投稿日 2022/04/19

新 PASONA の法則で、関心の低い人に振り向いてもらうマーケティング


今回の記事は、大きく二部構成です。

前半では電通の提唱する 「デュアルファネル」 というマーケティングフレームについて、後半は新しいお客さんを獲得するためにどうすればいいかについてです。

✓ この記事でわかること
  • 電通が提唱する 「デュアルファネル」 とは?
  • デュアルファネルを広げる2つのアプローチ
  • 新 PASONA の法則
  • PASONA を使った、関心の低い人に振り向いてもらうマーケティング

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

デュアルファネル


最初にご紹介したいのは、電通が提唱する 「デュアルファネル」 です。

デュアルファネルを知ったのは、電通報の記事を読んだからです。

デュアルファネルの 「外」 の世界|電通報

内容は、デュアルファネルについて、調査結果も交えながらマーケティングについての考察記事です。

デュアルファネルとは、新規顧客の獲得と既存顧客維持の流れをつなげて体系化したものです。

出典: 電通報


デュアルファネルの拡大


興味深かったのは、デュアルファネルを広げるための2つのアプローチでした。

それが以下の図の ② と ③ で、「アウトサイドファネル」 と 「購買者の近接者集団」 への打ち手です。

アウトサイドファネルとは、商品・サービスを知ってはいるものの、関心の低い人たちです。購買者への近接者集団とは、買った人の家族や知人などの周囲にいる身近な人のことです。

商品やサービスの売上をさらに伸ばすためには、「アウトサイドファネル」 と 「購買者の近接者集団」 に広げていくことが大事であるという指摘です。

出典: 電通報


詳細は電通報を見ていただきたいのですが、「アウトサイドファネル」 と 「購買者の近接者集団」 の根拠は電通の独自調査からです。

1つは、7カテゴリーの購買者調査で、下のグラフのように、もともとカテゴリーや商品に関心がなかった人が、全購入者のうち 40% いるという結果でした。

出典: 電通報

もう1つの 「購買者の近接者集団」 は、購買者の会話経験を調査した結果からです。

購入者の事前の 「会話経験」 を調べました。結果は、購入者をカテゴリー関心者の高い人と低い人に分けた時に、関心の高い人も低い人も購入者のほうが非購入者よりも会話経験は多いことがわかりました。

出典: 電通報

* * *

ではここから考えていきたいのは、どうすれば関心の低い人に効果的なアプローチができるかです。後半では、この問いへの答えを掘り下げていきましょう。


新 PASONA の法則


ヒントになるのは、「PASONA (パソナ) の法則」 です。

PASONA の法則とは、消費者の購買を促すためのメッセージの法則性を表したものです。神田昌典氏によって提唱されました。

英語の5つの言葉の頭文字からできていて、Problem (問題) 、Agitation (扇動) 、Solution (解決策) 、Narrow down (絞り込み) 、Action (行動) です。文章でつなげると、「こんな問題があり、このままでは危険です。でもこうすれば大丈夫です。その解決法を、今ならあなただけに教えるので、こうしませんか」 と最後は具体的な行動を促します。

PASONA について 「新 PASONA の法則」 というものを見つけました。

旧 PASONA の法則と比べると、A と SO のところがアップデートされています。

✓ 新 PASONA の法則
  • Problem 問題: 相手が抱えている悩みや欲求を提起
  • Affinity 親近感: 問題の中身を掘り下げ、共感と親近感を持ってもらう
  • Solution 解決策: 問題を解決できる具体的な方法を提示
  • Offer 提案: 解決策を導入してもらうための提案をする。例えば無料お試し
  • Narrowing Down 絞り込み: 期間や人数限定と 「今だけ」 「あなただけ」 と絞り込み、今すぐ購買すべき理由を示す
  • Action 行動: すぐに行動してもらうよう促す


新 PASONA の法則からのヒント


この記事の前半で見てきた内容からの問いは、「関心の低い人にどうアプローチするか」 でした。

PASONA の法則からのヒントは、関心を持ってもらうために 「問題提起と具体的な解決策をセットで提示しよう」 です。

裏を返せば、いきなり解決策 (自分たちが売りたい商品やサービス) を見せても、関心の低い人は振り向いてくれません。

その前にやることがあり、相手が持っているであろう悩みや困りごと、言葉にできなかったり、普段は意識していない望みや不満な気持ちを慮り、共感してもらえる課題感を提示します。

問題提起が最初にあって、それは自分のことだと思ってもらえて初めて相手からの関心度合いが高まります。自社の商品やサービスという解決策を示すのはその後です。


まとめ


今回は 「デュアルファネル」 と 「新 PASONA の法則」 から、マーケティングに学べることを見ていきました。

最後にまとめです。

デュアルファネル
  • デュアルファネルとは、新規顧客の獲得と既存顧客維持の流れをつなげて体系化したもの
  • 商品・サービスの売上をさらに伸ばすためには、「アウトサイドファネル」 と 「購買者の近接者集団」 に広げていくことが大事
  • アウトサイドファネルとは、商品・サービスを認知しているが関心の低い人たち。購買者への近接者集団とは、買った人の周囲にいる身近な人たち

新 PASONA の法則
  • Problem 問題: 相手が抱えている悩みや欲求を提起
  • Affinity 親近感: 問題の中身を掘り下げ、共感と親近感を持ってもらう
  • Solution 解決策: 問題を解決できる具体的な方法を提示
  • Offer 提案: 解決策を導入してもらうための提案をする。例えば無料お試し
  • Narrowing Down 絞り込み: 期間や人数限定と 「今だけ」 「あなただけ」 と絞り込み、今すぐ購買すべき理由を示す
  • Action 行動: すぐに行動してもらうよう促す

関心の低い人へのマーケティング
  • 関心を持ってもらうために、問題提起と具体的な解決策をセットで提示するといい
  • いきなり解決策 (売りたい商品やサービス) を見せても、関心の低い人は振り向いてくれない
  • 相手が持っているであろう悩みや困りごと、言葉にできなかったり、普段は意識していない望みや不満な気持ちを慮り、共感してもらえる課題感を共有し、自分ごと化から関心を持ってもらう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。