投稿日 2021/09/13

ルンバのプログラミング教育ビジネスがおもしろい。戦略的な意味合いを解説


今回は、ルンバの教育支援ビジネスを取り上げます。

この記事でわかること
  • ルンバのプログラミングロボット 「Root」
  • プログラミング教育支援ビジネス
  • 戦略的な意味合いを解説 (独自ノウハウの横展開, 先生化ビジネス) 
  • Root から学べること

ルンバのプログラミング教育支援について、ビジネスの意味合いを戦略の視点で紐解きます。

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品やサービスの開発の仕事をしている方です。具体的には新しいビジネスアイデアを求められているものの、なかなか良いアイデアが出てこない状況にあるような方をイメージしています。

ご紹介するルンバの事例からヒントになればと思います。

他には、ルンバのプログラミング教育サービスに興味を持った方にも、何か少しでも参考になればうれしいです。

ルンバのプログラミングロボット 「Root」


今回ご紹介するのはルンバの教育支援サービスです。プログラミングロボットの 「Root」 です (公式サイトはこちら) 。

出典: iRobot

専用アプリでプログラミングをすると、小型ロボットが4つの動作をします。走る、光る、音を出す、描く (専用のペンをロボットに装着する) の4つです。

以下は、サービス内容を紹介した動画です。


プログラミング教育として小学校などの教育ニーズに応えます。

もう1つ動画で、日本の小学校での取り組みを紹介した映像です。


* * *

戦略的な意味合い



ここからはルンバのプログラミング教育支援ビジネスについて、戦略的な意味合いを掘り下げます。

一言で言えば 「独自ノウハウの横展開」 で、自分たちの得意なことは先生になって世の中に役立てる 「先生化ビジネス」 です。

では順に説明しますね。

独自ノウハウの横展開


ルンバは家庭用掃除ロボットとして代表的な存在です。

掃除用ロボットが便利なのは、設定をすれば自動的に部屋を掃除し綺麗にしてくれるからです。自動で機能するのはセンサーと自動走行の技術からで、ここには AI が使われプログラミングによって実装されています。

ルンバの iRobot 社には高いプログラミング技術という独自ノウハウがあるから、掃除用ロボットとしてのポジショニングを確立しているわけです (要因はプログラミングだけではないですが) 。

この独自ノウハウを他でも応用できないかと考えられ実現したのが、プログラミングロボット 「Root」 という教育支援ビジネスなのです。

先生化ビジネス


独自ノウハウの横展開をするにあたり、掃除ロボットと似たような他のロボットを売り物にするのではなくプログラミングノウハウ自体を提供サービスの主役にしました。そして 「プログラミングを人に教える」 ところに提供価値を見出しました。

高い独自ノウハウ (今回の例で言えばロボット制御のプログラミング) を持っているというのは、世間一般よりもその分野で秀でているということです。これはつまり、人に教える先生になれるわけです。

教える側の先生に対して、教えられる側の生徒を子どもたちに設定したのも秀逸です。


ロボットを使う 「ルンバらしさ」


先ほど 「プログラミングノウハウ自体を提供サービスの主役にした」 と書きましたが、サブとしてはルンバに似たロボットを使っています。

出典: iRobot

プログラミングで作ったシステムを小型ロボットにつなげる発想に 「ルンバらしさ」 があります。

掃除用ロボットであるルンバが、プログラミングロボットを使いプログラミング教育ビジネスをやることに違和感はないです。


ルンバの教育支援ビジネスから学べること


ルンバのビジネスのポイントは 「独自ノウハウの横展開」 と、具体的な応用内容は 「先生化ビジネス」 でした。

最後に、今回ご紹介したルンバのプログラミング教育の事例から、何が学べるかを整理してみます。

自分たちが持っている独自ノウハウ自体を活用して、それ自体の 「サービス化 (例: 先生化) 」 ができないかを考えてみるといいです

ノウハウは商品やサービスの競争優位の源泉である一方で、自分たちにとっては当たり前すぎる存在と見ているかもしれません。しかし実は、外部の人からするとすごいことをやっているわけです (だからこその競争優位の源泉です) 。

独自ノウハウを横展開できれば、自分たちが持っている資産の有効活用につながります。


まとめ


今回は、ルンバのプログラミング教育支援ビジネスを取り上げました。

最後にまとめです。

ルンバのプログラミング教育支援ビジネス
  • 専用アプリでプログラミングをすると小型ロボットが4つの動作をする (走る, 光る, 音を出す, 描く) 
  • 小学校などの教育ニーズに応えるプログラミング教育支援サービス

戦略的な意味合い
  • 独自ノウハウの横展開。掃除用ロボットのルンバに実装されているプログラミングノウハウ自体をサービスに活用
  • 先生化ビジネス。自分たちの得意なことは先生になって世の中の役に立とうというアプローチ

ルンバの教育支援ビジネスから学べること
  • 自分たちの独自ノウハウ自体を活用し、それ自体の 「サービス化 (例: 先生化) 」 ができないかを考えてみよう
  • 独自ノウハウを既存のビジネス以外にも横展開できれば、自分たちが持っている資産の有効活用につながる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。