投稿日 2022/04/07

ロッテのアイス 「クーリッシュデザート」 。「置き換わるもの」 を見極め新規客を増やす方法

出典: macaroni

今回のテーマは 「新規のお客さんを獲得する方法」 です。

おもしろいと思ったアイスの事例を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • ロッテのアイス 「クーリッシュデザート」 が好調
  • かつてのマーケティング課題
  • 大人になって買わなくなった人たちへのインタビューからわかったこと
  • お客さん視点の競合設定
  • 新規客を増やす方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ロッテのアイス 「クーリッシュデザート」 


今回ご紹介するのはロッテのアイスクリーム 「クーリッシュデザート」 です。

出典: マママテ

出典: macaroni

クーリッシュデザートは2021年11月に発売されました。コンセプトが 「飲むアイス」 のクーリッシュの中で、クーリッシュデザートは大人向けに位置づけられる商品です。

売上が好調


クーリッシュデザートは立ち上がりから好調で、売上計画を上回りました。
ロッテのアイスクリーム 「クーリッシュデザート」 が好調だ。アイスに2つの素材を加えた濃厚な味わいが20代後半 ~ 30代前半の心をつかんで離さない。

2021年11月にダブルショコラ & クッキーをコンビニ先行で発売。売り上げは12月までの1カ月間で計画を 18% 上回った。

かつてのマーケティング課題


興味深かったのはかつてのマーケティング課題です。

クーリッシュというブランドは若者向けのイメージとして定着したものの、それ以上に購入者層が広がっていないという状況でした。

クーリッシュはロングセラーに育ったが、足元ではブランド全体の販売が伸び悩んでいた。若者向けのイメージがあり購買層が広がらなかったからだ。開発を担当したマーケティング本部クーリッシュブランド課の北村考志課長は 「いま一度クーリッシュを手に取ってもらうにはどうすればよいか」 と策をめぐらせた。

若い頃にクーリッシュを買っていたが、大人になって買わなくなった消費者にインタビューすると、「仕事で疲れているのでより甘い物を食べる」 や 「ちょっといい物を買う」 との声が上がったという。

そこで大手カフェチェーンのフローズンドリンクにヒントを得て、デザートのように甘く濃い味わいの商品をめざした。開発が本格化したのは20年夏ごろだ。

学べること (新規顧客の獲得) 


ではクーリッシュデザートの事例から学べることを掘り下げていきましょう。

新規のお客さんをどうやって獲得するのかに学びがあります。

これからお客さんになってほしい見込み客、または離反客 (以前はお客さんだったが今は離れてしまった人) にお客さんになってもらうためには、彼ら・彼女らが 「今すでに使っている・買っているもの」 を自社の商品・サービスに置き換えてもらう必要があります。

順に解説していきますね。

自社商品を買っていない人が欲しいもの


まず注目したいのは先ほどの引用した中にあった 「インタビューでわかったこと」 です。

担当者がやったことは、若い時はクーリッシュを買っていたものの大人になってからは買わなくなった人たちへのインタビューです。

インタビュー対象者からの声は 「仕事で疲れているのでより甘い物を食べる」 や 「ちょっといい物を買う」 でした。

競合設定と提供価値


クーリッシュの担当者は置き換わるもののことをアイス以外にも広く捉えました。インタビューでわかった 「仕事で疲れているのでより甘い物を食べる」 や 「ちょっといい物を買う」 です。

インタビューで 「なぜクーリッシュを買わないのか」 ではなく、「今は何を買いたいのか」 「何を食べているのか」 とクーリッシュを主語にせずに訊いているのは良いアプローチです。

というのはお客さん視点での競合の設定になるからです。自分たち都合での決め方、例えば単純に 「アイス商品だから競合はアイスだろう」 ではなく、お客さんに自社商品を食べて欲しいシーンにおいて 「今食べているもの」 を見出しての競合設定ができます。

新規顧客の獲得のためには、見込み客が頭の中に浮かべる選択肢を競合に設定し、競合 (置き換わるもの) よりも高い価値を提供することが大事です。


まとめ


今回はロッテのアイス 「クーリッシュデザート」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

新規客の獲得方法
  • 見込み客や離反客にお客さんになってもらうためには、彼ら・彼女らが 「今すでに使っている・買っているもの」 を自社商品・サービスに置き換えてもらう必要がある
  • この 「置き換わるもの」 が、自分たちの競合になる
  • 見込み客が頭の中に浮かべる選択肢を捉え競合に設定し、競合 (置き換わるもの) よりも比較優位な価値を提供しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。