投稿日 2021/09/29

伊藤園 「茶レンジャー」 企画に学ぶ、体験機会の提供と上級者育成というマーケティング


今回は、マーケティングの話です。

この記事でわかること


  • 伊藤園の 「茶レンジャー」 企画
  • チャレンジの2つの意味
  • マーケティングへの学び
  • 能動的な体験機会の提供
  • 上級者を育てる試み

この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケターの方です。商品やサービスの企画アイデアを考える役割にある方に参考になればと思います。

消費者参加型の企画を取り上げ、マーケティングに学べることを解説しています。異業種の取り組みから、自社のマーケティングでのヒントになればうれしいです。


伊藤園の 「茶レンジャー」 企画


ご紹介したいのは伊藤園の 「お〜いお茶」 の企画です。

企画名は 「茶畑エクスプレス」 で、第1回の企画は2021年7月に開催されました (公式サイトはこちら) 。




消費者参加型の企画です。茶畑から摘んだ生の茶葉を伊藤園が企画に当選した24人の 「茶レンジャー」 に配送しました。

参加者は自分で茶葉からお茶を入れ伊藤園に送り返し、伊藤園のお茶の専門家であるティーテイスターが品評をします。具体的には茶葉の形や色艶、香りなどの5項目を3段階で総合的に評価し勝者を決定します。また、結果を通信簿にして参加者に返送しました。

企画用に茶葉からお茶を入れるレクチャー動画や、ティーテイスターが評価する様子も品評動画として公開しています。

企画名の 「茶レンジャー」 について、チャレンジには2つの意味があると見ました。1つは24人で一番うまくお茶を入れられるかの競争、もう1つは生の茶葉からお茶を入れることに挑戦する意味合いです。


マーケティングに学べること


ではここからは伊藤園の 「茶レンジャー」 企画から、マーケティングに学べることを掘り下げます。

2つです。


マーケティングへの学び
  • 能動的な体験機会の提供
  • 上級者を育てる試み


では順番に見ていきましょう。


能動的な体験機会の提供


緑茶はペットボトル飲料で飲むことは一般的ですが、茶葉と急須で入れたお茶を飲む機会はそう多くないです。ましてや普段から自分でお茶を入れて飲んでいる人は少ないはずです。

茶レンジャー企画は、自分で茶葉からお茶を入れてお茶を楽しむ機会を提供しています。この企画にはお茶との能動的な関わりを持ってもらう狙いがあります。

単に茶葉を送って終わりではなく、お茶への体験機会を提供するために次のような工夫があります。


体験機会への工夫
  • 人数限定 (24名) 。取り立ての生の茶葉を送り、その日のうちにお茶を入れるために実施日を7月10日に設定
  • お茶の入れ方を動画で丁寧に解説。初めての人でも自分で入れられるようにした
  • 参加者同士でお茶の入れ方を競争する
  • 入れたお茶を送ってもらい専門家が評価し勝者を決定。各参加者にはフィードバックを返す


こうした選ばれた感や限定感という希少性、競争要素もあるので、企画に参加する熱量が高まる設計になっています。お茶を入れる体験から緑茶への愛着が高まり、伊藤園にもポジティブな感情を抱いてもらえます。


上級者を育てる試み


2つ目に学べることは、上級者を育成する仕組みです。

一般的に商品やサービスの使用頻度が多く利用歴が長くなるにつれ、利用者は詳しくなったり使い方に習熟していきます。初級者から中級者や上級者になっていくわけです。

商品・サービスのリピーターやファンを増やす意味において、上級者の育成は大事な取り組みです。

伊藤園の 「茶レンジャー」 企画は、上級者を育てる試みと見ることができます。

お茶をいれるレクチャー動画では、ティーテイスターという伊藤園のお茶の専門家がわかりやすくお茶の入れ方を教えています。茶葉から本格的なお茶の入れ方を体験することによって、参加者の 「お茶レベル」 が上がります。

もちろん1回の企画参加だけで急に上級者になれるとは限りませんが、お茶の奥深さ、生の茶葉から入れたてのおいしさを経験した人は、お茶マニアやオタクのような上級者になってもらえることが期待できます。

即効性はありませんが、日本のお茶の文化を継承する意味でも茶レンジャー企画は興味深い取り組みです。


学びの一般化


では最後に学べることを整理してみましょう。

マーケティングへの学びをより一般化すると、次のような 「問いかけ」 を考えてみるといいです。


マーケティングへの学び (問いかけ)
  • 自社商品やサービスをまだ使ったことがない人に、体験してもらう機会を提供できないか
  • こちらから一方的に体験を提供するのではなく、消費者や潜在顧客が自らやりたくなる体験機会をつくれないか
  • 商品やサービスの上級者はどういった人たちか
  • 現在の初級者が中級者や上級者になるために、自分たちができることはないか
  • 参入しているカテゴリーの成熟度を上げたり、より広く普及する取り組みとして何かできないか



まとめ


今回は伊藤園の企画 「茶レンジャー」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。


伊藤園の 「茶レンジャー」 企画
  • 生の茶葉を伊藤園が企画に当選者24人に送り、参加者は茶葉から入れたお茶を伊藤園へ送る
  • 伊藤園のお茶の専門家ティーテイスターが評価し勝者を決定。参加者それぞれに通信簿を返す
  • チャレンジには2つの意味がある。① 24人で誰が一番うまくお茶を入れられるかの競争、② 生の茶葉からお茶を入れることに挑戦する


マーケティングへの学び
  • 能動的な体験機会の提供。お茶を入れる体験から緑茶への愛着が高まり、伊藤園にもポジティブな感情を抱いてもらえる
  • 上級者を育てる試み。お茶の奥深さ・生の茶葉から入れたてのおいしさを経験してもらい、参加者の 「お茶レベル」 が上げる狙い



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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最も力を入れているのはニュースレターです。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。