今回のテーマは、マーケティングの顧客理解です。
おもしろいと思ったトレーニングジムをご紹介し、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- ビル屋上のジムが人気に
- 屋上ジムの提供価値
- 価値になった背景は 「環境と生活者の変化」
- 顧客理解の本質
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
屋上のジムが人気に
繁華街のビルの屋上にあるトレーニングジムが、人気を呼んでいるとのことです。
屋外にトレーニング器具を設置し、外の空気を感じながら気持ちよく汗を流すことができるジム施設が増えている。
(中略)
東京・新宿の歌舞伎町。ビルの屋上でトレーニング愛好家たちが自慢の肉体の仕上がりを確認し合っていた――。
温浴施設 「新宿天然温泉テルマー湯」 (東京・新宿) が4月にオープンした 「ルーフトップスポーツバー & フィットネス」 だ。施設屋上に44台のトレーニング器具を設置し、青空の下で体を鍛えることができる。
テルマー湯の山根将支配人は 「コロナ禍の新たな取り組みとして始めてみたところ見事に (利用者のニーズに) 刺さった状況だ」 と話す。週末には筋トレに励む人たちでトレーニングマシンが埋まり、平日夜にはランニングマシンに仕事終わりの女性が横並びになり汗を流す。
開放的な空間と本格的なトレーニング器具に加え、運動後に温泉やサウナでリフレッシュできる環境がフィットネスへの関心が高い利用者を呼び寄せている。
ルーフトップスポーツバー & フィットネス (出典: Trendsmap)
利用者への提供提供
屋上のトレーニングジムを利用する人は、どのように思っているのでしょうか?
最大の魅力はやはり開放的なトレーニング空間のようだ。
トレーニング仲間と2人で訪れていた20代の男性会社員は 「風と日差しが気持ちいい」 と話す。マスク着用を義務づける室内ジムも多いなか、「2年ぶりにマスクなしでトレーニングできた」 (30代の男性会社員) と喜ぶ声もあった。
テルマー湯の担当者、桜井敦さんは 「隣接する新宿ゴールデン街や花園神社が低層なため新宿という立地ながら想像以上に空が開けており、開放感がある」 と説明する。
屋上にある屋外ジムの価値は、青空の下でマスクを付けず開放的な気持ちでトレーニングができることにあります。
価値の背景
ジムは一般的には室内でトレーニングを行う場所です。
今まで屋内のジムは問題はありませんでしたが、コロナウイルスの感染拡大によって状況は一変しました。室内の広さと利用人数によっては密になってしまうので、利用者が気軽に行きにくい場所になってしまったわけです。ジム側で利用制限をもうけたり、営業が苦しくなり閉鎖するところもありました。
以上が屋外ジムに価値が生まれた背景です。環境の変化と、その環境に置かれた人々の価値観や心理状態、行動様式が変わったことで、屋上にある開放的なジムの魅力があらためて見直されたのです。
顧客理解の本質 (学べること)
今回の話から学べるのは 「顧客理解の重要性」 です。
マーケティングでは、もっと言えばビジネスにおいてはお客さんの理解は最重要課題です。
顧客理解は、表面的なお客さんの特徴だけではなく、言動、奥にある気持ちや価値観などの心理面までの理解が大事です。相手の文脈でお客さんが見ている世界や景色を見ようとすることが、本当の意味での顧客理解なのです。
トレーニングジムの話に当てはめれば、ジムを利用する人たちの性別や年齢、家族構成、住んでいる場所、職業や収入などの属性的な特徴だけで終わらないようにします。普段の生活でのトレーニングや健康に関して取り組んでいること、そこにどういった意図や狙いがあるのか、満足していること、満たされない思いは何かです。
時には、彼ら彼女らが自覚できていないレベルでの隠れた望みや不満まで理解しようとすることが大切です。ここまでできて、ようやくお客さんの目線でお客さんが見ている景色を見ることができます。これが顧客理解の本質です。
まとめ
今回は屋上にある開放的なトレーニングジムを取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 顧客理解で目指す深さ
- 表面的なお客さんの特徴理解だけでは十分でない
- 言動、奥にある気持ちや価値観などの心理、時にはお客さんが自覚できていない隠れた望みや不満までの理解が大事
- 相手の文脈でお客さんが見ている世界や景色を見ようとすることが、本当の意味での顧客理解
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