出典: BABY TECHメディア名
今回は、無料サービスをつくる方法です。
✓ この記事でわかること
- ベネッセのオンライン幼稚園
- 無料にした狙いとは?
- ① 顧客接点の増加と体験機会の提供
- ② 体験からの価値イメージ形成
- ③ 有料への布石
- 学べること (無料の設計方法)
おもしろいと思ったベネッセのサービスを取り上げ、「無料」 をキーワードに戦略的な意味合いを解説しています。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ベネッセオンライン幼稚園
ベネッセが、会員登録なしの無料で利用できる 「オンライン幼稚園」 というサービスを始めました (公式サイトはこちら) 。
出典: BABY TECHメディア名
以下の日経新聞の記事の引用から、オンライン幼稚園の中身について見てみましょう。
新型コロナウイルスの感染再拡大に伴い、幼稚園や保育園の休園は増えている。休園中に自宅で過ごす子どもに利用してもらい、日ごろと同じような生活リズムを保てるようにする。
1日の流れに合わせ、幅広い領域のコンテンツを提供する。例えば朝10時には朝のあいさつをし、その後、朝食を食べたかなど語りかけることで朝ご飯を食べる流れを作る。午前中は歌やダンス、遊びや知育などのコンテンツを提供。昼食時には、手洗いや歯磨きを促す歌を流して促す。
コンテンツは専門家が監修し、子どもに語りかけるようなコーナーを設けることで、子どもが積極的に動画に参加できる流れを作った。コンテンツは無料でだれでも利用できる。
出典: 映画.com
出典: engadget
無料の意味合い
オンライン幼稚園は有料配信をしてもよさそうですが、ベネッセは無料で提供しています。
では、なぜ無料なのか、無料にすることの意味合いを掘り下げてみましょう。
結論から言うと、無料の狙いは次の3つです。
✓ 無料にする意味合い
- 顧客接点を増やし、ベネッセの体験機会の提供
- 体験からの価値イメージの形成
- 有料サービスへの布石
順番に補足をしますね。
顧客接点の増加と体験機会の提供
オンライン幼稚園によって、ユーザー (子どもと親) との顧客接点を新しく増やすことができます。顧客接点とは、ユーザーへの何かしらの体験を提供する機会のことです。
サービスを無料にすることで、体験機会を増やすことが1つ目の狙いです。
体験からの価値イメージの形成
オンライン幼稚園という顧客接点 (体験機会) で、楽しい、おもしろかったという気持ちが伴えば、サービス体験が 「良い記憶」 として残ります。1つ1つの記憶が蓄積され、ユーザーの頭の中に 「ベネッセのサービスはこんな価値がある」 という価値イメージが形成されます。
有料への布石
無料にする3つ目の意味は、有料サービスへの布石です。
オンライン幼稚園は無料でも、その後のベネッセの有料サービス、例えば 「こどもちゃれんじ」 につなげる狙いがあります。いわば 「損して得取れ」 です。
オンライン幼稚園は運営コストがかかるので、ここだけを見れば赤字サービスです。しかし、ベネッセ全体で見たり時間軸を長く取れば、後から 「得」 がある設計になっているわけです。
学べること (まとめとして)
では最後に、オンライン幼稚園から学べることを整理してみましょう。
一言で言えば、学びは 「意図を持って無料のサービスや商品を設計しよう」 です。
今回のオンライン幼稚園で見たように、次のような狙いが実現するのであれば、あえて無料にする意味はあります。
✓ 無料サービスの狙い
- 顧客接点の増加による、新しい体験機会の提供
- 体験による商品・サービス、自社への価値イメージ形成
- 会員獲得
- 有料サービスへの布石
これらを狙えるのであれば、無料での打ち手は有効です。
裏を返せば、意図や目的がなかったり曖昧にもかかわらず、短絡的に無料にしてはいけません。視野を広げ時間軸を長く見て、戦略的に無料を設計すると良いです。
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