出典: 富士通
今回のキーワードは、「お客さんの利用シーン」 です。利用シーンからマーケティングや商品開発のヒントをつかもうという話です。
おもしろいと思った富士通の小売向け POS システムを取り上げ、学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- 富士通の POS システム
- 目先の売上を捨ててでも、お客さんの繁忙期の問題を解決
- マーケティングのヒントは利用現場にあり
- 「お客さんの使い方理解のプロ」 になろう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
富士通の POS システム
出典: 富士通
以下は、日経新聞の記事からの引用です。
富士通が POS (販売時点情報管理) システムの機能を拡充している。
強みとする百貨店向けでは接客用のタブレット端末でも固定レジと同じシステムで会計できるようにした。店舗独自の電子マネーに対応した開発も進める。顧客の細かな要望に応え、効率化と業態ごとの事情に応じたサービス対応を両立する。
POS システム 「TeamStore/DX (チームストア DX) 」 は、百貨店やスーパー、オンラインストアなどを展開する大規模な小売事業者向けに2021年1月に発売した。様々な機能を選べるのが特徴だ。
売場の繁忙期にはセルフレジに
おもしろいと思った特徴は、 お客さんが多く来て店内が混む繁忙期は、接客タブレットがセルフレジに切り替えられることです。
繁忙期の POS 端末不足にも対応する。顧客に店頭にない商品を見せる際などに使う接客用の端末でも、現金やカードなどの会計に対応した機器を用意した上でレジで利用するのと同じ POS システムを利用できる。
従来、百貨店は繁忙期にレジを増設するために普段は使わない POS 専用端末を用意しておく場合があった。専用機器を購入する POS システムの場合、費用がかさむのが難点だった。
利用現場の問題を解決
富士通の POS システムが価値につながっているのは、お客さん (POS システムを導入している小売) の現場にある問題を解決しているからです。
先ほどの引用内にあったように、「従来、百貨店は繁忙期にレジを増設するために普段は使わない POS 専用端末を用意しておく場合があった」 と 「専用機器を購入する POS システムの場合、費用がかさむのが難点だった」 のところです。
お客さんの費用がかさむとは、売り手の立場で見れば、それだけ売上が増えるということです。自社の都合を優先するなら、この状況はむしろ良いことだったりします。
しかし富士通は目先の売上を捨てて、お客さんのことを優先させたわけです。
学べること
では、今回の話から学べることを整理していきましょう。
一言で表現をすれば、学びは 「お客さんの利用シーン (用途や現場) からビジネスチャンスをつくろう」 です。
ヒントは利用シーンにあり
お客さんの利用シーンには、マーケティングや商品開発のヒントが詰まっています。
特に、作り手や売り手が想定していなかった意外な利用用途や方法においてです。そこには、自分たちが気づいていないお客さんにとっての問題が潜んでいるからです。
利用シーンを深く理解する方法
商品やサービスを売って終わりにするのではなく、むしろお客さんに買ってもらってからがスタートです。
買ってもらい、次のような視点で利用シーンを理解していくと良いです。
✓ 利用シーン理解の着眼点
- 何の目的で使うか
- 使うきっかけ、背景となる状況
- どこで、いつ、誰と一緒に使うか
- 使っている最中や後に得ている価値
- 使う前後も含めた感情の変化
マーケターとして目指したいレベルは、商品・サービスの特徴を理解するだけで終わらず、「お客さんの使い方理解のプロフェッショナル」 です。
まとめ
今回は富士通の小売向け POS システムを取り上げ、マーケティングや商品開発に学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ ヒントはお客さんの利用シーンにあり
- お客さんの利用シーン (用途や現場) には、マーケティングや商品開発のヒントが詰まっている
- 使う目的、きっかけや背景も含めた状況、得ている価値、心理や感情の変化を理解するといい
- 商品・サービスの特徴を理解するだけで終わらず、「お客さんの使い方理解のプロフェッショナル」 を目指そう
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