投稿日 2022/04/01

自分のタイミングで勝負しない。「イノベーター理論」 でマーケット感覚を身につける方法


今回のテーマは、意思決定や行動をするためにどうすればいいかです。

キーワードを 「マーケット感覚」 として、麻雀とイノベーター理論に学ぶ 「アクションを起こすタイミングを見極める方法」 を解説しています。

✓ この記事でわかること
  • 麻雀の教訓 「自分のタイミングで勝負しない」 とは?
  • タイミングを見極めるためのマーケット感覚
  • 勝負のタイミングとイノベーター理論

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

 「自分のタイミングで勝負をしない」 


今回の話の背景は、ある記事を読んだからです。

藤田晋 「自分のタイミングで勝負しない」 重要さ - 「今すぐ勝負」 の焦りが失敗に繋がるケースも|東洋経済オンライン

サイバーエージェントの藤田さんを取り上げた記事です。

記事で語られていた 「自分のタイミングで勝負しない」 が興味深かったです。記事から該当箇所を引用すると、

麻雀で大事な教訓に 「自分のタイミングで勝負してはいけない」 というものがあります。

要は、自分の事情でなく、周りの環境面が整ったタイミングで勝負しなければ意味がないのです。麻雀は、失点したり後手を踏んだりすると焦ってしまうゲームです。「早く上がってラクになりたいから」 と無謀な勝負に出てしまい、自滅する人がなんと多いことでしょうか……。

麻雀では、自分の事情が常につきまといます。実力だけでなく、運も左右します。それでも自暴自棄にならず、マイペースで頑張り続けることが、結局は失点を防ぐことにつながります。

自分のタイミングで、無理な勝負に出たくなる思いを抑えられるかどうか。それが 「心の強さ」 そのものという気がします。会社が犯す判断ミスも、私たちが犯す人生でのミスも、麻雀と同じく 「自分のタイミングで勝負したことによるもの」 が多いのです。

では、いったいどうすればいいのでしょうか。

 「ぜひ、麻雀を見たり、実際に打ったりしてください」 と言いたいところですが……普遍化するならば 「タイミングを読むクセをつける」 のが重要だと言えるでしょう。

タイミングの見極めとマーケット感覚


自分のタイミングで勝負をしないとは、自分のいる環境や状況、競争相手の動向など、外部に目を向けて意思決定をするということです。

これをマーケティングの視点で捉えれば、勝負のタイミングを読むために 「マーケット感覚」 を身に付ける重要性です。

ではここからは、どうすればマーケット感覚を鍛えられるかを見ていきましょう。そこで補助線としてご紹介したいのが、「イノベーター理論」 です。


イノベーター理論


イノベーター理論とは、人々を大きく5つに区分し、新しい技術や商品・サービスが普及する時の浸透度合いを理論化したものです。


平たく言えば、

  1. 新しいものに真っ先に飛びつく人
  2. 流行に敏感な人
  3. 取り残されないように後から追いかける人
  4. 保守的でなかなか取り入れない人
  5. 最後まで決して動かない人

このような順番に普及していくという考え方です。

5つの分類の特徴を整理すると、次のようになります。


✓ イノベーター 2.5%
  • 真っ先に飛びつく
  • 技術や仕組みを純粋に評価する

✓ アーリーアダプター 13.5%
  • 有用性を自分の目で判断する
  • アンテナ感度が高く、まわりへの影響力が高いオピニオンリーダー的な存在

✓ アーリーマジョリティ 34%
  • 流行っていることに乗り遅れないようにしたい
  • オピニオンリーダーの影響を受ける

✓ レイトマジョリティ 34%
  • まわりで普及し、使わないと自分が損をする状況になってようやく重い腰を上げる
  • 本心では新しいものはできれば使いたくない・変えたくない。懐疑的に見る

✓ ラガード 16%
  • 今までのものを使い続ける
  • 流行や新しいことには関心がない


イノベーター理論と勝負のタイミング


ここで話を 「マーケット感覚から勝負のタイミングを見極める方法」 に戻します。

タイミングに唯一絶対の正解はありません。とはいえ、早いか遅いかの見極めは必要です。

タイミングを判断するものさしにイノベーター理論が使えます。

具体的には、

✓ 勝負のタイミングとイノベーター理論
  • 100人中2,3人が賛成 → イノベーターにしか理解されていないためファーストペンギンになれるが、リスクは高い
  • 15人くらいが賛成 → アーリーアダプターまでなので、先行優位を得たいならこのタイミング
  • 半分くらいが賛同 → アーリーマジョリティにも知られているので、競争環境が激しくなっている
  • 85% が賛成 → レイトマジョリティまで行き着いている。石橋をたたきすぎてタイミングとしては遅い

このようにイノベーター理論の5つの区分と特徴、目安としての規模感は、覚えておいて損はないフレームです。


まとめ


今回は、勝負のタイミングを見極めるために、イノベーター理論を取り入れたマーケット感覚の身につけ方をご紹介しました。

最後にまとめです。

自分のタイミングで勝負をしない
  • 自分の事情でなく、自分のいる環境や状況、競争相手の動向など、外部に目を向けて意思決定をする
  • タイミングを読むクセをつけるのが重要

タイミングの見極めとマーケット感覚
  • 勝負のタイミングを読むためにマーケット感覚を身に付けるとよい
  • タイミングを判断するために 「イノベーター理論」 が使える
  • イノベーター理論とは、新しい技術や商品・サービスが普及する時の浸透度合いを理論化したもの

イノベーター理論と勝負のタイミング
  • 100人中2,3人が賛成 → イノベーターにしか理解されていないためファーストペンギンになれるが、リスクは高い
  • 15人くらいが賛成 → アーリーアダプターまでなので、先行優位を得たいならこのタイミング
  • 半分くらいが賛同 → アーリーマジョリティにも知られているので、競争環境が激しくなっている
  • 85% が賛成 → レイトマジョリティまで行き着いている。石橋をたたきすぎてタイミングとしては遅い


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。