投稿日 2021/09/03

大人気 「TOFU BAR」 のヒットの秘密、新しい市場での戦い方を解説


今回はヒット商品を取り上げて、マーケティングの視点でヒットの秘密を解説していきます。

この記事でわかること


  • 半年で300万本が売れたヒット商品 「TOFU BAR」
  • ヒットの理由
  • 全くの新しい市場へ出る意味 (アンゾフのマトリクスから)
  • 市場が変わると戦い方もガラリと変わる

この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケティングのお仕事をされている方です。

マーケティング戦略や販売戦略を考えている人に、他社のヒット商品の成功事例から自社のマーケティングへのヒントになればと思います。

また、ヒット商品の秘密を知りたいと思った方にも参考になればうれしいです。


TOFU BAR


ご紹介したい商品は TOFU BAR (豆腐バー) です。

引用: Asahico


公式サイトに書かれていた TOFU BAR の特徴は、次の通りです。


TOFU BAR の特徴
  • 1本で 10g 植物性たんぱく質を摂取できる
  • 一般的な絹ごし豆腐の2.7倍の植物性たんぱく質を含む
  • 植物原料なのでコレステロール摂取を控えられる
  • バータイプなので会社や自宅でいつでも手軽に食べられる
  • 噛み応えのある食感で満腹感が得らる
  • 香料不使用。和風だしで味付け



メイン購買者は 20 ~ 40 代の男性


TOFU BAR を取り上げた BUSINESS INSIDER の記事を読みました。

セブンイレブンで半年300万本のヒット商品 「TOFU BAR」 が生まれた理由|BUSINESS INSIDER


以下は記事からの引用です。

基本的に豆腐そのものだ。

ただし、普通の豆腐の購買層は60代、70代のシニア女性が中心であるのに対して、TOFU BAR シリーズの購入者は20代から40代の男性が多いという。

 「普通の豆腐はシニアの方がメインで、若い人にあまり食べていただいていないということもあり市場がシュリンクしている状況です。しかし TOFU BAR の購入者は 35 ~ 36 歳の男性が中心で、男性が6割、女性が4割くらいです。

マラソンなどの運動の後に食べられていたり、朝ご飯の代わりにかじっている方、晩酌の時にヘルシーなおつまみとして食べられている方もいるようです」 

 (引用: BUSINESS INSIDER 2021.4.15)


新しい市場へ


TOFU BAR の主な購入者は 20 ~ 40 代の男性というのは、商品特徴からすると納得のいく話です。

TOFU BAR の原材料は豆腐ですが、商品としては豆腐とは別物です。アンゾフのマトリクスで言えば、TOFU BAR は市場と商品の両方で従来の豆腐販売とは異なる新しい領域に行きました。下の図で言えば、豆腐は 「市場浸透」 、TOFU BAR は 「多角化」 です。

引用: NIJI BOX



TOFU BAR の競合は?


TOFU BAR の公式サイトには、次のような訴求がされています。

サラダチキンバーと同じように、 手軽に食べられる 「 TOFU BAR 」 が誕生しました。2020年11月の発売から生産ラインが間に合わないほどの売れ行きです。

バータイプなので運動後や間食にも利用でき、動物性たんぱく質に偏りがちな食生活を整えてくれます。

豆腐離れが進む比較的若い世代の購入者が多く、サラダチキン感覚で利用されていることがわかりました。

 (引用: Asahico)


TOFU BAR が参入した市場



TOFU BAR の競合商品として具体的に 「サラダチキンバー」 を出しているのが興味深いです。

この意味合いを掘り下げると、TOFU BAR は健康的な食べものという市場へ参入しました。より具体的に言えば 「健康になるために手軽においしくたんぱく質を取りたいニーズ」 の争いへの参戦です。このニーズを持っている人が多かったのが 20 ~ 40 代男性だったわけです。

このニーズを持った人たちがこれまで選んでいたのは、サラダチキンやサラダフィッシュなどのコンビニで売られている高たんぱく質で、カロリーが高くなく低糖質で食べ応えのあるものです。

TOFU BAR は 「健康になるためにたんぱく質を取りたい」 と思っている人たちにとって、新しい選択肢になったわけです。サラダチキンやサラダフィッシュにとっては、新たな競争相手の出現です。


その市場で 「選ばれる理由」


TOFU BAR は、サラダチキンやサラダフィッシュと 「健康になるために手軽においしくたんぱく質を取りたい」 というニーズに応える勝負をしています

この勝負において、TOFU BAR が優位性を示そうとしている、つまり買い手に訴求していることは、豆腐から作られていることです。より具体的に言うと植物性たんぱく質であることです。サラダチキンやサラダフィッシュは動物性たんぱく質です。

30代や40代くらいになるとコレステロール値を気にする人が増えてくるはずです。肉類などの動物性食品は摂りすぎるとコレステロール値が上がる要因になるので、植物性たんぱく質であることは30代や40代の男性にはうれしいことです。

実際に TOFU BAR の公式サイトでは 「植物性タンパク質」 や 「良質なたんばく質」 を訴求しています。商品のパッケージでは 「たんぱく質 10g 」 と目立つように見せています。

引用: Asahico



市場が変わると戦い方が変わる


TOFU BAR は、これまでの豆腐を売る場合と比べ、売り方が全く違います。

これは単に売り物が新しくなっただけではなく、以下のことが異なるからです。


従来の豆腐とは異なる要素 (競争環境)
  • ターゲット顧客 (シニア女性から20 ~ 40 代の男性へ)
  • 求められるニーズ (手軽に良質なたんばく質をおいしく取りたい)
  • 競合商品はサラダチキンやサラダフィッシュ
  • 他の商品ではなく 「自分たちが選ばれる理由」 (豆腐からの植物性タンパク質)


TOFU BAR は豆腐市場から健康食品という新しい市場に打って出ました。新しい市場に行くとは、これくらい戦い方が変わるということなのです。


まとめ


今回は人気商品 「TOFU BAR」 を取り上げました。

最後にまとめです。


半年300万本のヒット商品 「TOFU BAR」
  • 1本で 10g 植物性たんぱく質を摂取できる。植物原料なのでコレステロール摂取を控えられる
  • メイン購買者は 20 ~ 40 代の男性


市場が変わると戦い方が変わる
  • TOFU BAR は健康的な食べものという市場へ参入した。「健康になるために手軽においしくたんぱく質を取りたいニーズ」 の争いへ
  • ターゲット顧客は20 ~ 40 代の男性で、競合商品はサラダチキンやサラダフィッシュ。競合ではなく 「自分たちが選ばれる理由」 は豆腐からの植物性タンパク質
  • 戦う場所 (市場) が変わると戦い方 (消費者からの選ばれ方) が変わる



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。