開けていても客が来てくれない (以前よりも外出する人が減った) 
  • 店内は密にできず単位時間あたりの来店客数も減った

いずれも売上に直結する問題です。


ど冷えもんによる不の解消



冷凍食品用自販機の 「ど冷えもん」 はこうした飲食店の不を解決します。

自販機なので冷凍した食品を用意できていれば、24時間365日でいつでも買ってもらえる状態にしておけます。

ど冷えもんの特徴の1つが、最大11種類の308個の商品の販売を可能にしていることです。一度に売れる品数が豊富なのも飲食店には魅力です。飲食店によっては店内で提供する全てのメニューを自販機で買えるようにしておけます。

ど冷えもんはネット接続をしているので、遠隔で自販機の売上や中の在庫状況を確認できます。把握するためにわざわざ自販機のところへ行って中を開けて見る必要はなく、作業の手間が省けるのも店側にはメリットです。


お客への提供価値


冷凍食品を買う側のお客にとっても、ど冷えもんにはメリットがあります。

そのお店の料理を食べたくても店内には入りたくない気持ちの人、わざわざ出前やデリバリーの注文をして食べたいほどではない人でも、店の前の自販機があれば買いやすいです。そのお店は初めての新規客の人にとっても、自販機なら気軽に試してみるハードルは低くなるでしょう。

外食がなかなかできず、自宅での食事ばかりでマンネリから飽きてしまった人にも、飲食店の料理を冷凍状態で買い、家に帰って温め熱々な状態でおいしく食べられるうれしさがあります。

以上のように、ど冷えもんは飲食店の料理をお店で食べるのではなく、また出前・デリバリーでもなく、非対面販売で冷凍状態で購入し持ち帰って食べるという第三の選択肢を消費者に提供しています。


まとめ


今回は、冷凍食品用自販機の 「ど冷えもん」 を取り上げ、魅力をマーケティングの観点で見てきました。

最後にまとめです。

✓ 飲食店の 「不」 
  • 営業時間を短縮せざるを得ない
  • お店を開けていても客が来てくれない
  • 店内は密にできず単位時間あたりの来店客数も減った

冷凍食品用自販機 「ど冷えもん」 による不の解消
  • 24時間365日でいつでも買ってもらえる状態にしておける
  • 飲食店によっては店内で提供する全メニューを自販機で売れる (最大11種類308個の商品販売が可能) 

買う側への提供価値
  • 店内には入りたくない人・デリバリーの注文をして食べたいほどではない人・そのお店は初めての人にも自販機なら気軽に試せる
  • 飲食店の料理を家に帰って温めて熱々な状態でおいしく食べられる
  • 非対面販売で冷凍状態で購入し持ち帰って食べるという第三の選択肢を消費者に提供している


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。