投稿日 2021/09/15

日清のインスタントラーメン 「これ絶対うまいやつ!」 のヒット理由を、マーケティング視点で解説


今回はヒット商品を取り上げ、ヒットの背景や理由をマーケティング視点で解説します。

この記事でわかること


  • 日清のインスタントラーメン 「これ絶対うまいやつ!」
  • ヒット理由の掘り下げ
  • インパクトのある商品名
  • ターゲット顧客とターゲットシーンの明確化
  • 消費者インサイトの理解
  • ターゲットとインサイトに基づく打ち手

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品開発やマーケティングの仕事をされている方、マーケティングに興味がある方です。

日清のラーメン 「これ絶対うまいやつ!」 のヒット理由から、自社の商品アイデアやマーケティングのヒントになればと思います。

 「これ絶対うまいやつ!」 の人気の秘密をマーケティングの視点で解説をしているので、ヒット理由を知りたいと思った方にも参考になればうれしいです。


日清のラーメン 「これ絶対うまいやつ!」


今回取り上げるのは、日清のインスタントラーメン これ絶対うまいやつ! です。

引用: 日清



インパクトのある商品名


印象的なのは、まるで Twitter のハッシュタグが付いているようなネーミングです。「#これ絶対うまいやつ!」 と普通にタイムラインに流れていそうですよね。

流行り言葉をそのまま商品名にしているので、インパクトがあります。ただし、商品名のインパクトだけでヒット商品になるかというと、そうとは限りません。ではここからは、「これ絶対うまいやつ!」 のヒット理由をさらに掘り下げていきましょう。


ターゲットの明確化


ヒットにつながったのは、ターゲットを明確にしたことです。ここでのターゲットには2つの意味があります。

1つ目はターゲット顧客です。「これ絶対うまいやつ!」 のターゲット顧客は30代の若いファミリー層です。夫と妻、子ども1人の3人家族で、子どもは小学生以下です。3人家族の中でもコアターゲットは夫である30代男性です。

引用: 日清

もう1つのターゲット設定は食べるシーンです。

利用シーンも明確にしていて、具体的には、家族みんなで一緒に土日や祝日のお昼に食べるという 「ターゲットシーン」 も絞っています。

ポイントは 「みんなで一緒に」 です。この奥には、コアターゲットである30代の夫の消費者インサイト (奥にある行動につながる本音) があります。


消費者インサイト


 「これ絶対うまいやつ!」 を取り上げたプレジデントオンラインの記事に、これがインサイトだと思うことが書かれていました。以下は記事からの引用です。

彼らの多くは、休日やアフター5に 「あの名店に、うまいラーメンを食べに行こう!」 と思っても (コロナ禍でなくても) 、現実には気軽に出向きにくい。

そんなジレンマを抱えるなか、「ならば家庭で、国道沿いのラーメン店の味を味わいたい」 と思った男性たちは、同時に何を発想するのか?

開発段階で、資逸さんたちが彼らの微妙な心理を探った結果、意外なことが見えてきたといいます。それは、「自分が好きなラーメンを、妻や家族にも食べさせてあげたい」 との思いです。

昭和 ~ 平成半ばに30代だった男性たち (おもに現・40代後半以上) の多くは、ラーメン店に 「隠れ家 (知られざる名店) 」 や 「ガッツリ飯」 「男のロマン」 といったイメージを強く抱いていて、筆者が取材しても、「結婚後に妻を連れていきたい」 や 「子どもに食べさせたい」 との声はほとんど聞こえてこなかった。

ところがイマドキの30代男性は、一般に女性と同じく 「共感力」 が強い世代。自分が食べて美味しければ、たとえラーメンでも牛丼でも、「妻や子にも食べさせたい」 となる。

 (引用: President Online)

引用箇所の最後に 「イマドキの30代男性」 とあるように、コアターゲットである30代夫には他の年代とは異なるインサイトがありました。「自分が好きなラーメンを、妻や家族にも食べさせてあげたい」 という気持ちです。

自分がおいしいと思っている 「国道沿いのラーメン店の濃い味のラーメン」 を、休日のお昼ご飯に家族全員で一緒に食べたいという思いです。

ここまでの内容をまとめると、

ここまでのまとめ
  • ターゲット顧客と利用シーン (ターゲットシーン) の明確化
  • 絞ることによって見えたターゲット顧客の消費者インサイト


ではさらにヒット理由を深掘りしていきましょう。


ターゲットとインサイトに基づいた打ち手


ターゲットを明確にしインサイトを掴んでいるからこそ、商品設計やマーケティングが連動していきます。

ここでは、コンセプト、パッケージ (分量) 、食べ方の提案の3つから見ていきます。


コンセプト


ご紹介している 「これ絶対うまいやつ!」 のコンセプトはわかりやすいです。「国道沿いのラーメン店で出されるような、濃くてうまいラーメン」 です。

公式サイトに目立って書かれているメッセージが 「家族と食いてぇ、この濃い袋麺。まるで国道沿いの、あのラーメン!」 です。ターゲットとインサイトとつながっています。


3袋入りの食べ切れる分量


 「これ絶対うまいやつ!」 で特徴的なのはボリュームです。一般的にはインスタントラーメンは5袋でひとつのパッケージですが、「これ絶対うまいやつ!」 は3袋入りです。


ここにも意図があり、ターゲット顧客の設定が家族3人だからです。

3袋なら1回の食事で食べ切れます。これが5袋入りだと2袋が中途半端に余ってしまいますが、3袋ならそうはなりません。


食べ方の提案


公式サイトには 「これ絶対うまいやつ!」 を使ったレシピが提案されています。

引用: 日清


4つあり、いずれもラーメンライスです。

作るのが難しいレシピではなく、ラーメンライスというのがポイントです。

というのは、コアターゲットである30代の夫で、普段料理をしない人でも簡単にできるレシピです。これなら自分にもできそうだと思えます。

ともするといつも同じラーメンだと飽きますが、ラーメンライスなどの食べ方のバリエーションがあれば、それだけ食べる頻度を多くできます。

何より、ラーメンライスという食べ方の提案は、コアターゲットのインサイトである 「妻と子どもにぜひ食べてほしい」 に合致します。


まとめ


今回は、日清のラーメン 「これ絶対うまいやつ!」 を取り上げました。

最後にまとめです。


ターゲットの明確化
  • 30代の若いファミリー層 (小学生以下の子ども1人の3人家族) 。コアターゲットは30代の夫
  • 家族みんなで一緒に土日や祝日のお昼に食べるという 「ターゲットシーン」 も絞っている


30代の夫の消費者インサイト
  • 「自分が好きなラーメンを、妻や家族にも食べさせてあげたい」 という気持ち
  • 休日のお昼ご飯に家族全員で一緒に食べたいという思いがある
  • ターゲット顧客を絞っているからこそ見出せた消費者インサイト


ターゲットとインサイトに基づいた打ち手
  • わかりやすいコンセプト 「家族と食いてぇ、この濃い袋麺。まるで国道沿いの、あのラーメン!」
  • 家族3人で一度に食べ切れる3袋入りの分量 (一般的な5袋だと中途半端に余る)
  • 食べ方の提案。コアターゲットの30代夫が料理は得意でなくてもできるラーメンライスのレシピ提案



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。