投稿日 2022/10/04

進化し続け顧客を飽きさせないアパホテル。「◯◯ はうこうあるべし」 という固定観念を捨てよう


今回は、お客さんのニーズに応えるために何が大事かという話です。

アパホテルの取り組みをご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • 常識にとらわれないアパホテルの進化
  • 業界の常識を守ることの弊害
  • お客さんの変化を察知し、自ら変わり続けてニーズに応えよう

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

常識にとらわれないアパホテル


こちらの記事を読みました。

稼働率 100% の部屋はなぜ生まれた? アパホテルの 「宿泊客を飽きさせない工夫」|ITmedia

客室でのネット利用をさらに便利に


以下は記事からの引用です。

アパグループの元谷一志社長兼 CEO は 「ホテル業界は古い業界なので『客室はかくあるべし』といった伝統や格式が残っており、そうしたホテルは (コロナ禍にあっても) 変わらなかった。今まではそれで良かったのかもしれないが、例えば働き方が変わったらホテルの機能も変えないといけない。宿泊客のニーズに応えて進化し続けてきたのが、アパホテルが黒字を計上できた要因だと思っている」 と話す。

 (中略) 

元谷社長は、宿泊客のニーズに対応した例として、2016年10月開業のアパホテル〈広島駅前大橋〉から導入したシーリングライト (天井の照明) を挙げた。「今では Wi-Fi 完備のホテルは珍しくないが、それまで宿泊客はベッドサイドの机にノートパソコンを置いて、有線接続で作業していた。ところが Wi-Fi が利用できるようになると、宿泊客はベッドの上で作業するようになった。それならベッドの上で作業しやすいようにとシーリングライトを設置した」 (元谷社長) 
ベッド上にシーリングライトが設置された部屋 (出典: ITmedia

シングルルームの進化


もう1つ、新しく生まれた顧客ニーズに対応した例をご紹介します。「シングル・シングルコネクト」 というユニークな部屋です。

22年4月に開業したアパホテル〈なんば心斎橋東〉で採用した客室 「SS コネクト (シングル・シングルコネクト) 」 も時代のニーズをくんだアイデアだ。

これは隣り合うシングルルーム同士を必要に応じて行き来できるようにし、ツインルームのように使えるようにしたもの。テレビやシャワー、トイレも2つずつ使え、空調も分けられるなど、ツインルームより使い勝手がいい。

友人同士などで一緒に旅行はしてもプライベートは確保したい場合や、受験シーズンの親子利用などに期待しているという。「SS コネクトは、テレビで紹介されていた、最近は受験に親が付き添うという話に着想を得た」 (元谷社長) 
隣のシングルルームに行き来できる SS コネクト (出典: ITmedia

飽きさせない工夫


もう少し、アパホテルの取り組みを続けます。

元谷社長によれば、顧客満足度向上には宿泊客のニーズを常にキャッチアップすることに加え、飽きさせない工夫も不可欠だという。

アパホテル〈なんば心斎橋東〉では、チェックイン手続きを大幅に簡素化できる 「1秒チェックイン機」 を導入したほか、チェックイン手続きを非接触でサポートする 「遠隔フロントシステム」 や、ルームカードキーを投函するだけでチェックアウト手続きができる 「エクスプレスチェックアウトポスト」 なども設置した。

 「新ホテルの開業に当たっては、必ず1つはイノベーションを取り入れている。アパホテルというブランドには、泊まるたびに新しい発見がある。それが顧客満足度向上につながる」 と元谷社長は言う。

学べること


ここまで見てきたアパホテルの事例から学べることを掘り下げていきましょう。

結論を先に言うと、常識にとらわれずに発想し行動をする重要性です。

業界の常識、世間の非常識


常識とされることや、その業界の慣習の全てが否定されるわけではありませんが、業界に古くからある常識が、世間一般やお客さんの感じ方とはズレていることは往々にしてあります。

ギャップが生まれるのは、世の中は変わり続けているのに対し、自分たちの見方や行動が固定されたままだからです。この状況が続くと、いつの間にか自分たちの常識が、お客さんや社会全体からすると古くなり不便になったりします。

アパホテルはこうした状況になることへの問題意識を持っています。だから 「ホテルの客室はこうあるべし」 と伝統に縛られないようにし、お客さんのニーズに応えるために変わり続けているのです。

外向き姿勢からの変化


大事なポイントは、自分たちの変化の起点が環境や生活者という外に目を向けての着想からだということです。

ホテルや宿泊と直接的に関係のない領域までの変化の兆しを察知し、ホテルの設備やサービスに新しく取り入れています。アパホテルから学べるのは、常識やこだわりにとらわれず、新しいことに挑戦し常に変化する重要性です。

受け身での変化だけではなく、自ら変化する。新しいことをやり変わり続けることで、既存客を飽きさせず離反の低下につながるのです。


まとめ


今回はアパホテルを取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ 顧客満足度を高めるために
  • 世の中は変わり続けているのに自分たちの見方や行動が固定されたままだと、自分たちの常識はお客さんの非常識になってしまう
  • 「◯◯ はこうあるべし」 といった常識に縛られず、お客さんのニーズに応えるために変わり続けることが大事
  • 新しいことをやり常に変化をすることで、既存客を飽きさせず離反の低下につながる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。