投稿日 2021/11/06

ケロッグ オートミールのレシピ提案に学ぶ、馴染みのない商品のマーケティングと販売の方法

出典: PR TIMES

今回のテーマは、マーケティングや販売です。

✓ この記事でわかること
  • ケロッグ オートミールとは?
  • 生活者に馴染みのない商品の売り方
  • 利用用途を売り手が提案する意味合い
  • マーケティングや販売に学べること

この記事を読んでいただきたいのは、マーケティングの仕事をされている方です。他にはエンドユーザーへの販売に関わっている方もです。

ケロッグのオートミールを取り上げて、マーケティングコミュニケーションや販売の方法に学べることを解説しています。

ケロッグのオートミール


今回ご紹介したいのは、日本ケロッグが2021年4月に発売した ケロッグ オートミール です (公式サイトはこちら) 。


オートミールはオーツ麦を原料として使い、低糖質で食物繊維が豊富の食品です。ケロッグ オートミールは無添加で、オーツ麦 100% を原料に使っています。

特徴は栄養バランスの良さです。オートミール1食分 (30g) と白米ご飯1杯 (150g) を比較すると、食物繊維は白米の6倍、糖質は白米の約3分の1とのことです (参考: PR TIMES) 。

オートミールについて調べてみると、白米の代わりにオートミールを使っておにぎりや雑炊を作る 「米化 (こめか) 」 いう調理方法が話題になっていました。テレビ番組や SNS を通じて広がっているようです。

出典: PR TIMES


馴染みがない商品の売り方


ケロッグのオートミールは、マーケティングコミュニケーションや販売で参考になります。

一般的にはオートミールはまだあまり知られていない食材です。

バランスの良さを知れば魅力に思えるでしょう。しかし、オートミールのことを聞いたことがなかったり名前を知っているくらいの人にとっては、積極的に買いたいとまではなりません。

オートミールの訴求の方法や売り方で参考になるのは、自社の商品・サービスの特徴や良さがなかなか生活者や企業に伝わらず、もっと注目されてもいいはずなのにあまり売れていない状況においてです。

オートミールが訴求でやっていることは、一言で言えば 「様々なレシピを使ってのオートミールの食べ方 (利用用途) の提案」 です。

主食やおかず、デザートを作るのに 「オートミールをこんなふうに普段の食事メニューに使える」 という紹介を公式サイトで展開しています (レシピサイトはこちら) 。

オートミールを使った親子丼レシピ (出典: ケロッグ


用途提案の意味合い


お客にとって馴染みのないものは、どう使っていいかわからないので興味を持ちにくいです。いくら良いものでも普段の生活シーンや仕事での使い方で具体的なイメージができなければ、欲しいとは思われません。

こういう状況では、オートミールのように具体的な利用を見せるといいです。

イメージを持ってもらうため有効なのは、今使っているものをこうやって置き換えることができるという既存の代替の提示です。オートミールで言えば、白米をオートミールに代えて、例えばおにぎりや親子丼を作ると栄養バランスが良い食事になるという 「利用用途とメリット」 を示すわけです。


学べること


では最後に、ケロッグのオートミールからマーケティングや販売に学べることを整理してみましょう。

一言といえば、学びは 「見込み客にとって馴染みのない商品やサービスは、相手が自分ごと化できる利用用途とメリットを提示しよう」 です。

お客にとって具体的にどう使えるかや、今使っているものがどのように置き換わるのかまでかイメージまでできると、自分ごと化され購入検討に入ってもらえます。

裏を返せば、いくら良い商品やサービスでもスペックや機能だけの訴求では、そのスペック・機能の自分にとっての意味合い (使い方とメリット) をお客自身が翻訳しないといけません。

これができる人は限られるので、売り手である提供者側が利用用途とメリットをわかりやすく伝えるといいです。


まとめ


今回はケロッグ オートミールに学ぶ、自分ごと化をしてもらうマーケティングコミュニケーションや販売の方法についてでした。

最後にまとめです。

オートミールの訴求や売り方
  • ケロッグがオートミールの訴求でやっていることは、様々なレシピを使ってのオートミールの使い方 (利用用途) の提案
  • 主食やおかず、デザートでオートミールをこんなふうに使えるという紹介を公式サイトで展開している
  • 自社の商品・サービスの特徴や良さがなかなか生活者や企業に伝わらず、もっと注目されてもいいはずなのにあまり売れていない状況には参考になる

用途提案の意味合い
  • お客にとって馴染みのないものは、どう使っていいかわからないものと興味を持ちにくい
  • こういう状況では、オートミールのように具体的な使い方 (レシピ) を見せるといい

学べること
  • 見込み客にとって馴染みのない商品やサービスは、相手が自分ごと化できる利用用途とメリットを提示しよう
  • いくら良い商品やサービスでもスペックや機能だけの訴求では、そのスペック・機能の自分にとっての意味合い (使い方とメリット) をお客自身が翻訳しないといけない
  • 具体的にどう使えるかや、今使っているものの置き換えイメージまでできると、自分ごと化され購入検討に入ってもらえる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。