投稿日 2021/09/25

常識を変えたロングセラー 「おとなのふりかけ」 。商品開発やマーケティングに学べること

引用: PR TIMES

今回は、それまでの常識を覆したヒット商品を取り上げ、商品開発やマーケティングに学べることを掘り下げています。

この記事でわかること


  • マーケターとしてテンションが上がる時
  • ふりかけの常識を変えた 「おとなのふりかけ」
  • 開発のきっかけ
  • 商品開発やマーケティングに学べること

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品開発やマーケティングの仕事をされている方です。新しい商品やマーケティングのアイデアを考える役割にある方を想定しています。

常識を変えてロングセラー商品となった 「おとなのふりかけ」 から、商品開発やマーケティングの視点で学べることを解説をしています。


マーケターとしてテンションが上がる時


少し個人的な話です。

これまでの常識を覆すような新しい商品やサービス、マーケティングの考え方と手法に出会った時に、1人のマーケターとしてテンションが上がります。「これまでの常識」 とは、例えば業界やカテゴリーで当たり前のように思われ続いていたことで、誰もそこに疑問の目は持たず前提として存在していたものです。

固定観念が強く根深いほど、ひっくり返した時のインパクトは大きいです。こうした常識を変えた事例を見た時には 「やられた」 とか 「その手があったか」 と思えます。


常識を変えたふりかけ


引用: PR TIMES

今回取り上げるのは、常識を変え今もあるロングセラー商品である永谷園の 「おとなのふりかけ」 です。発売されたのは平成元年 (1989年) です。


開発のきっかけ


 「おとなのふりかけ」 の開発の始まりは、担当者が消費者データを見ていての気づきからでした。

以下は永谷園の公式サイトからの引用です。

ふりかけ市場でたくさんのメーカーがしのぎを削る中、永谷園も新たなヒット商品を世に送り出すために日々研究を重ねていました。

そんな時、担当者が消費者データを検証していたところ、興味深い事実に気付きます。ふりかけは、11歳までの子どもにはほぼ 100% 食べられている人気メニューでありながら、大人になろうとする12歳から急に需要が減少していたのです。つまり、消費者にとっては 「ふりかけ = 子ども商品」 という図式があることが判明したのです。

今後ふりかけ市場が成長していくためには 「ふりかけ = 子ども商品」 という既成概念を打ち破らなければいけない。そう考えた担当者は、「子どもだけではなく、大人も満足できるふりかけ」 をテーマとした新商品の開発プロジェクトを発足させました。

 (引用: 永谷園)


大人に満足してもらうために


商品開発では 「大人が満足するふりかけ」 を実現するために、素材、パッケージ、ネーミングから様々な工夫がされました。

素材では、海苔は、本来の色鮮やかさや独特の風味を残すことにこだわったそうです。パッケージは、大きな白地の窓に商品名を黒字で入れ、高級感を演出しました。

ネーミングは 「おとなのふりかけ」 というストレートな商品名にしました。

CM も印象的です。「子どもの目から見た大人の世界」 という構図で描かれています。





学べること


それではここからは、「おとなのふりかけ」 から商品開発やマーケティングに学べることを掘り下げていきます。

2つあります。


学べること
  • 先入観にとらわれない機会発見
  • 明確なコンセプトからのマーケティング施策


では順番に見ていきましょう。


先入観にとらわれない機会発見


 「おとなのふりかけ」 の開発のきっかけは、データを見て12歳以上でのふりかけへの需要が減っていることを発見したことからでした。

先ほどの引用内ではさらっと書かれてはありましたが、消費者データを見てこの状況に課題意識を持った担当者が秀逸でした。

というのは、「ふりかけ = 子どもが食べるもの」 という暗黙の了解があり常識になっていると、データで12歳以上の人がふりかけを食べていないことがわかっても、気にも留めずに素通りしまったはずです。それまでは大人向けのふりかけはどこも出してはいなかったわけです。

先入観にとらわれないビジネスチャンスを見出せたことが、常識を変えるヒット商品につながりました。


明確なコンセプトからのマーケティング施策


永谷園は、子どもしか食べないというふりかけの常識に機会を発見し、コンセプトを明確にしました。「大人が満足できる大人向けのふりかけ」 です。

コンセプトが決まりターゲット顧客を絞ると、商品開発やマーケティング、販売でやることが明確になります。「おとなのふりかけ」 の場合は、素材、パッケージやネーミング、CM でコンセプトからの一貫性があります。

素材は例えば海苔へのこだわり、味はふりかけでは当時はめずらしい 「わさび」 をつくりました。パッケージは高級感を出し大人向けをアピールしています。ネーミングは 「おとなのふりかけ」 とストレートに訴求しました。

CM は、小さい子ども目線で大人 (お父さんとお母さん) が夜にふりかけを美味しそうに食べている様子を羨ましいと思う子ども目線で描き、大人向けのふりかけであることを印象的に訴求しています (CM の動画はこちら) 。

以上のように、当時のふりかけの常識から振り切りコンセプトを 「大人向けのふりかけ」 と明確にしたからこそ、商品開発やマーケティングで 「やること」 と 「やらないこと」 が定まったのです。


30年以上のロングセラーに


発売されたのは1989年の平成元年で 、「おとなのふりかけ」 は、ふりかけは子どもだけではなく大人も食べたいものに変え、それまでの常識を覆しました。

令和の今もスーパー等で売られているロングセラーです。

最後に、発売からの 「おとなのふりかけ」 の歴史をつけておきます。

引用: 永谷園



まとめ


今回はヒット商品から、商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。


常識を変えた 「おとなのふりかけ」
  • ふりかけ市場を成長させるしていくために 「ふりかけ = 子ども商品」 という既成概念を打ち破り、「大人も満足できるふりかけ」 をテーマに開発された
  • 素材とパッケージは大人向けに、ネーミングは 「おとなのふりかけ」 とストレートな商品名にした


学べること
  • 先入観にとらわれない機会発見。12歳以降は需要がない消費者データを見て、常識にとらわれずビジネスチャンスを見出した
  • 明確なコンセプトからのマーケティング施策。常識から振り切ってコンセプトを 「大人向けのふりかけ」 と明確にしたからこそ、商品開発やマーケティングで 「やること」 と 「やらないこと」 が定まった



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。