投稿日 2022/04/13

ありそうでなかった 「飲むだし」 に学ぶ、成功確率を上げるマーケティング


今回のテーマは、テストマーケティングです。

✓ この記事でわかること
  • 和だし飲料の 「飲むだし」 の特徴
  • クラウドファンディングでのニーズ検証
  • 小さく始めて勝ち筋を見極めるテストマーケティング

おもしろいと思った飲料を取り上げ、販売手法からマーケティングに学べることを解説しています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

和だし飲料の 「飲むだし」


ご紹介したいのは、ありそうでなかった飲料です。

キッコーマン飲料の 「飲むだし」 で、だしを嗜好飲料として手軽に楽しめるドリップタイプの和だし飲料です。味の種類は3つで、かつお枯節 (かれぶし) 、かつお荒節 (あらぶし) 、まぐろ節です。


以下は、日経クロストレンドの記事からの引用です。

新型コロナウイルス禍でステイホームやリモートワークが定着する中、仕事の合間に自分でコーヒーや紅茶をいれ、リフレッシュしている人も多いだろう。だが、自宅の気軽さからか、つい飲みすぎてしまい、カフェインの取りすぎが気になったり、味にマンネリを感じたりすることもしばしばだ。

そうしたコーヒーや紅茶の置き換えニーズを捉えて伸びているのが、小腹がすいたときにも最適な即席スープや昆布茶など。ここに新たな選択肢として斬り込もうとしているのが、キッコーマン飲料が提案する 「飲むだし」 だ。

飲むだしは、マクアケのクラウドファンディングで販売されました。次にここを掘り下げていきましょう。


まずはクラファンで



先ほどの記事からの引用です。

同社 (引用者注: キッコーマン飲料) は2021年12月23日 ~ 2022年2月20日までの期間で、初のクラウドファンディングに挑戦している。マクアケでサポーターを募集しているのは、「YOHAKU Drip (ヨハク ドリップ) 」 と名付けた飲むだしだ。15日時点で159万円超と目標の約3倍に達している。

 「YOHAKU」 ブランドは、キッコーマン飲料初の D2C ブランドでもある。3月1日からは YOHAKU 独自の EC サイトで販売を本格化させる計画だ。

 (中略) 

だしを飲み物として楽しむ習慣は、まだ一般に定着しているとは言い難いだろう。だが、ドリンクとしてのだしのニーズは確実にありそうだ。

実際、YOHAKU Drip についてマクアケのコメント欄には、「お茶代わりに、液体だしや粉末だしを薄めて飲んでいたが、こんな商品を待っていた」 といった声が上がっている。

小さく始めてのニーズ検証


飲むだしのアプローチには、テストマーケティングの観点で学びがあります。特に今回のような新しいカテゴリーの商品、ありそうでなかった商品においてです。

飲むだしがクラファンを使ってやったことの本質は 「小さく始めてのニーズ検証」 です。いきなり大々的な告知や広告、店頭展開はせずに、マクアケでのクラファンで知る人ぞ知るぐらいの規模で始めました。

クラファンでの応募者数や集まった金額、ついたコメント内容からコンセプトや商品特徴にどれだけのニーズがあるかがわかります。

テストマーケティングのやり方は一般的には、販売エリアを1つの県だけに絞ったり (ちなみによく使われるのは静岡・福岡・広島・北海道・石川です) 、会員限定の先行販売などがあります。クラファンを使った方法は、スピーディーにできるのと、反応やニーズがダイレクトにわかるメリットがあります。


テストマーケティングの役割


もう少しテストマーケティングについて深掘りをしていきましょう。

テストマーケティングの役割は 「勝ち筋の見極め」 です。

勝ち筋とは別の表現をすれば、成功要因、勝つためのポイント、勝ちパターン、勝利の方程式です。テストマーケティングで小さく始めてニーズ検証をしながら、勝ち筋を探っているわけです。

テストマーケティングでいけると判断できれば、一気にアクセルを踏み出しリソースを投入します。裏を返せば、勝ち筋を見出せていない状態でリソースを全て投下するのはリスクが大きいです。とりわけ新しいカテゴリーやありそうでなかった商品では、博打のようになりかねません。

飲むだしは最初にクラウドファンティング、次に自社 EC サイト販売から D2C という順番で進めています。最終的にはスーパーなどの店頭、Amazon や楽天などでも買えるようにするかもしれませんが、いきなり広げずにステップバイステップで進めています。

飲むだしは、小さく始めて勝ち筋を見極めるやり方で参考になります。


まとめ


今回は 「飲むだし」 を取り上げ、テストマーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

小さく始めてのニーズ検証
  • 新しいカテゴリーやありそうでなかった商品では小さく始めてニーズを検証すると良い
  • 例えばクラウドファンディングを使えば、応募者数や金額、コメント内容からコンセプトや商品特徴へのニーズがわかる

テストマーケティングの役割
  • テストマーケティングの役割は勝ち筋の見極め
  • 小さく始めていけると判断できれば、一気にアクセルを踏み出すようにリソースを投入しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。