今回のテーマは、戦略です。
✓ この記事でわかること
- 二極化が進む国内デジカメ市場
- 低価格デジカメの人気の理由
- 弱者の戦い方とは?
- 学べること
おもしろいと思ったデジカメ市場の状況と、低価格デジカメの人気の秘密から、弱者の戦略について見ていきます。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
二極化が進むデジカメ市場
これは日経新聞の記事に取り上げられていたことで、国内のデジカメ市場は二極化が進んでいるようです。
以下は記事からの引用です。
デジタルカメラ市場で売れ筋価格帯に変化が起きている。
スマホの普及で市場が縮小するなか、キヤノンやニコンなどメーカー各社はプロや趣味層にターゲットを絞りミラーレスカメラなど高価格帯機種への高額シフトで対応を進めているが、スマホにはない高倍率ズーム機能を持つ1万円台の低価格カメラの存在感も依然大きい。
(中略)
調査会社 BCN (東京・千代田) のデータによると、国内販売台数のうち価格が10万円以上のカメラの比率は21年1 ~ 10月で約 16% 。iPhone 上陸前年の07年に比べ約7倍に急増している。
一方、低価格帯のカメラの需要も根強い。07年に 13% ほどだった2万円未満の価格帯のカメラは、直近では3割にまで増えている。売れ筋はキヤノンの 「IXY200」 やソニーの 「サイバーショット W830」 など1万円台のコンパクトデジカメ (コンデジ) だ。
出典: 日経
ソニーの 「サイバーショット W830」 (出典: 日経)
低価格デジカメが人気の理由
なぜ1万円台の低価格のデジカメが人気なのでしょうか?
再び記事から引用すると、
1万円程度の低価格モデルが生き残っている背景の一つには、スマホが不得意な高倍率ズームを搭載していることがある。
一般的なスマホカメラにはデジタルズーム機能がついているが、画像をソフト処理で引き延ばしているためズームするにつれて画質が劣化してしまう。一方、コンデジはレンズを動かしてズームする光学ズーム機能が備わっており、画質をキープしながら遠くまで写すことができる。
「運動会や発表会といったイベントで遠くにいる子どもをしっかりと写真に残したい親世代からの需要がある」 (キヤノン) ほか、仕事や学校などスマホが使えない場面でのニーズも根強い。「スマホ禁止という学校現場で遠足や修学旅行などイベント向けや、ビジネス用途などで最低機能を備えた低価格コンデジのニーズは一定数ある」 (カメラ売り場販売員) 。
低価格モデルが人気を呼んでいる理由は大きくは2つです。高倍率ズーム機能と、スマホでの写真や動画撮影ができないシーンでの利用ニーズで、ここにスマホに対する低価格デジカメの比較優位があるわけです。
弱者の戦い方
1万円台のデジカメを戦略の視点で捉えると、「弱者の戦略」 が見て取れます。
弱者の戦い方で大事なのは、強者といかに差別化を図るかです。強者がまだ気づいていないところや、やろうとしてもできないことに、弱者ならではの生き残りの道を見出します。
今回のデジカメの事例では、弱者は1万円台のコンパクトデジカメ、強者はスマホです。
低価格デジカメのスマホに対する比較優位は、
- スマホでは画質が劣化する高倍率ズームを搭載
- スマホが使いにくい特定の利用シーンでの撮影ニーズ
この2つに絞って、スマホにはできない価値を低価格デジカメは利用者にもたらしているのです。
学べること
では最後に、低価格のデジカメから学べることを整理してみましょう。
一言で表現をするなら、学びは 「弱者としての生きる道」 です。たとえニッチだとしても、弱者は 「ここだけは誰にも負けないという提供価値」 を実現する重要性です。
一般的に弱者は、強者に比べて武器となるリソースが少ないです。リソースとは組織であれば人・モノ・金です。弱者が、リソースを豊富に持つ強者と同じ土俵で、同じような戦い方を正面から挑んでも勝つことは難しいでしょう。
だからこそ一点集中で、時には強者にはできない陽動戦 (ゲリラ戦) で局地的に戦うのが弱者の戦い方です。これが1万円台の低価格デジカメから学べることです。
まとめ
今回は1万円台の低価格デジカメを取り上げ、戦略の観点から学べることを見てきました。
最後にまとめです。
強者と弱者
- 弱者がリソースを豊富に持つ強者と同じ土俵で、同じような戦い方を正面から挑んでも勝つことは難しい 弱者の戦い方で大事なのは、強者といかに差別化を図るか
弱者の戦略
- 強者がまだ気づいていないところや、やろうとしてもできないことに、弱者ならではの生き残りの道を見出す
- 一点集中で、時には強者にはできない陽動戦 (ゲリラ戦) で局地的に戦うのが弱者の戦い方
- たとえニッチだとしても、ここだけは誰にも負けないという提供価値を実現する
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