出典: TechCrunch
今回は、ヒット商品に学ぶマーケティングです。
✓ この記事でわかること
- ヒット商品 「すみっコぐらしパソコン」
- 人気の秘密をマーケティング視点で解説
- マーケティングへの学び (顧客インサイトとバリュープロポジション)
この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケターの方です。商品やサービスのアイデアを考えたり、マーケティングコミュニケーションの仕事をされている方を想定しています。
おもちゃのヒット商品事例から、顧客ニーズとインサイトに応えて価値を提供する方法を掘り下げていきます。
ぜひ最後まで読んでいただき、何か参考になればうれしいです。
すみっコぐらしパソコン
今回ご紹介したいのは、セガトイズの子ども向けパソコン 「すみっコぐらしパソコン」 です (公式サイトはこちら) 。
出典: セガトイズ
発売から1年11ヶ月でシリーズ累計20万台を突破したとのことです (ニュースリリースはこちら) 。
この10月には新しく高機能機種の 「すみっコぐらしパソコンプレミアム」 が登場します。
すみっコぐらしパソコンには、国語・算数・英語・プログラミングなどを学べたり、遊べるメニューが183種類あります。
特におもしろいと思った機能は、リモート会議のようなことができるメニューです。
スクリーン上部の内蔵カメラで画面内に自分の顔が表示され、すみっコぐらしのキャラクターとリモート通話ができます。音声で 「こんにちは」 とか 「踊って」 としゃべりかけると、キャラクターが声に合わせて動きます。Zoom でやっているようなことがうまく再現されています (詳細は先ほどの YouTube 動画の中で見られます) 。
他には、パソコン用のマウスもついていて、マウスは着せ替えができるようになっています。
マーケティング視点での掘り下げ
ではここからは、すみっコぐらしパソコンの人気の秘密をマーケティング視点で掘り下げ、学べることを見ていきましょう。
2つあります。
✓ すみっコぐらしパソコンから学べること
- 子どものニーズと奥にある気持ち
- ニーズへの応え方 (価値提供の方法)
子どものニーズと奥にある気持ち
あらためて、すみっコぐらしパソコンを子どもが欲しいと思う気持ちは何でしょうか?
一言で言えば 「親が使っていたりやっていることと同じことをしたい」 という気持ちです。
背景は、リモートワークが一般的になり、親が家でパソコンとマウスを使って仕事をしている姿を子どもが見る機会が増えたことです。
子どもにとっては、パソコンでお母さんやお父さんが真剣に作業をしている様子は新鮮です、特にリモート会議という画面内に相手の顔が何人も写っていて、普段の親が話している姿とは違う感じで話し合いをしているのを見て、自分もやってみたいと子どもは興味を持ったわけです。
こうした気持ちを一般化して表現すれば、「青く見える隣の庭に行ってみたい」 「自分にも同じような庭が欲しい」 という気持ちです。この感情は親がやっていると子どもにとってはとりわけ強くなります。
ニーズへの応え方
2つ目に学べることです。ニーズにどう応えて価値を提供するかです。
すみっコぐらしパソコンがうまいと思うのは、ここまで見てきたような子どもの気持ち (欲求や望み) に対しての応え方です。
単に大人用のパソコンやマウス、リモート会議をそのままコピーしたのではなく、対象となる子ども (ターゲットユーザー) の 「世界観」 に合わせて再現したことです。
例えばリモート会議です。他のすみっコぐらしパソコンを使っている子ども同士でのリモート会議ではなく、好きなすみっコぐらしキャラクターと画面を通しておしゃべりができるのを親がやっているリモート会議っぽく再現しました。子どもが楽しめる世界観にうまくフィットさせています。
他の例はマウスです。マウスをただ用意しただけではなく、何種類かの着せ替えができて遊び方も提案しています。小さい女の子って着せ替えが好きですよね。着せ替えは大人のパソコンのマウスにはありませんが、子どもにとってはうれしいことです。
学べること
ここまで見てきた、マーケティングの観点でのすみっコぐらしパソコンからの学びは2つでした。
✓ すみっコぐらしパソコンから学べること (再掲)
- 子どものニーズと奥にある気持ち
- ニーズへの応え方 (価値提供の方法)
学びの一般化
より一般化すると次のようになります。
✓ マーケティングへの学び
- 自分たちのターゲット顧客は誰か
- その顧客のニーズや奥にある気持ち (欲求・不満・望み) は何か
- 顧客ニーズに自分たちはどう応えるか (顧客の世界観にどう合わせるか)
顧客の世界観への合わせ方
最後の3つ目についての補足です。
人は誰しも隣の庭が青く見えてしまったり、どこかで 「青い鳥」 が自分の目の前に現れることを期待しています。青いものである他人の庭をそのままコピーして提供するのではなく、相手に合わせた庭にアレンジをすると良いです。
今回のすみっコぐらしパコソンの例で言えば、親が仕事でやっているリモート会議をターゲット顧客である小学校低学年くらいの子どもが喜ぶものにしています。顧客の世界観に寄り添って再現したからこそ価値を提供でき、顧客にはうれしいことになりました。
これはマーケティングの用語を使えば、顧客ニーズとインサイトに寄り添ったバリュープロポジション (価値提供) を実現しています。
まとめ
今回はヒット商品のおもちゃ 「すみっコぐらしパソコン」 から、マーケティングに学べることを掘り下げました。
最後にまとめです。
すみっコぐらしパソコンプレミアム
- 国語・算数・英語・プログラミングなどを学べたり、遊べるメニューが183種類ある
- おもしろいと思った機能はリモート会議
- スクリーン上部の内蔵カメラで画面内に自分の顔が表示され、すみっコぐらしのキャラクターとリモート
- 通話ができる。Zoom でやっているようなことがうまく再現されている
すみっコぐらしパソコンのマーケティング
- 子どものニーズと奥にある気持ち 「親が使っていたりやっていることと同じことをしたい」 。一般化すれば 「青く見える隣の庭に行ってみたい」 「自分にも同じような庭が欲しい」 という気持ち
- ニーズへの応え方 (価値提供の方法) 。他人の庭をそのままコピー提供ではなく、ターゲットユーザーの 「世界観」 に合わせて再現している
マーケティングへの学び
- 自分たちのターゲット顧客は誰か
- その顧客のニーズや奥にある気持ち (欲求・不満・望み) は何か
- 顧客ニーズに自分たちはどう応えるか。顧客の世界観に寄り添い合わせにいく
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