出典: サンエックス
今回は、技術から価値に転換できてこそ技術は活きるという話です。
おもしろいと思った食品を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- 形が 3D の 「すみっコぐらしかまぼこ」
- ヒット理由は、技術から価値への転換
- お客さんを主語にするマーケティング思考
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
すみっコぐらしかまぼこ
ご紹介したいのは 「すみっコぐらしかまぼこ」 です。すみっコぐらしのキャラクターが立体的に再現されていてかわいらしいデザインのかまぼこです。
出典: サンエックス
出典: サンエックス
発売から2年以上が経ち、ロングセラーになっているとのことです。
紀文食品が2020年3月に発売した 「すみっコぐらしかまぼこ」 がロングヒットになっている。着色したすり身をキャラクターの形に立体的に成型した、指人形のような見た目のかまぼこだ。
SNS に料理写真を載せるファンが多く、発売から2年がたっても年間約360万個のペースで売れている。
かまぼこを立体的にする独自技術
かまぼこでキャラクターの形を立体的に再現するには高い技術が必要ですが、紀文食品は独自技術を持っていました。
商品開発室の松坂英人副室長は 「すり身を立体的に成型する試行錯誤が生きた」 と話す。キャラかまぼこは、板かまぼこ状のものがほとんどだ。すり身を立体的に成型するのは紀文食品独自の技術で、国内で他に生産するメーカーはない。型に流し込むように加工するが、凹凸部分が欠けないように仕上げるのは簡単ではないという。
すり身の立体成型は、新製品開発の一環で技術を磨いた。紀文食品の食品事業は、おでん具材やはんぺんなど、すり身の練り製品が多くを占める。若い世代の取り込みを期待して新しい加工のかまぼこに挑戦していた。
技術から価値への転換
高い技術があるからとはいえ、必ずしもヒット商品やロングセラーにできるわけではありません。
技術がお客さんへの独自の価値につながっているからこそ、売れる商品になります。「すみっコぐらしかまぼこ」 はどうだったかと言うと、
立体成型の商品で最初に脚光を浴びたのは、17年に発売したサンリオのキャラ 「ぐでたま」 のかまぼこだ。
弁当を職場に持参する大人が増えていることに目をつけ、働く女性や中高生の親をターゲットに売り出した。ほどなく、これらの世代ではキャラかまぼこのリピート購入が伸びづらいことがわかり、より若い世代に響くキャラを探し始めた。そこで候補になったのがすみっコぐらしだ。
松坂さんは 「キャラ人気の見きわめは難しく、すみっコぐらしの採用もチャレンジだった」 と振り返る。社員の家族の間で人気だったことも後押しして採用したところ想定を上回る反響に。発売するとパッケージの用意が間に合わなくなるほどの売れ行きになった。
かまぼこを立体的に加工する技術が土台にあり、生活者の文脈にあった商品にできたことがヒット商品になった要因です。
背景にあった生活者の文脈とは、キャラ弁当の人気の高まりと、「すみっコぐらし」 というキャラクターが子どもたちに愛されていたことです。
こうした生活者の文脈に合わせて独自技術を活用し、技術から価値に転換できたからこそ 「すみっコぐらしかまぼこ」 はロングセラーになったわけです。
顧客が見ている景色を見よう (学べること)
では最後に、すみっコぐらしかまぼこから学べることを整理してみましょう。
一言で表現をすれば、商品・サービスの価値をお客さんの視点で考える重要性です。
作り手の立場では、高い技術を得ることは並大抵の努力ではできず、技術を持っていることが誇りに思えます。
一方のお客さんの視点に立てば、商品やサービスの中に入っている技術が高いかや独自なものかは関係なく、それよりも商品・サービスが自分にとってどんなメリットがあるか、お得なものかがお客さんにとっては大事です。
このように、作り手が見ている景色と買い手の景色は全く別物です。
ビジネスではお客さんの視点になれるかが重要ですよね。商品を語る時に 「技術が… 」 ではなく、「お客さんにとっての価値は… 」 とお客さんを主語にして捉えることが大事です。この視点になることがマーケターには求められます。
まとめ
今回は 「すみっコぐらしかまぼこ」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 技術から価値への転換 (主語をお客さんにする)
- お客さんの文脈に合わせて技術を活用し、技術から価値に転換できるとヒット商品につながる
- 商品を語る時に 「技術が… 」 ではなく、「お客さんにとっての価値は… 」 とお客さんを主語にして捉え、商品・サービスの価値をお客さんの視点で考えよう
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