投稿日 2021/09/20

スポーツ靴下ブランド 「OLENO (オレノ) 」 に学ぶ、2つのストーリーからのブランドのつくり方


今回は、商品開発とマーケティングについてです。

この記事でわかること


  • マーケティングの本質
  • スポーツ靴下ブランド 「OLENO (オレノ) 」
  • OLENO を選んだ理由3つ
  • 商品開発やマーケティングに学べること

スポーツ靴下ブランドの事例から、商品開発やブランドのつくり方を解説しています。

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品やサービスの開発を担当されている方です。アイデアや企画を考えたり、他にはマーケティングや販売の仕事をされている方にも読んでいただけるとうれしいです。

ぜひ最後まで読んでみてください。


マーケティングの本質


最初に、そもそもマーケティングとは何かについてです。

これは私の一言の説明で、マーケティングとは 「顧客から選ばれる理由をつくる活動全般」 です。選ばれるとは、買ってもらえる、使ってくれる、指名されることです。

マーケターの役割は選ばれるのを偶然に頼るのではなく、意図的に選ばれる確率を高めることです。選ばれるためのマーケティング戦略とマーケティング施策をつくります。

お客から他ではなく自分たちが選ばれ続けるから、事業は存続できます。


スポーツ靴下ブランド 「OLENO (オレノ) 」


マーケティングでの 「選ばれる理由」 の具体的な事例としてご紹介したいのが、「OLENO」 という靴下のブランドです (公式サイトはこちら) 。



奈良県広陵町の老舗靴下メーカーの 「昌和莫大小 (しょうわめりやす) 」 が作っている靴下です。

オリンピック選手からも支持される靴下ブランドで、高い機能性とファッション性も備えたデザインが特徴です。


OLENO を選んだ理由


買ってみた OLENO の靴下は、1足で3000円近くしました。毎朝のランニング用で、今までにはない履き心地でとても満足しています。


あらためてなぜ自分が買ったのかを考えてみると、先ほどのマーケティングの話とつなげると自分が選んだ理由は次の3つです。


OLENO を選んだ理由
  • 高い機能性
  • 利用者のストーリー
  • つくり手のストーリー


では順番にご説明しますね。


高い機能性


OLELO の特徴は高い機能性です。一流のスポーツ選手からのニーズが反映されている靴下です。

通常では靴下に使われないような先端素材を採用し、激しい運動からの疲労を軽減してくれます。生地は丈夫で 「3000km 走っても破れない」 との利用者の声もあるようです。

以下は、OLENO を取り上げた日経新聞の Web 記事から、少し長いですが引用です。

全国有数の靴下産地である奈良県広陵町に、陸上など東京五輪の代表選手からも強く支持される道具がある。創業86年、昌和莫大小 (しょうわめりやす) のスポーツ靴下のブランド 「OLENO (オレノ) 」 だ。先端素材を惜しみなく使い、選手の激しい動きを支える。苦境にある地場産業に、新たな輝きを生んでいる。

入門品 「アルティメットソックス」 (2750円) に足を滑り込ませると、指以外に着圧がかかり、足裏のシリコンラバーがシューズの中敷きをつかむ。週末ランナーの記者が激しく動いた程度では、靴下がずれる感じは全くない。

 「異次元のこだわりを持つトップ選手を相手に、頂点をつくった」 (井上克昭代表取締役) 。軍用品に使うナイロン素材 「コーデュラ」 など、通常は靴下に使わない素材を多く使い、軽さと強さを両立。足首や甲、指の付け根付近にあしらったメッシュは地肌が見える大きさで、通気性を高めた。現存数が限られる織り機だけがつくれるという。

支持される秘訣は選手との対話にある。1メートル走るうちに靴下が1ミリずれるだけでも、足への負荷やエネルギー損失は膨大だ。「小指側が伸びる」 と聞けばすぐに対応。

着圧や生地の厚さなど一人ひとりの要望を持ち帰り、開発部長の能丸巌氏と改善する。プロ向けはオーダーメードの対応。井上代表が 「もはや靴下ではなくギア (道具) だ」 とするゆえんだ。

 (引用: 日経 2021.8.18)


利用者のストーリー


2つ目の OLENO を選んだ理由が、利用者のストーリーです。

公式 YouTube チャンネルに、OLENO を利用しているスポーツ選手の評価や感想の動画があります。



一般的な匿名での購入者や利用者からの口コミやレビューよりも、一流のアスリートが語っている内容にストーリーの奥行きがあります。レビューに 「権威性」 を持たせているのもうまいアプローチです。


つくり手のストーリー


OLENO というブランドが生まれたのは、昌和莫大小の事業継続への危機感からでした。

OEM という外部のアパレルメーカーからの製造委託だけでは先細りで、コストカットばかりで採算を合わすよりも 「自分が本当に良いと思うもの」 をつくり、その価値をわかってくれる人に最高の靴下を届けたいという想いからです。

OLENO というブランド名は、男性が自分の事を第一人称で 「オレ」 と言う 「オレの」 から由来しています。

こうしたつくり手のストーリーへの共感も OLENO を選んだ理由です。

もう1つ、OLENO の動画をつけておきます。つくり手のこだわりを感じられる映像です。




利用者とつくり手のストーリー


ブランドに利用者とつくり手のそれぞれのストーリーがあると、単に機能やデザインだけの商品、または低価格商品に比べて独自性ができあがります。

今回の OLENO の話をビジネスの学びに一般化すると、自社の商品やサービスのアピール・訴求を、機能性やデザイン、または低価格だけではなく、独自のストーリーからつくれないかです。

OLENO で見たようにストーリーは2つあり、「利用者のストーリー」 と 「つくり手のストーリー」 です。後者のつくり手のストーリーとは、例えば開発背景や苦労話、込められた想い、こだわり、哲学、ブランドとしての世界観からです。

これらのストーリーから商品やサービスへの独自化につながり、相手から共感が得られると選ばれる理由になるのです。


まとめ


今回は、スポーツ靴下ブランド 「OLENO」 から、商品開発やマーケティングについてでした。

最後にまとめです。


マーケティングの本質
  • マーケティングとは 「顧客から選ばれる理由をつくる活動全般」 。選ばれるとは、買ってもらえる、使ってくれる、指名されること
  • 選ばれるのを偶然に頼るのではなく、意図的に選ばれる確率を高めるのがマーケターの役割


スポーツ靴下ブランド 「OLENO (オレノ) 」 を選んだ理由
  • 高い機能性: 強いこだわりを持つアスリート選手向けの靴下。激しい運動でも靴下がずれず疲労が軽減される。先端素材から軽さと強さを両立
  • 利用者のストーリー: レビューに 「権威性」 を出す一流アスリートの評価・感想
  • つくり手のストーリー: 「自分が本当に良いと思うもの」 をつくり、価値をわかってくれる人に最高の靴下を届けたいという想い



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。