投稿日 2022/04/20

カルビーのアプリで 「どの店で買えそうか」 がわかるように。機会損失の把握と的確な打ち手

出典: カルビー

今回のテーマは、マーケティングでの機会損失の解消で、具体的な事例から見ていきます。

おもしろいと思ったアプリの機能追加を取り上げ、マーケティングに学べることを解説しています。

✓ この記事でわかること
  • カルビーのアプリへの機能追加
  • 追加機能の価値とは?
  • 限定商品の功罪
  • 機会損失の見極めと対応策

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

カルビーアプリへの機能追加


カルビーはアプリ 「ルピープログラム」 を一般公開して提供していますが、新しい機能が追加されました。

カルビーの商品がどこのお店で売られているかがわかる機能です。厳密には何日前にそのお店に商品が納品されたかをマップ上で示すものです。

出典: 日経

以下は、日経新聞の記事からの引用です。

カルビーは同社の商品がどこの店舗にいつ納品されたかをスマホアプリで検索できるようにした。同社の 「お客様相談室」 への問い合わせが多かった取扱店舗をアプリでわかりやすく伝える。従来、商品には関心はあるが店舗の問い合わせまではしなかった人の潜在的なニーズも取り込む。

同社のアプリ 「ルビープログラム」 に販売店検索機能を追加した。アプリ内の 「お知らせ」 ページで紹介している新商品や人気商品について、利用者のスマホの位置情報を使って、カルビーが近隣の販売店に商品を出荷したことを調べられる。全国のスーパーやドラッグストアなどの店舗の一部が対応している。

具体的な仕組みはについて、続けて記事から引用すると、

新機能にはカルビーから商品を出荷するときのデータを活用した。もともと商品ごとにどの店に配送したかまとめていたデータを、「この販売店に、何日にどの商品を配荷したか」 というかたちに整理した。

ただ、出荷データをもとにしているため、検索時点で販売店に在庫があるかどうかは示せない。そこで配荷から何日たったかを、地図上で販売店の位置を指すピンの色を変えて示した。配荷から日が浅いほど、店舗に在庫がある可能性は高くなる。例えば、配荷から 「2日以内」 なら 「青」 、「3 ~ 4日以内」 なら 「緑」 というように、5段階にわけた。
配荷から何日たったかを販売店位置のピンの色で示す (出典: PR TIMES

カルビーの定番のポテトチップスのうすしお味、かっぱえびせんは、どのお店でも売られています。しかし季節限定などの商品は、売っていなかったり売り切れていることもあり、マップ上から見られるのは欲しい人には便利そうな機能です。


限定商品の功罪


定番商品に比べて、限定商品はなくなる前に今すぐ買ったほうがいいと思えるものです。

限定商品を買えれば、希少なものが手に入ったという定番商品にはない達成感が得られます。

一方で、限定で数が少ないがゆえに売っているお店が少なく、売り切れていたりと、買いそびれてしまう場合があります。

このように限定商品には功罪の両方がありますが、カルビーのアプリに追加された機能 (配荷日の可視化) は罪の部分の問題を解消してくれます。


学べること


では最後に、今回の話から学べることを整理してみましょう。

一言で言えば、学びは 「機会損失を把握し、チャンスに変えよう」 です。

カルビーの例では機会損失とは、商品を買いたいと思う人がいるのに、行ったお店で売られていない状況です。誰しもが一度は経験したことがあると思いますが、欲しいのに売っていないとすごく残念な気持ちになりますよね。

カルビーは自社アプリに、その商品が何日前に出荷されたかを、マップ上にわかりやすく表示させました。

もちろん出荷日なので、例えば5日前でもお店にまだ置いてあることもあれば、2日以内に出荷されたのに売り切れている場合もあるでしょう。必ず買える保証はありませんが、全く情報がないよりは良く、どのお店で買えそうかの目安になります。

今回のまとめとして学びを一般化すると、見込み客の買うまでのプロセスにおいて、どこにボトルネックがあるかを把握し、解消する重要性です。

今回の話は、マーケティングや営業の用語で言う 「配荷」 が機会損失と見て、解決策としてアプリへの機能追加で対応した事例です。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。