今回のテーマは、商品開発です。
✓ この記事でわかること
- JR 東日本の新しいサービス2つ
- 2つのサービスの共通点
- 資産の有効活用からの価値提供
- 商品開発に学べること (価値の再定義)
この記事を読んでいただきたいのは、商品やサービスの開発をされていて、新しいアイデアや企画を作る役割にある方です。
JR 東が始めた新幹線の2つのサービスの共通点を掘り下げ、商品・サービス開発に学べることを解説していきます。
JR 東日本の新サービス 「オフィス車両」
JR 東が開始した2つのサービスをご紹介します。
1つ目は、新幹線のオフィス車両です (公式サイトはこちら) 。
出典: ITmedia
2021年11月22日から、web 会議や通話もできる新幹線オフィス車両が、東北・北陸・上越新幹線の全方面の8号車で利用できることになります (ニュースリリースはこちら) 。
オフィス車両を運行するは平日で、土休日や年末年始などの多客期を除きます。
新幹線オフィス車両の座席予約はできないとのことで、使いたい人は空いている席を利用することになります。予約がないのは不便だと思いました。
JR 東は、オフィス車両に合わせてのサブスクサービスも予定しています。具体的にはコーヒーショップの BECK’S COFFEE SHOP 、共同オフィスの STATION BOOTH などの利用の期間限定販売です。
新幹線での荷物輸送
2つ目にご紹介したいのが、新幹線での荷物輸送サービスです (公式サイトはこちら) 。
出典: 日経
2021年の10月1日から新幹線の車両を使い、新鮮な食品、速達ニーズのある医療関係品、機械類・電子部品などの荷物輸送を始めるとの発表がありました。企業だけでなく個人も利用可能とのことです (ニュースリリースはこちら) 。
輸送スケジュールのイメージは次のような感じです。
出典: JR 東日本
2つのサービスの共通点
ここからは JR 東日本の2つのサービスを商品開発の観点で掘り下げていきましょう。
結論を先にお伝えすると、JR 東の取り組みは 「資産の有効活用による新しい価値提供」 です。
自分たちが持っているハードとソフトの資産を活かした新サービスを生み出し、今まで新幹線がやっていなかった価値を提供します。
資産の有効活用
ここで言ってる資産とは、新幹線で言えば次のことです。
✓ 有効活用した資産
- 自動車や他の列車より速く移動できる車両
- 移動中の揺れが少なく車内の騒音も静かな環境
- 座席にデスクがついている
- 主要都市の駅に止まる線路網
- 時刻通りに運行できるノウハウ
- 車両事故や運行の乱れが起きにくい運用体制
これらのハードとソフトの両方の資産は、これまでは人を運ぶことに使い、乗客に価値を提供していました。
今回ご紹介した2つのサービスはそうした提供価値に加えて、オフィス車両は 「移動中に快適に仕事に集中できる時間」 、荷物輸送は 「大切な荷物を早く時間通りに届けられること」 を価値として提供します。
以上が 「資産の有効活用による価値提供」 という、商品開発での意味合いです。
学べること
では最後に JR 東日本の新幹線での新サービスから、商品やサービス開発に学べることを整理してみましょう。
一言で学びを表現すれば、「自分たちの提供価値は何かをあらためて考え、価値の再定義をしてみよう」 です。
JR 東の2つの新サービスを例に当てはめてみます。
これまでの提供価値は 「安全に時間通りに人が快適に早く移動できること」 でした。ここにさらに、「移動中に集中して仕事ができる環境」 や 「 (人だけではなく) 物を時間通りに早く運べること」 という価値を加えたわけです。
ポイントはこうした新しい提供価値を、持っていたハードとソフトの資産を有効活用して実現させたことです。
JR 東から学べるのをまとめると、次のようになります。
✓ 商品開発に学べること
- 自分たちが持っている資産は何か [ハードとソフトの資産の棚卸し]
- 資産を有効活用すれば、誰のどんな問題を解決できるか [顧客と問題選定]
- 問題解決のためにどのように商品・サービス化をすればいいか [ソリューション]
- 商品やサービスによってお客にどんな価値を提供できるか [提供価値の明確化]
以上の問いかけは商品開発のヒントになります。
まとめ
今回は、JR 東日本の2つの新サービスに学ぶ商品開発についてでした。
最後にまとめです。
JR 東日本の2つの新サービス
- 新幹線のオフィス車両と荷物輸送サービスを開始した
- 2つの共通点は 「資産の有効活用による新しい価値提供」
有効活用した資産
- 自動車や他の列車より速く移動できる車両
- 移動中の揺れが少なく車内の騒音も静かな環境
- 座席にデスクがついている
- 主要都市の駅に止まる線路網
- 時刻通りに運行できるノウハウ
- 車両事故や運行の乱れが起きにくい運用体制
商品やサービス開発に学べること
- 自分たちの提供価値は何かをあらためて考え、価値の再定義をしてみよう
- 持っている資産は何か [ハードとソフトの資産の棚卸し]
- 資産を有効活用すれば、誰のどんな問題を解決できるか [顧客と問題選定]
- 問題解決のためにどのように商品・サービス化をすればいいか [ソリューション]
- 商品やサービスによってお客にどんな価値を提供できるか [提供価値の明確化]
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