出典: FASHIONSNAP.COM
今回の話は、商品開発やマーケティングにおいて 「常識やこだわり」 を疑って、時には捨てることの重要性です。
おもしろいと思ったユニークな革靴を取り上げ、学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- かかとが踏める革靴
- 業界的にありえない革靴が生まれた背景
- 常識にとらわれない商品開発
- 売り手都合の問題解決と価値創出 (学べること)
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
かかとが踏める革靴
こちらの記事を読みました。
「かかとが踏める革靴」 作業着スーツの WWS が発表 業界の "あり得ない" を変える特徴とは?|ITmedia
革靴のかかとが踏めるという 「ボーダレス本革シューズ」 を取り上げた記事です。
出典: PR TIMES
以下は記事からの引用です。
商品のキャッチコピーは 「革靴を超える革靴」 。ビジネスシューズの 「脱ぎづらくて、蒸れて臭いやすい」 「履くときに靴ベラが必要」 「歩きにくく、靴が疲れやすい」 「長距離移動やデスクワークに不向き」 といった課題解決を目指した。
最大の特徴はかかとが踏めること。デスクワーク時や、新幹線や飛行機内でリラックスする時を想定し、かかと芯を使用せず、踏める仕様とした。また、履き口の内側に伸縮性のあるシークレットサイドゴアを搭載し、靴ベラを使わずに履けるようにした。歩行時はかかとを踏まないで使用することを推奨している。
歩きやすさにもこだわった。軽量のアウターソールを採用し、長時間履いても疲れにくくした。中敷きには消臭繊維 「MOFF (モフ) 」 と抗菌繊維を使用するなど衛生面にも配慮している。
開発の背景
開発された背景や狙いについて、もう少し記事から見てみましょう。
なぜかかとが踏めることにこだわったのか、オアシスライフスタイルグループの関谷有三社長は 「当社が展開する作業着スーツ『WWS』に最も合う靴をつくろうと考えた」 と開発した経緯を語る。ビジネスから日常使いまで対応する WWS と同様、多様なシーンでストレスなく履ける靴を目指したという。
「究極の今の時代に合ったビジネスシューズをつくりたいと考えました。私は、普段は主にスニーカーを履いていますが、それだけでは TPO やコーディネートに悩むわずらわしさもあります。そこで、革靴の窮屈さや履きづらさといったネガティブな部分を克服できる靴をつくれば、今の時代に最もマッチする商品になるのではと考えました」
常識にとらわれない問題設定
「ボーダレス本革シューズ」 は、常識の枠にとらわれない問題意識が、開発の起点でした。
問題意識とは、革靴の使いにくさや不便さです。
✓ 革靴の不便さ
- 脱ぎづらい
- 蒸れて臭いやすい
- 履くときに靴ベラが必要
- 歩きにくく、足が疲れやすい
- 長距離移動やデスクワークに不向き
こうした使いにくさは、革靴を履いた人は誰もが感じることですが、履き続けているうちに最初に思った不満は、いつの間にか 「革靴とはこういうもの」 と受け入れてしまっています。問題解決はされず、残ったままなわけです。
また、履く時の面倒さでついつい靴のかかとを踏んでしまうのもやってしまいがちですよね。本当はダメだという罪悪感はどこかあるものの、楽ができるので踏んでしまいます。
こうした革靴の課題や埋もれてしまっている消費者の不満に正面から向き合い、ゼロベースで常識にとらわれずに開発して生まれたのが 「ボーダレス本革シューズ」 なのです。
学べること
では最後に、学べることを整理してみましょう。
一言で表現をすれば、売り手都合の問題を解決し、お客さんに価値を提供する重要性です。
当たり前になり、もはや普段は意識しないことの中には、よくよく考えると使いにくかったり面倒などの不便さが残っています。
作り手や売り手の論理、例えば 「◯◯ はこうあるべき」 という決めつけによって、結果としてお客さんに不都合を押し付けていないでしょうか。
売り手の合理は、買い手の非合理だったりします。この状況を解消するためには、一度まっさらな状態で常識やこだわりを外してみると良いです。
ここで大事なのは、「自分にはまだ見えていない・気づいていない一面があるのではないか」 という健全な疑いの目を持つことです。「無知の無知」 は常にあるという自覚があることで、「無知の知」 に変えることができます。
常識というフィルターを外した世界を見ることで、解決すべき問題に気づけ、お客さんへの価値創出につなげられます。
まとめ
今回は、かかとが踏める革靴を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 常識を疑っての問題提起と価値創出
- 普段は意識しないような当たり前のことの中には、使いにくかったり面倒などの不便さがある
- 「◯◯ はこうあるべき」 という作り手や売り手の論理で、お客さんに不都合を押し付けてしまっていないかは意識したい問いかけ
- 「自分にはまだ見えていない一面がある」 という健全な疑いの目を持ち、常識を外すことで解決すべき問題が見え、価値創出につながる
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