今回はマーケティングで、テーマはブランドです。
✓ この記事でわかること
- 世界で9番目の 「ポルシェエクスペリエンスセンター」 が日本でオープン
- ポルシェエクスペリエンスセンターの狙いとは?
- [狙い 1] ポルシェの世界観のエンタメ化
- [狙い 2] そこでしかできない体験からのブランド構築
- ブランドの本質とつくり方
- マーケティングに学べること
興味深いと思ったポルシェの取り組みを、マーケティングの観点から解説していきます。
よかったらぜひ最後まで読んでみてください。
ポルシェエクスペリエンスセンター 東京
2021年10月1日に、ポルシェが 「ポルシェエクスペリエンスセンター (PEC) 東京」 をオープンしました (公式サイトはこちら) 。場所は千葉県木更津市です。
出典: Car Watch
PEC は世界で展開され、今回の東京は世界で9番目とのことです (ニュースリリースはこちら) 。
PEC はポルシェの試乗施設で、本格的にポルシェの運転を体験できます。16種類のポルシェ自動車の中から好きな車種を選び、高低差や曲がり角が楽しめる周回コースが全部で6種類用意されています。
出典: Car Watch
PEC では単に試乗できるだけではなく、経験豊富なポルシェドライビングコーチのマンツーマンによるレッスンを受けられたり、コーチの運転を助手席に乗れるメニューもあります。
他にはレストランがあり、セレクションストアでのショッピングもできます。
試乗料金は車種によって異なりますが、90分で4万4000円から。専用のシミュレーターでは料金は30分4500円、没入感を味わえる VR (仮想現実) のシミュレーターは30分5500円とのことです。
ポルシェエクスペリエンスセンターの狙い
ではマーケティングの観点から、PEC の狙いについて見ていきましょう。
一言で結論を言えば、ポルシェエクスペリエンスセンターの狙いは 「ポルシェの世界観をエンタメ化し、ブランドを構築すること」 です。
PEC では先ほど見たように様々なポルシェ体験ができます。
✓ ポルシェの世界観の体験
- 専用コースでポルシェを運転できる
- 専属ドライバーのレッスンを受けられたり、助手席で運転を体験できる
- シミュレーターや VR で遊べる
- カフェやレストランでの飲食、ショッピング
PEC に行けば、ポルシェが提供する体験によって 「ポルシェの世界観」 を堪能できます。世界観の押し付けではなく、来場者がお金を払ってでも体験したいと思うくらいのエンターテイメントにしているのです。
ブランドの構築
こうした PEC でしかできない1つ1つの体験が、ポルシェというブランドをより強いものにします。
ではマーケティングの解説として、そもそもブランドとは何か、ブランドはどうやってできるのかを説明していきますね。
ブランドの本質
マーケティングの文脈で、ブランドとは 「顧客からの望ましい感情が伴った商品やサービス」 です。数式で表せば足し算で 「商品 + 感情 = ブランド」 です。
望ましい感情とは、好き・共感・満足・誇り・憧れ・応援したい気持ちです。こうした感情が深いほど強いブランドになります。
マーケティングでのブランドは 「お客の頭の中にある価値イメージや信頼」 と捉えます。
ブランドができるプロセス
ではブランドはどうやってできるかも見ていきましょう。
結論は 「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成」 です。順番に説明をしていきますね。
ブランドとは商品やサービスに感情移入がされているものです。感情が形成されるのはその商品・サービスに関するユーザー体験からです。具体的には次のようなものです。
✓ 商品やサービスのユーザー体験
- 初めて知る
- 興味を持って調べる
- お店で買う
- 商品・サービスを使う
- 人に話をする (例: 良かったと推奨する)
こうした1つ1つの体験とポジティブな感情が良い記憶として残り、価値イメージができるとブランドになるわけです。
ポルシェエクスペリエンスセンターからのブランド構築
ここで話を PEC に戻します。
PEC の狙いは、「ポルシェの世界観をエンタメ化し、ブランドを構築すること」 でした。ブランド構築につながるのはポルシェエクスペリエンスセンターにしかない様々な体験からです。
PEC でのポルシェの世界観の五感でのエンタメ体験から、感情移入が起こります。具体的には、楽しい・かっこいい・満足・誇らしいという気持ちです。
来場者の頭の中で 「ポルシェとはこんな価値がある」 という認識が強く残りブランドとして強化されるのです。
学べること
では最後に、PEC からマーケティングの特にブランドで学べることを整理してみましょう。
自社で扱っている商品やサービスが高級商材ではなくても、生活者や企業から好ましい感情を持ってもらうことでブランドになれます。
ブランド構築のためにはお客との接点それぞれで、どれだけユーザー体験を提供できるかです。そこで次のようなプロセスを順に辿ると良いです。
✓ ブランド構築のプロセス (PEC から学べること)
- 自分たちのお客を明確にする (ターゲット顧客の設定)
- 顧客との接点とユーザー体験を洗い出す
- 体験ごとでの望ましい感情移入を顧客視点で想像する
- どんな価値イメージを持って欲しいかを決める
- 「体験 - 感情移入 - 価値イメージ形成」 を実現させる打ち手を考え、実行する
まとめ
今回は 「ポルシェエクスペリエンスセンター 東京」 をご紹介し、狙いとマーケティングに学べることを掘り下げました。
最後にまとめです。
ブランドの本質
- ブランドとは顧客からの望ましい感情が伴った商品やサービス (商品 + 感情 = ブランド)
- 望ましい感情とは、好き・共感・満足・誇り・憧れ・応援したい気持ち。こうした感情が深いほど強いブランド
- ブランドは 「お客の頭の中にある価値イメージや信頼」 と捉える
ブランドができるプロセス
- 「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成」 でブランドができる
- 体験とは例えば、知る・調べる・買う・使う・人に話をする
- 1つ1つの体験とポジティブな感情が良い記憶として残り、価値イメージができるとブランドになる
ブランド構築のプロセス
- 自分たちのお客を明確にする
- 顧客との接点とユーザー体験を洗い出す
- 体験ごとでの望ましい感情移入を顧客視点で想像する
- どんな価値イメージを持って欲しいかを決める
- 「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成」 を実現させる打ち手を考え、実行する
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